第18話【78】

震える一条の前に落ちて来た夢宮。


『・・・・・』

「・・・あ・・・あ・・・」


震える一条、夢宮は如何するかと思案したが無視して通り過ぎる事にした。


「ま、待って下さい・・・」

『?』


一条はこの時限りなく混乱し、止せば良いのに夢宮を呼び止めてしまった。


「あ、貴方はこの前、怪人に襲われた時に戦って止めました・・・

貴方一体・・・何なんですか?」

『・・・・・』


夢宮は思案した、自分は一体何なのかと

怪人を殺す怪人、そういう者だと自分は思っている。

何か呼び名が有った方が良いだろうか、怪人が恐れる様な・・・

怪人にとっての怪人、そういう者に対しての呼び名が

ならば一体何が良いだろうか?


『うーん・・・』

「ひぃ!!」


漏れた唸り声は一条を怯えさせた。

そんな事は無視して夢宮は思案する、自分は一体何なのかと

一しきり考えた後、自分を意味する記号を夢宮は思いついた。

夢宮は傷口から血を指に付けて地面に文字を書いた。


「・・・?」


地面に書いた文字は『78』自分を育ててくれた叔父七十七の次

と言う事で78、書き易いし分かり易いだろうと言う事も考えた。


「・・・78?これが貴方の名前なのですか?」


地面を見ていた一条が顔を上げた時には夢宮は居なくなっていた。






夢宮は人間に戻った後にライダーズカフェに帰った。

怪人の時に負った傷は人間の時には治っていた、但し痛みは有る。


「おぉ、帰って来たか徹!!」


飾玉が出迎える。


「御心配をおかけしました」

「いや無事で何よりだよ・・・」

「おかえり徹君・・・」


桜子も夢宮を出迎えた。


「徹君も帰って来たし今日はもう店を閉めるか」

「ええー、怖いから泊めて下さいよー」


常連客が口々に文句を言う。


「しょうがないな・・・徹と一緒の部屋なら良いぞ、後金取るからな」

「えー」

「えー、じゃない、食事も出してやるから」

「それなら良いですよ」


商魂逞しい飾玉であった。




その後、特に問題無く月日は流れた

2ヶ月が経つ頃にはバイクのメンテナンス技術と改造技術等のバイクに関わるスキルを

夢宮は飾玉から学び終えたのだった。


「それじゃあそろそろ、僕は旅に出ようと思います」

「寂しくなるなぁ・・・だがこの2ヶ月で桜子も元気になったし店は大丈夫だ

行って来たまえ、また何か有ったら何時でも頼れよ」

「有難うございます」


バイクに跨りヘルメットを被った夢宮はまた怪人を殺す為の旅に出るのだった。

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