野生の馬
【夢を見ました】
家族みんなで放浪の旅に出ることにした。
仕事をやめて、家も引き払った。
今いる場所が、非常に居心地が悪いのをずっと我慢してきたが、ついに限界がきた。そうなると、どこかへ移動するしかないのだ。
行くあてはないが荷物は少ないし、決心さえつけば大丈夫。
とはいえ厳しい状況である。
昔、誰か、占い師のような人が、私達はこういう運命だと言っていたのを思い出す。
そう言われたときは、軽く聞き流していたが、現実はそうなっている。
放浪の途中で、知っているような知らないような人に出会って、たこ焼きの屋台を貸すので、たこ焼き屋をやらないかと誘われた。
「渡りに舟」ってわけである。寝泊まりする場所も提供してくれた。
いろいろな人に陰口を叩かれたり、面と向かって悪口を言われたりもしたけど、今はここにいることに決めた。
たこ焼き屋の屋台は日銭になるので助かる。
屋台を出した場所は裏通りで、人通りが少ない。そのせいか初めはお客がなかなか来なかったが、少しずつ来てくれるようになった。
ある日、屋台で準備をしていると、夫が「今日はやめとく」と言って帰ったので、一人で作業をした。
暑いので薄いノースリーブのシャツを着て、ひたすらたこ焼きを焼き続ける。
暑すぎてぼうっとして、タコを入れ忘れたかもしれない。
ヤバイなーと思っていると、案の定怖いおじさんが文句を言ってきた。でもここは開き直るしかない。
「タコくらいなんや、ネギサービスするわ」と、てんこ盛りにして渡した。
実はもうタコがない。仕入れに行かないと。
女子高生がファンになってくれた。毎日17個予約してくれて、学校の帰りに買ってくれる。
そのうち勤め帰りの人たちも買ってくれるようになった。
たこ焼き屋は大変だけど、なんとかなりそうだ。
人に飼われていない野生の馬が走り抜けた。
元々は白い馬なのだが、土埃にまみれて茶色になっている。馬に続いて大きな犬も走って行った。
夜更けになって部屋に帰ると、夫が幼い娘をお風呂に入れて上がったところだった。今夜は寒いので湯冷めしないように気をつけなければ。
たこ焼き屋が軌道に乗れば、屋台を買い取ることもできるだろうし、頑張ろう。
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