第96話【三人目】

朝、夢宮はテレビニュースの音で目が覚めた。


「おはよう・・・ってうわ!!」


与謝野は下着姿でベッドに腰かけて

ニュースの内容に釘付けになっている。

夢宮もニュースを見る。


『これで笹波街で起こった猟奇殺人事件の犠牲者も三人目になりました

被害者はまたしても女性で

夜間の一人歩きは控える様に警察は呼び掛けています』

「こ、 これって・・・」

「新しい犠牲者って事ね・・・」


与謝野が思い切り手を握り締める、 握り過ぎて手から血が出ている。


「直ぐに調査に向かうわ」


立ち上がる与謝野。


「とりあえず服を着たら?」

「・・・・・」


銃を鞄から取り出そうとする与謝野。


「待てよ、 これは君が悪いだろ」

「・・・そうね、 ごめんなさい」

「とりあえず服着て御飯食べようよ」

「・・・・・そうね、 途中で倒れたら困るものね」

「朝食はバイキングになっているらしい」

「それは楽しみね」


二人は着替えてホテルのロビーに向かい朝食バイキングを堪能した。


「ビジネスホテルのバイキングだから期待はしていなかったけど

中々美味しいわね」

「そうだね」


サラダと肉類を中心に食べ進め

パンにメイプルシロップをかけて平らげる二人。

食休みがてら二人で部屋に戻った。


「さて・・・これから如何する?」

「如何するって徹君? 手伝ってくれるの?」

「昨日も言ったけど事件に興味が有るんだ

そして探偵さんが居るならば付いて行った方が良いと思ってね」

「徹君、 物見遊山のつもりならば止めておいた方が良いよ?」

「悪いけどこっちもこっちで事情が有ってね

許せんのだよ」


怪人が


「・・・・・徹君、 武器は持っている?」

「ステゴロだよ」

「ふぅん・・・」


与謝野は立ち上がり夢宮の後ろに回る。

そして夢宮の腕を掴むが夢宮は腕を振り回して与謝野を叩きつける。

与謝野は目をパチクリさせる。


「うお・・・びびったぁ・・・」

「こっちの台詞だよ、 何突然」

「いや実力を見ておきたかったんだけどね・・・正直、 自信有ったんだけどなぁ

一応私黒帯よ?」

「何で探偵やっているか分からない位多芸だなぁ・・・」

「それから徹君、 私は受け身取ったけど普通の人なら病院送りだから気を付けてね」

「分かった、 手加減するよ」

「よろしい、 それじゃあ調査を始めようとするか」

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