第134話【輪】

『一応連れて帰れるなら連れて帰れと言われているけども殺しておきたいね』


鶴瓶は飄々と答えた。


『私・・・・・貴女に嫌われる事しましたっけ?』

『脱走するならもっと時期を見るべきだったと私は思う

少なくてももっと怪人を沢山作ってから一気に脱出、 と言うのが私の案だった

その案自体は貴女にも話した筈よ?』

『・・・・・我慢できなくてつい・・・』

『先走りか、 意外と堪え性の無い奴だな?』

『五月蠅い、 薬の売人が調子に乗るな』

『君こそ調子に乗らないでね、 二対一で勝てると思っているの?』

『・・・・・・・・・・・・何で?』

『はぁ?』

『何か秘策が有るの?』

『無いけどさ・・・君達二人、 仲良くはないよね?』

『・・・まぁ良いか悪いかで言うと仲良くはない』

『それが如何したんだ?』

『つまり二人で戦っても勝てるとは限らないんじゃないかな?』

『なるほど、 確かにチームワークは良くないな』

『ならばこうしよう』


誠也は後ろに下がった。


『鶴瓶さんと葵が戦って消耗させた所に俺が行く、 と言うのは如何だろうか?』

『『誠也君さいてー』』

『これならば勝てる!!』

『私の負担が多過ぎるんだよなぁ・・・』

『でも協調性が無いならば無いなりのチームワークという物があるのではないでしょうか』

『ちょっとその発想は無かったわ』

『そうそう、 それにこうすると各個撃破がし易くなるからね』


ガコンッ、 と音が鳴る。


『は?』


ガタタタタタタタタタ!! と崩れかけた天井から鉄骨が落下する。

鉄骨が鶴瓶の頭上に降り注ぐ。


『鶴瓶さん!!』

『大丈夫だ!! 躱した!!』

『はああああああああ!!』


向日葵の手で鶴瓶を叩きつける葵。


『鶴瓶さん!!』

『くっ!! 舐めるなぁ!!』


蔓を伸ばして葵の体に巻き付けて叩きつける。

しかし葵も腕を伸ばし叩きつけてガードする。


『くっ!!』

『甘い甘い、 しゃあ!!』


蔓が切断される。


『何ッ!?』

『こう見えても色々準備して来たんですよぉ』


手に包丁を持つ葵。


『包丁?』

『そう、 通販で話題の切れ味の良い包丁らしいですよ

ブロック何かも切れるらしいです』

『・・・・・怪人の体も切れるなんて鋭いわね』

『ははは、 怪人の体も大した事無いんじゃないですか?』

『製作者の前で言う台詞かッ!!』


飛び掛かる鶴瓶。

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