第148話気持ち…

17時頃…バイク二台で親戚の家に来ていた、麻莉菜は自分の鍵使って玄関のドアを開けた、リビングに三人で入ると、晩御飯の支度をしていたり、テレビを見ていた両親に「ママ、パパただいま」と麻莉菜は言った。

…親も嬉しそうだな、祐希の靴無かったし、デートだな。


麻莉菜は、晩御飯の支度をしていた美香さんの元に行くと、背後から少し抱き締めていた、悟さんはパパと呼ばれてにやけながら、近づいて手を広げて待っていたが、麻莉菜は笑って通りすぎた。

「父さんにハグ無いのか。」

「しないよ。」

「なら、今度からパパって呼んでね。」

「絶対呼ばない。」


麻莉菜は楽しそうに笑っていた、晴斗も悟さんの真似をして手を広げてハグを待っていた、麻莉菜は少し頬を染めて抱き締めてきた。

「パパって呼んでやれよ。」

「…やだ。」


直ぐに晴斗は手を放してソファーに座った、すると、凜は隣に座って顔を覗いてきた。

「何?」

「膝枕どう‥かな?」

「皆居るよ?」

「…良いよ。」


凜が膝をポンポンと叩くと、直ぐに横になってお腹に顔を当てた。

「凜は優しいな。」

「晴くんにだけ優しいんだよ。」

「…そうっすか。」


膝枕をされて、頭を撫でられていた。晴斗の腰に麻莉菜が座ったが、なにも言わなかった。

「私が居ないとき、凜姉ちゃんに膝枕してもらってるの?」

「毎日じゃないよ、数えれるぐらい‥かな…凜の膝枕は安心する。」

「…あっそ。」


麻莉菜の声は少し悲しそうだった、晴斗は手探りで麻莉菜の腕を掴んで一緒に横になった。

「…き、急に何するの、ビックリするからやめて。」

「俺は凜の膝枕で、麻莉菜は俺の腕枕な。」

「…どうしてそうなるの…せ、狭いから放してよ。」

「かまって欲しいから座ってたんだよね? てか、抱き締めてくれないと、俺が落ちるって…」

「…晴兄は強引すぎる。」

「落ちるから…暴れるなって。」


晴斗は凜の膝から頭を放さず、麻莉菜の足に足を絡めて腕を押さえ、おとなしくなると抱き締めた。

「最近の麻莉菜ってちょっかい掛けてきたと思ったら、突っ掛かるよな…何でなん?」

「…何でだろうね。」

「何で睨んできたり、急にニコニコしたり、怒ったりするの?」

「…だから‥教えない。」

「あっそ。」


晴斗は凜の膝から頭を置いたまま目を閉じていた、寝てたのか、直ぐに祐希の声で目を開けると、皆席に座って晩御飯を食べていた。

「凜‥起こしてよ。」

「気持ち良さそうに寝てたから…そのままにしたの。」


晴斗は溜め息をついて一緒に晩御飯を食べ始めた、大人二人は麻莉菜が夜遊びしてないか心配していた。

「してないですね、でも最近機嫌が悪いんですよ。」


急に麻莉菜は箸で食器をならして怒ったかと思うと、恥ずかしそうに、悲しそうに言われた。

「…凜姉ちゃんにキスマーク付けたり‥キスしてるって聞いて…」


晴斗は首を傾げて、不思議そうに麻莉菜を見つめて言った。

「何で凜にキスしたら、麻莉菜が気にするん…」


すると、皆に、呆れたといわんばかりの視線を向けられ、溜め息をつかれた。

「なんすか、俺が可笑しいこと言いましたか。」

「晴くん本気で言ってるの?」

「娘は、晴斗くんが好きなんだよ。」


凜と悟さんに言われると、麻莉菜は「違うから、変なこと言わないでよ…晴兄も誤解しないで」と真っ赤な顔でこっちを見ていた。

「俺がからかうから、からかってくるんだよな。」

「……そうだよ。」


麻莉菜は悲しそうに言ってきたが、晴斗は「俺は勘違いしないよ」と伝えた。

「あぁ、話変わるけど、麻莉菜はデートしたんだよね。」

「言わないでよ。」


悟さんは麻莉菜と晴斗を交互に見て「彼氏が居るのか」と顔色を変えて聞いていた。

「断れなくて‥行っただけ…彼氏じゃないから。」


