第177話テストの発表

麻莉菜と凜と三人で学校に向かっていた、晴斗は嬉しそうに二人を見ていた。

「晴兄どうしたの?笑って気持ち悪い」

「うるさい、100点が返ってくるんだよ、凜にな~にしてもらおうか考えてるんだよ」


不適な笑みを凜に向けると足を踏まれて、麻莉菜の横に移動していた。

「晴兄は変態だから、変なことしてもらうの?」

「しばくぞ…もう凜としてるわ」

「晴くんしばくよ」

「真似すんな、言葉使い汚い」

「…えっ‥お姉ちゃん達?」


麻莉菜は二人に挟まれているため、交互に見上げていた。

「変なことって色々あるからなぁ、足触って寝たとかな‥」

「そ、そうだよ‥晴くん変態だから‥」

「……」


麻莉菜は居づらくなったのか、近くに友達の姿が見えると走って行った。

「晴くん、本当に怒るよ」

「…嫌いになるかも‥」

「…傷つくから‥冗談でも言わないで」

「ジョーク」

「冗談と変わんない」

「バレたか」

「…ば、ばかにした」

「したよ、怒った表情見たかった」

「怒んない」


凜は腕組みをして「プイ」と言うと、顔を逸らして学校まで無視されていた、教室に入ると凜は不機嫌だった。

「今の凜は不機嫌なんだなぁ、可愛いよねぇ」

「ふざけないで」


可愛らしいげんこつを貰うと晴斗は嬉しそうに笑っていた。

「やっと口聞いてくれたね、寂しかったな」

「…うるさい」

「…本当に傷つく」


晴斗は静かになると、両肘を付いて頭を抱えていた。

「冗談だよ、仕返しだよ」

「…嫌い」

「私は大好きだよ」

「俺は逆に大嫌いだね」

「…大好きって言ってよ」

「拗ねてるから嫌だ」


チャイムが鳴るまで凜につっかれて遊ばれていた、数時間後にテストが返ってくると、晴斗は凜を見ていた。

「ご褒美は何貰おうかなぁ」

「満点だったらね」

「バカじゃねよ」


先生に名前を呼ばれると、晴斗はニコニコしながら英語のテストを受け取りに行った。

「今回は全問解いてたね」

「英語だけ得意なんでね」


晴斗は点数を見ると満点だった、凜に紙を手渡すと唇を噛んでいた。

「何で満点取れるの?」

「知らん、本気でやるとバカじゃねからなぁ」

「他のテストは60点だった…真面目にしてないの?」

「真面目にして60点」

「嘘だね、空欄ばっかりだった」

「めんどくさいんだよ、解いてると飽きる」

「…ばか、本気で解きなさい」

「解いてたら何してくれた?」

「優樹姉さんに晴くんが真面目にテストしないって言うからね」

「言えばいい…留年しなかったら怒られない」

「この‥元不良」

「はぁ? 怒るぞ」

「…馬鹿にした晴くんが悪いの」

「凜には怒らないよ、怖がらないでね」


優しく頭を撫でて黒板に視線を向けていた、皆がテストを受けとると晴斗は先生に言われた。

「飯島くん、英検取ったら?」

「要りません」

「晴くん取ってみてよ」

「持ってるから要らないってこと」

「何級持ってるの?」

「内緒」

「…隠し事多い‥」

「凜の困った表情も好きで教えたくなくなるんだ」

「…ばか」


晴斗は困った表情を見て笑い始めると凜に頭を殴られ、周りで見ていたクラスメートは「また困らせて楽しんでる」と聞こえたが無視していた。


午前中の授業が終わると、晴斗は凜と二人で中庭のベンチに座ってお弁当を広げた。

「中庭は一年生が多いな」

「麻莉菜も居るよ」


凜が指を指した方向に視線を向けると、麻莉菜は友達と食べていた。

「毎日麻莉菜と一緒に居た男子が居ないな」

「休んでるのかもよ」


二人で麻莉菜を見たり、話をしながら食べ終わると、晴斗は直ぐに凜の膝に頭を置いた。

「…周りの視線が痛いよ」

「常に見られて気分悪い‥気にするだけ無駄」

「…晴くんがモデルさんってバレてるからだよ」

「顔見せてないからバレてない…毎日見られると精神的に疲れるんだ‥防衛本能が働きそう‥凜に怒られるから黙ってるけどな」

「突っ掛かりに行きたいの」


お腹の方向を向いて、膝に頭を置いたまま晴斗はコクコク頷いていた。

「集団になるとクズ達は強気になるからな、文句の一つぐらい言いたい…嫉妬させてやる‥膝枕してていいよね?」

「…恥ずかしいけど良いよ‥晴くんが最近疲れてたのは視線のせいでもあったんだね」

「あぁ‥イライラし過ぎて疲れる、凜と居ると忘れられるんだ‥なんでだろうな」

「…す、好きな人と居るからかも」


恥ずかしそうに言われると晴斗は凜を見上げていた、視線が合うとまた恥ずかしそうに頬を染めてニコッと笑みを送られた。

「凜しか見てないからかもなぁ」

「ふざけてるよね?」

「ふざけてないよ、凜の笑みは俺の薬なんだ」

「何の薬なの?」

「…一番は寂しさが無くなる‥あとは内緒」


顔を隠して教えると凜にクスクス笑われて頭を擦られていた、晴斗は腰に両手を回すとギュッと抱き締めていた。

「…見られて恥ずかしいけど‥‥晴くんのために擦っててあげるね」

「男女関係なく見られてるな…頑張れ」

「…私達ってカップルに見えてるのかな?」

「見えてるんじゃね? 簡単に言えば俺達の関係ってそんなところだろ?」

「…うん」


ベンチで二人は話していたが腰にチョップされ「堂々とイチャイチャと‥バカ兄妹」と麻莉菜の声が聞こえた、聞き取れないが遠退く声も聞こえていた。

「うるさかったな」


昼休み中に晴斗は人目も気にせず凜の膝に頭を置いていた、チャイムが鳴る頃に教室に戻ったが、男女関係なく廊下を歩けば見られていた「気にするだけ無駄」と教えて二人は話ながら席についた。

