第63話【警察】

「ちょっと話聞いてる?」

「聞いてます、そして帰りますね」


スタスタと歩こうとする夢宮、夢宮の手を掴む小波。

小波の手を振り払う夢宮。


「なっ・・・」


恐らく本気で掴んだのだろう、握力は大した物だった

対怪人課所属と言うだけは有る、大の大人でも引き留められるだろう

そしてそんな握力をあっさり払われた事に驚きを隠せない小波。


「・・・ちょっと落ち着いて頂戴、これだけの力があれば対怪人課で鍛え上げれば

貴方はより良い人生が送れる筈よ」

「より良い人生ですか、貴方の様に警察手帳を

ひけらかして人の時間を無駄にするのがより良い人生ですか?」

「っ!!貴方ね!!私は過剰防衛で貴方を逮捕する事も出来るのよ!!」

「脅しですか?」

「っこの!!」


小波が夢宮の胸元を掴んで殴り飛ばす

当然ながら夢宮にはまるでダメージが無い。

無言で見返す夢宮、それに腹を立てたのか小波は尚も殴る殴る。

怒りに任せて尚も殴る、血が出始める、小波の手からの出血である。

そうこうしている内に・・・


「何をしている小波!!」

「!!ぼ、ボス!!」


小波が夢宮を離してボスと呼ばれる強面の中年男性に駆け寄る。


「お前の馬鹿力で人間に殴りかかるとは如何いう了見だ!!」

「ち、違います!!聞いて下さいボス!!」

「何だ!?」

「すいません

何かこの人が僕が警察に入らないと逮捕するとか何とか言い始めて・・・」

「余計な事を言うな!!」

「何を考えてるんだ小波!!」


ボスと呼ばれた男性は慌てて小波を夢宮から引き離す。


「お前、覚悟しておけよ」

「ち、違うんですボス!!コイツは!!」

「言語道断だ!!こんな店の中で騒ぎを起こしおって!!連れていけ!!」


二人組の制服警官に腕を掴まれ拘束され移動させられる小波。


「ちょ、待って!!何で私がこんな目に!?私はただその子を助けてあげようと思っただけなのにー!!」


叫びながら連れていかれる小波。


「部下がすまなかった!!」


土下座して謝るボス。


「顔を上げて下さい」


ボスは顔を伏せている。


「悪いのはあの警部補さんです、僕はこれで失礼します」


夢宮はそそくさと店から出て行った。


そしてバッティングセンターに戻って練習を再開した。

如何やらまだまだ狙い通りに弾を跳ね返すのは難しい様だった。

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