第68話【正義】
小波が振り返るとそこに居たのは甲殻を纏った怪人だった。
『・・・誰?』
『78、アンタが警察署を襲った怪人か』
『・・・だったら如何する?』
夢宮は甲殻でバットとボールを造り出して小波に撃ちこんだ。
だが小波がパンチで甲殻のボールを打ち砕いた。
『へっ、こんな物、大した事無いわね!!』
『・・・・・』
『さぁ如何する!?』
『・・・・・』
脇の小路に逃げる夢宮。
『おいおい逃がすかよ!!』
バットを投げられる、しかし小波はそれも破壊する。
『待てよ!!』
追いかけた先には誰も居なかった。
『・・・・・何処に行きやがった!?糞!!』
周囲を探し回る小波、後方からボールが当たる。
『ぐっ・・・!?何処だ!?』
周囲を見渡す小波、すると三階建てのビルからボールを投げて来る夢宮の姿が見えた。
『そこかぁ!!』
大急ぎでビルに入り階段を上る、そして夢宮と相対するも窓から夢宮は飛び降りた。
『逃がすかぁ!!』
自分も落ちても平気だと思った小波は後に続き飛び降りた。
だが・・・
『追いつっ!?』
ぐさりと腹部に槍が刺さった。
先に飛び降りた夢宮が準備をしていたのだった。
『くっ・・・何と卑劣なっ!!』
『・・・・・』
夢宮は再度その場から立ち去った。
『まてっ!!』
今度は追いかけられなかった、腹部の槍が深手だったからだ。
『くっそ・・・・・?』
何かが聞こえて来た、この音は・・・
ファンファンファンファンファンと小波にとって聞き慣れた音が聞こえて来た。
『パトカーのサイレン・・・っ!!』
今の状況を正しく把握した、今時分は腹部の槍を受けて動けない。
そこに武装した警官隊がくればどうなるか・・・
『糞!!糞!!糞!!』
どんどん近付くサイレンの音、いや待て、もしかしたら私じゃなく
さっき戦った怪人が標的なのかもしれない・・・と現実逃避する間も無く
武装した警官達が小波の前に立つ。
『くそおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!』
怪人から人に戻った夢宮はホテルに戻ってテレビを点けた。
『本日起こった警察署を襲撃した怪人ですが
警官隊の追撃により無事駆除されました
警察の発表では通報が有り、何とか逃げられる前に駆除出来たと・・・』
テレビを消す夢宮。
「これで昨日の暴言はチャラですよ、警部補さん」
そう言いながらベッドに横たわる夢宮。
今日の戦いでバット無しでボールだけ投げれば良いと気が付いた。
投球ならカーブとか変化球も出来るし練習しようと心に決めながら夢宮は眠りに着いたのだった。
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