第100話【男の言い分】

男は良く見ると腹部を撃たれている。


「やれやれ、 じゃないだろう」

「この程度の反撃如何と言う事は無い

良く見ると、 君は昼間の子だね」

「・・・あぁ電波のお兄さん」

「誰が電波だよ、 真っ当な人間だよ俺は」

「真っ当な人間はそんな事を言わない

とりあえずアンタが最近の猟奇殺人事件の犯人って事で良いの?」

「その通りだ、 だが事情が有ったんだよ」

「事情? 人を喰い殺す事にどんな事情が有るんだ?」


拳を構えて男に近寄る夢宮。


「俺は唯一この現実に対して憂慮している男なんだよ」

「意識高い系?」

「そんな理由で三人も殺したのか・・・っ!!」


怒りに震える与謝野。


「まだ何も説明していないだろう、 俺は怪人に父親を殺された」

「・・・・・聞こうじゃないか、 続けて」

「母は事故で、 二人居た弟の内、 一人は病気で

もう一人は不良になって少年院に入ってそこでチンピラに殺された」

「不幸になったからと言って誰かを殺して良い理由にはならない」

「俺もそう思う」

「なら何故こんな事を?」

「まぁ、 聞けよ」

「とりあえず警察を呼んで置いた」


与謝野が怒りに震えながら携帯を握る。


「別に構わない、 俺の意志を伝える為ならば」

「イカレ電波の意志なんか知りたくも無いね」

「良く考えて見ろよ、 この世界には沢山の不条理が有る

怪人を始めとしてハイエンドには核戦争なんて物が有る」

「だから?」

「故に力が必要なんだよ」

「・・・・・」


言っている事が支離滅裂で会話になっていない、 言い分にもなっていない。


「すまないが君が言いたい事が全く理解出来ない」

「分からないか?

人間を超える力を身につければ人間の災厄等恐れるに足らないと言う事さ」

「はぁ・・・人を殺して経験値稼ぎでもしているつもりなのか?」

「何だそれ、 君頭大丈夫か? ゲームと現実の区別位つけろよ」

「・・・・・」


電波から尤も言われたく無い台詞が吐かれる。


「与謝野、 こいつ頭が完全に可笑しいから相手をするだけ無駄だよ」

「こんな話も通じないイカレに三人も殺されるなんて・・・何と酷い・・・」

「俺は人間を殺して人間を超越する人間の怪人になるんだ」

「・・・・・は?」


夢宮の冷たい声を出す。


「俺があの子達を喰らったのは月に我が行いを見て貰いこの身を怪人にする為」


夢宮が男を殴りつける。

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