第168話【荒廃した街】
ダガネ物産(株)の元営業部長海道が運転するトラックが久遠街にやってくる。
街は散々たる有様だった。
死屍累々の廃墟、 まさにそれだった。
「これは酷い・・・」
しかし爆発音が遠くから鳴り響いている。
「怪人が殺されているのか?」
外の様子を見ていた夢宮が呟く。
「そうかもね・・・さっきC2号部隊の輸送機を見たよ」
「そうなのか?」
「うーん・・・うん?」
道に丸い毛の塊が蹲っていた。
「何だ?」
毛の塊は起き上がった、 明らかに大きい。
それは怪人だった、 恐らく狸だろうか。
海道はアクセルをベタ踏みして一気に加速をつける!!
「あ、 馬鹿!!」
鶴瓶が海道を制しようとしたが狸怪人を轢き殺した!!
そして絶命した怪人は爆発しトラックは転倒した。
スピードが付いていた分、 派手に転げ回った。
「っ・・・無事ですか二人共!?」
海道は息も絶え絶えになりながらトラックから這い出した。
「大丈夫です・・・」
「寧ろ貴方が一番危ないかもね」
鶴瓶を庇う様な体勢の夢宮、 そしてその夢宮を担いでいる鶴瓶が無傷で事も無げに言う。
「・・・・・そこまで無傷だと若干腹が立つ」
「何故に!?」
「凄い身体能力ですね鶴瓶さん」
「こう見えても社内では相当力持ちですから」
「力持ち・・・力持ちかぁ・・・」
寧ろ俊敏性の方が高いんじゃないかと言いたい夢宮だったが黙っている事にした。
「じゃあこれから如何します? 足も無くなった事ですし
一緒に居ても仕方がない、 各自バラけて行動しますか?
寧ろ私はその方が良いと思いますが」
「何故?」
「大勢で居ても怪人に見つかりやすくなるだけでしょう?」
「いや女性を一人にする訳には行かないですよ」
夢宮は鶴瓶に付いて行く。
「家族は心配だがここで女と子供を置いて行くのは親に顔向けできない・・・
ノギクボまで送って行きますよ」
海道も二人に付いて行く様だ。
「そうですか、 じゃあエスコートお願いします」
「任せて下さい、 大きい建物でここからでも見えますよ」
確かに大きなビルにノギクボ製薬と書かれていた。
「それじゃあ目立たない様に行きましょうか」
「そうね・・・」
「えぇ・・・」
夢宮と鶴瓶はトラックが横転した時に散乱した
『非常食液体たい焼き』を数個拾って
先に進みだした。
「好きなんですかそれ」
「結構好み、 パンに塗って食べたい」
「分かります」
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