「凜がテスト勝ったよね、望みを叶えてあげる…考えといてね」

「うん」


放課後を迎えると、晴斗は思い出したように財布からチケットを凜の机に置いた。

「晴くん、何この紙?」

「凜がテスト勝つって分かってたからデートのお誘いだよ、行く?」


クラスメートの目を気にすることもなく、晴斗は首を揺らしながら返事を待っていた。

「返事は? 嫌ならチケット無駄になるし‥誰か連れて行くよ」


晴斗はわざとクラスメートの前で返事を待っていた、凜が俯いて考え始めると、凜の机に肘をついて顔を除き混んでいた。

「もう麻莉菜誘うね」


晴斗がチケットに手を伸ばすと、凜に手を捕まれていた。

「凜の望みは何?このチケットでデートで良いってこと?」 

「…このお花絵が書いてるチケットって何?」

「お花畑のチケットだよ、行く?」

「…行く」

「デートに行くってことだね、手も繋がないと連れていかないから…今から手を繋いで帰ろうな」

「……」


凜の手を握って立ち上がると、二人は教室から出て行こうとした。

「皆またな」


晴斗は友達に手を降ると「強引」というフレーズが聞こえたが、笑って教室を出ていった。


家に帰ると、凜はムッとしていた。

「怒ってる?」

「晴くんが強引で‥恥ずかしかった」

「俺は楽しかった…凜も嬉しいかと思ってた‥ごめん」

「私も嬉しかった‥でも恥ずかしかった」

「恥ずかしいそうな表情をされるとね…」

「からかいたくなるの?」

「うーん‥そうかもな」

「やっぱり…晴くんはドS」

「凜はドMだよな」

「…晴くんから見ると‥そう見えてるんだね」

「見えてるよ」


着替えて寝室で横になると、凜もベッドに上がってきた。

「凜は俺より点数が良かったよね、望みは何?」

「お花を見に行くって晴くんが決めたんじゃないの?」

「教室で聞きたかっただけ、望みを決めてないなら今度聞くね」

「うん…二人だけで‥お花を見に行きたい」

「良いよ」


ベッドでテレビを見ていると麻莉菜が帰ってきた、呼ばれて二人はリビングに向かった。

「残り物を温めるだけで良いよね?」

「麻莉菜の好きにして良いよ」


晴斗がお風呂の支度を終えると、テーブルに晩御飯が置かれていた。三人は食べ終わると各々お風呂に入り、晴斗は入浴後に寝室に入ると横になっていた。

「晴くん、起きてる?」


そっとドアが開く気配がして視線を向けると、凜が立っていた。

「起きてるよ」

「…毎日一緒だね」


ベッドにゆっくり乗ってくると、凜は晴斗の胸に頭を置いていた。

「まあな、凜が居てくれるだけで落ち着く」

「寂しくなっても私が居るからね」

「…キスしていい?」

「晴くんならいつでも良いんだよ」

「学校でもしていい?」

「だめ」


晴斗は鼻で笑うと凜にキスしていた。

「…英語満点だったでしょ、晴くんの望みは何?」

「デートが望みで良いよ」

「そんなことで良いの?」

「凜と居るだけで…嬉しいから要らないんだ」

「私とずっと一緒に居るって望みは要らないの?」

「…凜の気持ちが他の男に変わるなって思うけど‥縛る感じが好きじゃないから言わない」

