廃墟
【夢を見ました】
乾いた、飢えたような気分で、立て続けに煙草を吸っている。気分がはっきりしない。吸えば吸うほど、目に映る色彩もおぼろげになってくる。灰皿が吸い殻でいっぱいになった。
ゴミ箱に捨てるとめらめらと炎が上がった。急いでスプレー式の消火剤を取り出したが、なぜか押しボタンに石けんの泡がついているので滑って押すことができない。
焦っているうちに火が大きくなってきた。台所から消火用布を持ってきてかぶせたら、なんとか消えた。
表に出ると、四条通りは荒れ果てて、壊れかけた埃まみれの建物が並んでいる。私は通りに面した喫茶店に入り、アイスコーヒーをかき混ぜながらぼうっと外を見ている。
外を行き交う人々は、陶器の人形のように無表情で、路面を滑るように素早く通り過ぎていく。
疲れて、私は重い。
通りの風景をしばらく眺めていると、気分が落ち着いてきたので、喫茶店を出て河原町の方に行った。河原町はそれほど荒れていなかった。私はどんどん歩く。歩けば歩くほど気が楽になってきた。
三条の化粧品屋の前で、誰かが私に見つからないように身を隠すようについてくるのに気がついた。
でも、私は彼女のことを分かっている。だから呼び止めはしないよ。
遠くの方に山が削り取られたような絶壁が見えた。その断崖絶壁の上には遺跡がある。石組みの遺跡の周りにきれいな並木が見えた。
崖の下には砂漠がひろがり、時折砂埃が舞い上がるのが見える。
私は電車とバスを乗り継ぎ、知らない町に行った。
小さな洋館が立っている場所に来た。誰かが住んでいるようには見えない。建物はボロボロでつぶれかけていて、周りには草が生い茂っている。
突然、知っている人の笑い声がした。
そういえば遠い昔、ここで私は暮らしていた。小窓に見覚えがある。それに、グリーンのペンキで塗られたキッチンには、確かに私がそこにいた記憶が貼り付いている。
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