第142話誤解を招く②

晴斗は家にこっそり入って寝室で着替え終わると、リビングに足を踏み入れたが、麻莉菜に睨まれた。

「睨んでるけど、俺が何かしたか。」

「……」

「晴くんが女子と歩いてたんだって。」

…陽菜のことだな。

「一緒に美容院行ったんだよ。」


晴斗は室内でもパーカーを着て頭を隠していた。

「凜、俺の髪見たい、見たいよね。」


晴斗はパーカーを脱いで、二人に見せると苦笑いされて呆れられ、急に麻莉菜がお腹を抱えて笑いだした。

「どうしたのイメチェン?ふざけてるの、何処のヤンキーなの、頭打ったの。」

「……麻莉菜って酷いんだね。」


晴斗が拗ねて静かに出された晩御飯をお盆に戻して、寝室持って行って食べていると、凜が入ってきて、苦笑いして「何で染めたの」と聞いてきた。

「…おかしいよね、ついでに染めたんだ。」

「おかしくないよ、晴くんの地元の友達と変わらないね。」

「…変に慰めなくていい、赤メッシュだけにしたら良かった。」

「色の問題じゃない、学校で目立っちゃうよ。」

「……ごめん、本当にごめん。」

「似合ってるよ、落ち込まないでね。」

「…お世辞でも嬉しいよ…麻莉菜が嫌いになりそう。」

「お世辞じゃないよ、本当に似合ってるよ。」

「…やっぱり優しいね。」

「麻莉菜が反省してたよ。」

「…染めた俺が悪いんだよ…一人にして。」

「本当に似合ってるから悩まないでね、食べ終わった頃に食器取りに来るね。」


晴斗は一人で静かにご飯を食べ終わると、お風呂に向かった。

…学校でもフード被っとこ。


 入浴後

リビングに顔を出すと、麻莉菜がソファーの上で体育座りで俯いていた、凜は隣で「大丈夫だからね」と言っていた。

「麻莉菜泣いてんの。」


晴斗が麻莉菜の顔を覗くと「晴兄バカにしてないから、髪染めて驚いたの、本当は似合っててカッコいいよ、言うのが恥ずかしかった」と急に言われた。

「染めた俺が悪いんだ…嫌いになって追い出すと思ったのか。」


麻莉菜は「ちょっと違う」と言いながらコクコク頷いていた、晴斗は笑いながら頭を優しく擦って「嫌いにならないからな、染めたことバラすなよ」と教えた。


麻莉菜に髪を染めたことを聞かれたが教えなかった、陽菜が好きか聞かれると友達と教えた。

「何で麻莉菜が友達のこと気にしてるのかな?」

「…気にしないで。」

「分かった。」


晴斗は二人に「早く風呂入りなよ」と言って寝室に向かうと、直ぐに眠りについていた。


……………………………………………


翌朝7時、スマホのアラームで晴斗は目を覚ました、支度をしてリビングに姿を出すと、お互いに挨拶を交わして朝食を食べていた。

「晴くん寝るの早かったね。」

「疲れてたのかもな。」


食べ終わると麻莉菜は友達と学校に向かった。晴斗は凜とソファーに座っていた。

「今日はバイクで学校に行くよ…放課後用事があるんだ、凜のヘルメット貸してほしい。」


晴斗が申し訳なさそうに言うと、凜は怒って聞いてきた。

「今日も陽菜ちゃんて言う子と会うの。」

「…そうだけど、陽菜は友達なんだ、凜だけ愛してる…今は会う訳聞かないで…おかしいこと言ってるけど‥信じて。」

「絶対怒らないから、会う理由教えてよ。」

「…本当に言いたくない、怒られる。」


凜は抱き締めてきて「怒らないから教えて」と優しく言ってきた。

「…陽菜とバイト先が近くなんだ、本当にごめん。」

「怒らないけど、どうして黙ってたの、いつからバイトしてるの。」

「…今日が初出勤、凜と一緒にバイトする約束してたのに、ごめん…電気ガス水道、家賃とかまだあるんだよ、スマホとか学校とか、まだ…黙ってたけど、遺産に手をつけると苦しいんだよ、少しでも足しにしたい…理由聞かないで信じてほしかった、言いたくなかった…」