「変わらないよ‥こんなに好きになったの初めてだもん」


晴斗は鼻で笑って溜め息をついた。

「俺しか男を知らないからだろ……痛い」


凜に頬をつねられると、晴斗は腕を掴んでいたが、ムッとした表情を向けられていた。

「毎日ドキドキして‥ずっと一緒に居たいって思ってるの…笑わないでよ」

「ごめんね、俺も一緒に居たいと思ってるよ…」

「嬉しい…早く大人にならないかなぁ」

「何で凜は大人になりたいの?」

「晴くんと結婚出来るでしょ」

「…あっそ」


晴斗は壁を向いて目を閉じると、凜はクスクス笑い始めた。

「晴くん、照れてるの?」

「…うるさいな、眠いんだよ」

「嘘だぁ、嬉しかった?」

「少しな」


背中を突っつかれて笑われると、晴斗は振り向いて両手首を掴んでいた。

「うるさいな」

「晴くんのお顔が赤くなってるぅ」

「黙れ」

「何する気?」

「うるさい子にはお仕置きが必要だよね?」

「優しくしてね」

「…笑ってるけど‥からかって楽しんでるよね?」

「うん…晴くんの好きにしていいよ、やる気なくした?」

「無くした」


両手首を掴んだまま、晴斗は股がると、顔を近付けていた。

「好きにしていいんだよね?」

「…うん」


キスをすると、首を吸っていた。

「…嫌‥やめて」

「うんって言ったよね?俺の望みはキスマークを首に‥‥」

「…デートじゃなかったの?」

「そうだけど付けたかった…見える場所に付けると落ち着くから」

「…望み…約束…」


凜は両手首を頭の上で捕まれたまま考えていたが、晴斗は考える表情を見てキスして笑っていた。

「晴くんの望みなら首に良いよ…特別だからね」

「本当に良いのか? 学校で見られるよ」

「…恥ずかしいけど、私は慣れないといけないもん…晴くんほど堂々と出来なくてごめんね」

「本当に良いんだな」


首に付けて良いと言われた晴斗は、凜の首にキスマークを付けて笑っていた。

「気がすんだから寝るわ」

「…私の番?」

「しらん」

「おやすみの…」

「さっきしたよ」

「さっきのおやすみじゃないよ‥」


何度もブツブツ言われると、晴斗はキスしていた。

「…手繋いで寝よ」

「抱き締められないんだが‥」

「抱き締めて寝るの好きだね」

「……」

「今日、満点取ったご褒美だよ」


凜は晴斗より上がると、胸を叩いていた。

「胸に顔当てて寝るの好きだよね、良いよ」

「…言われてみれば‥好きかもな」


凜の胸に顔を当てると、背中を優しく叩かれていた。

「俺は赤子じゃない」

「…こうしてたいから良いの」


されるがままお互いに静かになった、凜の手が止まって顔を見ると寝ていた、晴斗は体勢を変えて凜に腕枕をして眠りについた。






































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父さん母さん、僕は高校生になってやっと素直になれました。 ちゃま @kchama

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