第17話【甲殻】

互いに柵を引っこ抜き互いに叩き合う。

実質鉄パイプなので当たれば普通の人間なら致命傷は避けられない

怪人でもダメージは通るだろう。

互いにそれは分かっており、互いに鉄パイプを打ち合う事になった。


『はぁ・・・はぁ・・・』

『き、ええええええええええええええええええ!!』

『!!』


栗林は口から超音波を出して攪乱した!!

通常人間の聞ける音よりも周波数が高い超音波は耳に聞こえる訳が無いのだが

怪人の聴覚は人間の物よりも優秀らしく超音波を聞き取ってしまった!!

そして夢宮は悟る、自分がこの街に何となく怪人が居ると認識したのは

超音波を知らず知らずに聞き取っていたからだと・・・


『てぇいや!!』

『っ!!』


手に持った柵を弾き飛ばされる夢宮。


『ならば!!』


夢宮は先程怪我をした肩から甲殻を剥がした!!


『な!?』

『ぐおおおおおおおお!!!』


無理矢理引っぺがした為、血が溢れ始めた。


『これで武器は出来た・・・』


剥がした甲殻を手に持つ夢宮、確かに鋭利なので武器としては使えるだろう。


『いかれてやがる』

『言って・・・ろ?』


手にした甲殻がピシピシと音を立て変形し始める。


『何だ?』


甲殻がまるで剣の様に握り易く、そして鋭く変化した。


『・・・良く分からんが行くぞ!!』


剣の様になった甲殻で斬りつける夢宮、栗林も柵でガードしようとするが

まるで木の枝の様に簡単に両断される柵。


『なんだと!?くそっ!!』


柵を投げ捨て爪で攻撃を仕掛けようとする栗林だったが

剣の様になった甲殻で胴体を×印に斬られてしまった!!

そして血が溢れ出し返り血がべったりと夢宮に付く!!


『ぐお・・・』

『うおおおおおおおおおお!!!』


心臓目掛けて剣を突き立てる夢宮!!栗林の肋骨を貫き心臓に甲殻が刺し込まれた!!


『が・・・あ・・・』

『・・・あ、しまった、爆発す』


夢宮が自分の失態に悟った時には栗林は赤く輝き始め爆発した。


『ぐわああああああああああ!!!』


夢宮は吹っ飛ばされて屋上から地面に叩きつけられた

幸いにもゴミ捨て場に落ちた為に

地面に激突する事だけは何とか防ぐ事が出来た。


『く・・・あああ・・・っと』


起き上がる夢宮。


『・・・・・うん?』


視線を感じて向き直すとそこには・・・


「あ・・・あ・・・」


震える一条の姿が有った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る