麻莉菜はムキになって、皆に教えた。悟さんも美香さんも男子が気になって質問ばっかりしていた。


食べ終わると、麻莉菜は逃げるようにお風呂に向かった。数時間後、晴斗はお風呂から上がると、皆とリビングでテレビを見ていた。


22時になると、凜は聞いてきた。

「明日もバイトでしょ、寝なくていいの?」

「朝早いんだった‥寝る。」


晴斗が立ち上がると、皆に一言「朝5時過ぎに出掛けます」と伝えると、大人二人と祐希は「何のバイト?」と聞いてきた、内緒と答えて凜と寝室に向かった。


二人で布団を敷いてると、麻莉菜も入ってきた。

「布団無いから、一緒に寝よ。」

「良いよ。」


二枚の布団をくっ付けて凜が真ん中に寝ると、晴斗は手を握られていた。

「凜‥抱き締めて寝て。」


凜は恥ずかしそうに握っていた手を握り締めて言ってきた。

「…嫌だよ。」


麻莉菜は体を起こして、晴斗を見て言ってきた。

「二人は家で…抱き付いて寝てるの。」

「凜が先に寝たら、俺から抱き締めてるんだよ。」

「寝込み…襲ったりしてないよね、変なことしてないよね。」

「俺らの寝室から変な声聞いたことあるのか?無いだろ‥俺をなんだと思ってんの…襲ったことないから…」


晴斗は言うと、拗ねるように布団を被って顔を隠した。

「麻莉菜に言ったよね、襲ってこないよって…そんなこと言うと本当に嫌われるよ。」

「晴兄ごめんなさい。」

「晴くん、最近すぐ傷ついてたまに泣くんだよ。」

「…凜‥余計なこと言うな…バラすな。」

「私は、二人が一緒の部屋で寝てるって学校でもバラしてないよ、口固いからね…晴兄が泣くって言わないよ。」

「俺、泣かないし。」

「凜姉ちゃんの前だけ泣くってことでしょ、内緒にするからね。」

「…俺の話聞いてないね…凜‥こっち向いて。」


晴斗は溜め息をついて、凜を布団の中で抱き締め、胸に顔を埋めて寝ようとしたが、麻莉菜に布団を捲られた。

「晴兄‥何してるの。」

「寝てるんだよ、恥ずかしいから‥見ないでほしい。」


晴斗は布団を被り直して、凜とお互いを抱き枕にしていると、捲られた。

「だから捲るなよ。」

「何で胸に顔‥当ててるの。」

「…麻莉菜も好きな人出来たら俺の気持ちが分かる、俺はずっと抱き締めててほしい、凜も良いよって言ってくれて落ち着くんだ…この事内緒な。」


麻莉菜は「私も好きな人居るけど‥片想いなんだよ」と悲しそうに言ってきた。

「辛いなら気持ち伝えたらいいじゃん、相手に彼女居る?」

「…彼女か分かんないよ、でも好きな人は私の知り合いと両思いだった。」

「でも奪えばいい。」


晴斗は座って笑いながら教えたが、麻莉菜は泣きそうになっていた、凜は申し訳なさそうに、麻莉菜の横で背中を擦っていた、晴斗は麻莉菜の横に寝転んだ。

「麻莉菜おいで、泣きたいなら泣けばいい。」


麻莉菜が啜り泣くと、凜は抱き締めてて「辛い思いさせて‥ごめんね」と小声で言ったため、晴斗には聞こえていなかった。

「麻莉菜、たまには一緒に寝よ、俺は襲わないから安心してね。」


凜と麻莉菜は二人で小声で話終わると、麻莉菜は晴斗の胸に抱き付いて啜り泣いていた。

「家で一人で寝ると寂しいよな、実家に帰ってくると美香さんに甘えてたよね…本当に寂しいなら、俺も一緒の部屋なんだけど…たまには三人で寝ていいからね。」

「……うん。」


麻莉菜が静かになって顔を除き混むと寝息をたてていた。凜と目が合うと「晴くんで安心したんだね。起こしちゃうかも知れないから、そのまま寝てね」と言われ、晴斗は手を伸ばした。

「手繋いで。」


凜にキスされて手を握られると、晴斗は麻莉菜に抱きつかれたまま、眠りについた。


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