人々

【夢を見ました】


東京に用事ができたので新幹線で行くことにした。自由席は空いていて、三人がけの一番窓側に座った。

東京までは時間がかかるので、ゆっくりしようと思っていると、おしゃべりな中高年の女性たちがなだれ込んできて、三人がけのシートを回転させて向かい合い、私の周りにぎっしり座り、若い私をちらっと見ては嫌みなことを言いたい放題言っている。

私は無視を決め込んで、窓の外をながめていた。


すると、おもむろに停車しアナウンスがあった「通過待ちです。35分お待ち下さい」新幹線なのに!?

周りの騒がしいおばさんたちは、それを聞くと血相を変え、口々に「弁当を買おう」と言いながら走って出て行った。


止まっている場所はどうも駅ではないようだ。

おばさんたちが帰ってきた。町の寿司屋とかいろいろなめずらしい店で買い物をしたようで、走ってしんどかったの、何分かかっただの、値段がいくらだった、というテーマでさらにやかましく盛り上がっている。

でも、そんなことがあったので、すっかり私のことには気をとめなくなったので、ほっとした。

そして弁当を食べ始めたのでさらに静かになり、私はくつろいだ。


やがて車内アナウンスがあり、7両目と8両目を切り離すと言う。新幹線ってこんな感じだったっけ。

私のいる車両は東京まで行くようなので安心ではあるのだけれど。

さっきのおばさんたちは、みんなあわてて、大騒ぎしながら別の車両へ移動して行った。


東京に着くと、母が鬼の形相でホームに立っている。

いつものイライラした口調で私をものすごく急かしながら、病院へ連れて行った。母は病院関係者なので、私も母も患者というわけではない。裏方なのである。

私は別の用事で来たのだが、このような母に逆らえるわけがない。


着いた病院はすごく汚い所だった。さらに汚いエレベーターで2階に行くと、座敷の大広間で客を迎える準備をしている。当然私もかり出されて働く。

客の来る時間が近づいてきたのに、どうしても3人分足りないのに気付いた。

仕方がないから、近所の店で料理を買ってきて間に合わせることにした。

そのうち客がぞろぞろ入ってきて、分厚い座布団の上であぐらなどかいて、煙草を吸ったりしている。

私はだんだん自分の状況に腹が立って、立ち去ることにしたが、もう用事には間に合わないので帰ることにした。


家の近くの駅に着いたら知人に会いそうな道を避け、狭い抜け道を通って帰った。

家では夫が一人で台所で食事を作っている。娘の姿が見えないのでどうしたのか聞くと、お手伝いを雇って娘の面倒を見てもらっているという。


やがて男性のお手伝いが娘を連れて帰ってきた。

そして私を見ると、得意そうに自分の方が子育てが上手だと主張し始め、大げさに家を留守にした私への批判演説をする。


私は黙って娘を抱き上げ、演説中のお手伝いを追い出した。

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