第127話【心配】

六頭は葵が通っていた高校に来ていた。


「葵ちゃんならずっと前から学校に来てないんだよ

何か急にアルバイトだとかで・・・」

「そうなんだ、 ありがとう」


生徒達に話を聞いても特に収穫が無かった六頭。

アルバイト、 と言う認識が妙だとは感じたが葵の目撃情報が無い以上

居る意味は無いと立ち去ろうとする六頭。


「あの・・・すみません、 葵の事知っているんですか?」

「・・・・・」


六頭が振り返るとそこにいたのは人相が悪い男と

はかなげな少女だった。


「君は?」

「葵の恋人の箒星 興亜と言います」

「葵さんのクラスメイトの朝田 羊です」

「実は俺も葵を探していまして・・・」

「そうなんだ、 じゃあ携帯の番号を交換しようか

もしも見つけたら連絡をくれ」

「その前に何で葵を探しているんですか?

そもそもアイツ何をしているんですか?

アルバイトって一体何を・・・」

「落ち着いて下さい、 私もそれを調べているんです」

「何だって?」

「申し遅れました、 私労働監査局の八頭と言います」


六頭は偽造した身分証を見せる。


「彼女を雇用していた所が何かをしていたようで・・・

行方不明になった葵さんを探して事情を聞こうとしているのです」


適当にでっち上げた嘘を伝える六頭。


「そうなんですか・・・」

「葵ちゃんは無事なんですか?」

「それは私も気になっております」

「一体葵は何処へ」


掴みかかりそうな勢いの興亜を止める羊。


「何か有れば連絡しますので

何か有れば連絡をお願いします」


嘘である。

何か有っても連絡をするつもりは六頭にはない。


「・・・分かりました」

「よろしくお願いします」


羊に連れられてその場を去る興亜。


「・・・・・さてと一旦支社に帰りますか」


支社に戻ろうと車を出す六頭。

途中で鶴瓶と誠也を見つけて拾った。


「そちらは如何だった?」

「葵が通っていた高校に向かったのでしたが空振りでしたねー」

「本当にこの街に居るのか?」

「まぁ何処に居るのか分からないので地元を調べるって事ですよ」

「そうなんですか・・・無駄足じゃない?」

「かもしれない

でも相手は怪人なので一応戦力は整えておかないと危険なので・・・」

「世知辛いなぁ・・・」

「いっその事怪人として政府の対怪人部隊にリークしてしまえば良いのでは?」

「いや怪人の正体が人間だと知っているアドバンテージは保っておきたい」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る