第102話【顛末】
「おまちどうさま、カツカレーになります」
喫茶店のマスターがカツカレーを夢宮の前に置く。
「有難うございます」
読んでいた新聞を置いてカツカレーを食べ始める夢宮。
「犯人逮捕されたってねぇ」
椅子に座って話題を振るマスター。
「・・・ですね、あんまり食事時に聞きたくない話題ですが」
「思った以上にサイコだったね」
「えぇ・・・」
彼等が言っているのはこの街で起こっている猟奇殺人事件である。
逮捕された男は久那城 岬と言う大学生の男だった。
彼の半生は彼が語った通り悲惨な物だったが天涯孤独と言う訳では無かった。
彼は大学のテニスサークルでの人気者で
関係者からは信じられないというコメントが寄せられた。
「酷い話だ」
「本当にね」
事件の動機は支離滅裂だったが『人間を超える為に人間を食べた』と言う物らしい。
「人間を超える為に人間を喰う、 全く理解出来ないよ」
「食事時に言う言葉じゃないですね・・・」
黙々とカツカレーを食べる夢宮。
「それよりもこの探偵ちゃん? って言うのが気になるね」
「・・・・・」
逮捕の切欠となった与謝野は本人の目論見通り、 名が売れた。
思ったより露出は少なめだったがそれでも彼女の目的は達せられただろう。
唯一つ、 協力者として夢宮の名前を出したのは夢宮にとって恥ずかしい事だった。
「御馳走様でした」
カツカレーを食べ終えた後、 夢宮はバイクに乗って別の街に移動するのだった。
―――――――――――――――――――――――――
「・・・・・」
留置所で拘束されている久那城。
久那城はこれから如何するかを考えていた、 裁判で如何に自分の言葉を話せるのか
その演説内容を考えていた。
そんな事を思っている久那城の牢屋の前に一人の女性がやって来た。
「誰だ?」
「とある方から派遣されたエージェントだ、 久那城、 力が欲しいか?」
「欲しいねぇ・・・」
「ではこの薬を適当な時間で飲め」
そう牢屋の隙間からピルを渡す。
「これは?」
「一時的な仮死状態になるピルだ、 これを使って脱獄しろ」
「ほぅ・・・それで力と言うのは?」
「怪人の力だよ、 我々は怪人の力を君に渡す事が出来る」
「・・・・・マジか・・・・・天は我を見捨てなかった、 と言う事か」
にやりと笑う久那城。
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