第213話【爆発】

『状況を整理しようか、 後10分で爆発する

ここまで来るのに大体30分はかかった』

「確かにそうだけども、 怪人とかを薙ぎ払っての30分だ

もっと早く降りられる筈・・・いや、 でも帰り道分からないか?」

「・・・・・なぁ、 この怪人と会話出来るのか?」


魚目が癒し屋に尋ねる。


「あぁ、 怪人は怪人同士会話が出来るんだ」

「そうだったのか・・・知らんかった」

「そんな事よりも早く逃げる為の道は無いのか!?」

『そうだな、 このままじゃ癒し屋とお爺さんが死んでしまう』

「甲殻が有るから君は平気だろうけどさぁ!!」

「・・・・・甲殻が有っても耐えられないと思うぞ?」

『なんだ、 核爆発でもするのか?』

「・・・?」

「78は核爆発でもするのかって聞いている」

「違う、 自爆と言っても爆弾で全部吹っ飛ばす訳じゃない

柱に爆弾を仕掛けて、 一斉に爆破して解体する形式だ」

『どういう事?』

「どういう事だ?」

「つまり、 このビルが一斉に崩れてその重みでぺしゃんこになる

このビルを支えられる程、 その甲殻が丈夫なら問題無いと思うが」


ビルが落ちて来て耐えられる人間は居ない。

怪人なら平気・・・な訳が無い、 恐らく、 と言うか確実に死ぬ。


『・・・ヤバいじゃないか!!』

「あー!! もう一体如何すれば良いのよ!!」

「脱出路は無いが脱出出来る策は有る」

「どんな策!?」

「そこの甲殻の怪人に我々二人を持って窓から飛び降りて貰う」

「・・・・・正気?」

「蟻はどんなに高い所から落ちても死なない」

「・・・何の話?」

「蟻の体は自分の体の落ちるスピードに耐えられる、 と言う話だ

蟻の大きさ、 重さから出る落下スピードに耐えられると言う事だな

つまり・・・」

『僕が落下の衝撃に耐えられれば良い、 と言う事か、 やろう』

「本気か?」

『他に策が有るの癒し屋?』

「・・・・・分かった、 やろう

でもこの爺を助ける意味、 有る?」

『色々聞けるだろう』

「そうだね」


魚目と癒し屋を抱える夢宮。

そして窓に走り出す。


「あ、 待てよ、 窓を開けてから出た方が」


魚目が正論を言う前に窓をブチ破り落下する夢宮。

そして重力が彼を襲う。


『こえええええええええええええええええええ!!!』

「落ち着け!! 私達を守る様にちゃんとしろ!!」

『分かってるよおおおおおおおおおおおおお!!』

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