第97話【調査】

調査を開始する夢宮と与謝野。


「・・・調査は足じゃなかったの?」


ビジネスホテルに備え付けのパソコンで検索する与謝野。


「まぁ待ちなさい、 細部は足だけど大まかな所はネットで調べるのが良い

例えるならば額縁はネットで絵画は足でって言う感じよ」

「良く分からない例えだなぁ、大体ネットで分かる事ってそんなに多いの?」

「多いわよ、被害者の通っていた学校とか住所とか色々分かる」

「分かるの?」

「最近のネット社会って怖いわよねぇ・・・

SNSとかには気を付けた方が良いね」

「そうだね」


パソコンで情報を引き出す与謝野。


「二人居るし手分けして調査しよう」

「分かった、 具体的には?」

「私が被害者の身元や個人情報を調べるから

被害者が被害に遭った場所に行って来て、 その周辺を調べて来て」

「分かった」

「とりあえず夕方になったらこのホテルに戻って来て

情報共有しましょう」

「うん、 じゃあ行こうか」


二人はそれぞれ調査に向かった。




夢宮は被害者が被害に遭った場所に向かった。

そこには花が供えられていた。


「・・・・・」


夢宮は目を閉じて手を合わせた。


「無意味な事だ」

「?」


黒いロングシャツを着た男性が夢宮の後ろに立っていた。


「アンタ如何思う? こんな花が置かれていた所で如何にもならんだろ」

「まぁ供養みたいな物だし」

「供養だったら家族が葬式をあげているだろう

そもそもここで死んだ女は喰われているんだ、 供養は成っている」

「・・・どういう事?」

「感謝して食っている、 と言う事は供養は成っているんじゃないのか?」

「・・・・・・・何でそう思うんだ?」

「『いただきます』『ごちそうさま』これら二つは食に対する敬意であって

食に対して感謝するのは当然だと俺は考える」

「いや、 そうじゃなくて、 何で犯人が感謝して食っていると思うんだ?

人を喰うなんてイカレ野郎にそんな心が有ると思えない」

「そうか? 直接じゃないが人が人を喰うなんて良く有る事だろう

上から下への搾取、 強盗、 殺人、 全て人が人を喰っている出来事だと思う

少年よ、 花に祈るな、 天に祈れ、 空を照らす月と太陽に感謝し

己を律して生きていけば必ず天に祈りが通ずる筈だ」

「・・・・・何かの宗教の人? それとも貴方が犯人?」

「それにそうだと答える馬鹿が何処に居るんだ?」


男は言うだけ言って立ち去っていった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る