神社
【夢をみました】
神社の境内にきれいな芝生が広がっている。
日よけの帽子をかぶったおじさんたちが手入れをしているのが見える。
しかし作業に熱中しすぎたのか、芝生のエリアが参拝者の通り道を侵食し、歩けるところがものすごく細くなるという結果になっている。
綱渡りでもするように、芝生の間にある細い道を歩かなければならないので、バランスが大切だ。
少しでもはみだすと手入れをしているおじさんたちに怒られるから、細心の注意をはらって歩いて行く。おじさんたちと意見の食い違いのことで議論することは、なるべく避けたいからだ。
本殿は、その先にある巨大な砂の山の向こう側にある。
さらさらと崩れてくる砂に足を取られながら進む参道は、登れば登るほど傾斜がきつくなり、崖のように高くなって、振り返ることなど怖くてできないほどになってきた。
恐怖に襲われて引き返すことも考えたが、振り返れもしないのだから、それは無理だ。恐怖というのは向かっていくと消えるという話をどこかで聞いたのを思い出したので、そうなるのを期待してこのまま進むことにした。
もたもたしている私の横を、おじさんたちが確かな足取りでさっさと登っていく。
私が一人で足を取られてあたふたしていると、砂の中に手すりのようなものが現れたので、どうにか丘の頂上までたどり着いた。
頂上から見たのは、はるか下の方に広がる鉛色のどんよりした平原で、私は更に恐怖を覚えた。足元は絶壁だ。階段のようなものもなければ、手すりも見当たらない。
飛び降りるしか選択肢がない。
多分一瞬で終わる、と飛び上がった途端、全身が突然の大雨に叩きつけられ、私は落ちていった。そして湖に呑み込まれて水中に沈んだ。
水面から顔を出すと暗い空から雨が相変わらず叩きつけ、目も開けられないほどだが、雲の端が錆色になっているのを見ると、いよいよ身の危険を感じた。
水から這い上がってよろよろ歩く。もはや湖の境目は区別がつかない。平原だと思っていたのは湖だったのかもしれない。
鉛色の大地を歩きながら、私は今ここで雷に打たれて一瞬で死ぬかもしれないと思った。一瞬で死ねるのならいいな、苦しむのは怖いから。
・・・しかしなぜか、そういうことを思っているときには、雷鳴の一つも聞こえてこないものだ。
雨も弱まってきた。
なんだかすごくきまり悪くて、小雨に濡れながらとぼとぼ歩いた。
平原だと思っていたのは、どこにでもあるようなビルの屋上だった。
そして階下への入り口にあるアルミのドアを開けて階段を降りていった。
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