第83話【押し問答】
「避難と言っても怪獣が此方に来るとは分からないじゃないですか」
引き下がらない宝城。
「此方に来るかもしれないじゃないか!!」
氏家も言い返す。
「今回の避難について野党から税金の無駄遣いという批判も有りますが」
「何故!?」
「怪獣を見失い、怪獣の進路が分からなくなったからです」
「・・・・・・・つまり?」
「自衛隊の不手際が避難活動を拡大させたと言う事です」
「・・・・・いや、私警官ですが?」
「はい?」
「自衛隊の事なら自衛隊に言えば良いのでは?」
「いえ自衛隊の方々は忙しそうでしたので」
「私も忙しいですよ!!」
「重病患者のシェルターへの搬送が終わったのでは?」
「他にもやる事は沢山有るんですよ!!
軽傷の患者さんとか避難させる人は大勢居るんです!!
貴方達も避難して下さい!!」
「いえ、我々報道は第一線で情報を集めたいと思います」
「そうですか、迷惑はかけないで下さいね」
「待って下さい」
氏家の腕を掴む宝城。
「何ですか」
「今の状況についてコメントをお願いします」
「腕を放して下さい」
「いえ、ですからコメントをお願いします」
「だから、腕を放して下さい」
「いい加減にして下さいコメントをお願いします」
「・・・・・だから、腕を放せとコメントをしているじゃないですか」
「ふざけているんですか?」
「貴方がコメントしろと言ったんじゃないんですか
いい加減にして貰って良いですか?」
「いい加減にしろと言いたいのはこちらの方ですね
何で真面目に答えてくれないんですか」
「氏家さん、逮捕しますか?」
巡査の一人が手錠を持ち出す。
「・・・あ、そっかそれもそうですね」
「公権力の横暴だ!!」
「いや命がかかっている時なのにそんな事も言ってられないでしょう」
「カメラマン!!撮って!!」
「うわぁ!!危ない!!」
「へっ?」
荷物を抱えた青年がカメラマンとぶつかりカメラが落ちて壊れる。
「!?」
「あー、すみません!!うっかりしてました!!」
青年が頭を下げる。
「誰貴方!?」
「病院にバイトに来た夢宮って言います
すいません、シェルターってどっちですか?」
「案内しよう、君達も早くシェルターに」
「カメラ弁償しなさい!!」
「いい加減にしないか!!」
押し問答をしているとドゴオオオオオォォォン!!と轟音が鳴り響いた。
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