晴斗が頭を抱えて消え入りそうに言うと、凜は「私のわがままで苦しめてるのに気づいてあげられなくて、信じてあげられなくて…ごめんなさい」と言って謝ってきた。

「…陽菜がバイト教えてくれたんだ、俺が好きなのは凜なんだ、俺は凜にも内緒にしたいこと言いたくないことあるんだよ…最近しつこく聞かれると嫌なんだ。」


また謝ってきたが、晴斗は「ずっと内緒にする気はない、時期がきたら話すから…しつこく聞かないで」と教えた。

「…ごめんね、謝ることしか出来ないけど、晴くんにしてあげられることあるかな。」


晴斗が膝枕を要求すると、凜は膝を叩いてニコニコしていた。

「晴くんおいで、子供なんだから。」

「今は子供って言っても何も言い返せないなぁ……あぁ‥落ち着けるかな。」


凜の太ももを触りながら膝枕をしてもらっていると、頭を擦られていた。

「晴くんは足が好きだね。」

「そうかな?」

「…晴くんなら‥好きなだけ触って良いよ。」

「…あぁ、恥ずかしそうに言うな。」


晴斗は目を閉じて気持ち良さそうにしていた。

「…今日は学校休んで膝枕して欲しい、ずっと抱き締めて欲しい、あーんもして欲しい…ダメ?」

「子供みたいなこと言わないの。」

「ちっ」


晴斗が舌打ちを何度もして、凜を見上げていると「遅刻しなかったら、昼休みに膝枕してあげる」と頬を染めて言われた。

「教室で膝枕してくれるの。」

「…隠れてだよ、晴くんは特別なんだからね。」

「隠れてって言うけど、体育の時間に膝枕してくれてるよね。」

「晴くんが皆の前で勝手に置いてくるんでしょ。」

「俺の頭がいうこと効かないんだよ、全くダメな頭だよな。」


凜は口を隠してクスクス笑って、ソファーから落とされが、晴斗は何も言わずに見つめていた。

「晴くん座ってよ、学校行くよ。」

「膝枕ぁー」

「座りなさい、立てないでしょ。」

「……」


何も言わずに見つめていると、凜は恥ずかしそうにスカートを押さえて立ち上がった。

「隠しても見えてる。」

「もう‥変態早く座りなさい。」

「…添い寝して、バイクだから…5分だけお願い。」


凜は座ってキスしてくると、リビングから出て行った、晴斗は叫んだ。

「座って期待持たせるって鬼畜かぁ、キスじゃない…膝枕ぁー」

「遅刻するから来なさい。」


晴斗はめんどくさそうにリビングから出ると、凜はヘルメットを持って立っていた。

「鬼畜さん、ズボン履かないのか。」

「そんな呼び方しないでよ。」

「俺を変態って呼ぶくせに。」

「事実でしょ、そんなことより見えちゃうのかな?」

「今は誰かさんのせいで機嫌悪いから、凜のパンツ見た人ひっぱたくよ…年上でもな。」

「冗談いいから、晴くんが見えないように守ってよ。」

「はぁ…わがままな妹。」


めんどくさそうに言って家を出た、凜はスカートを押さえて股がった。

「やっぱり見えたから履いてこい。」

「昨日体操服学校に持って行ったから無い、晴くんになら見えてもいい。」

「あっそ、まだ時間があるな。」


晴斗はわざと大通りに出ていた、信号機で止まるとグローブを付けてないため、凜の足を触っていると頭突きされた。

「見られてるでしょ。」

「やめないからな。」


学校の生徒に見られていたが、気にする様子もなく学校の駐車場に止めると、先に凜を下ろさなかった。

「変態男子が横目で見てるからな、勝手に降りるな。」

「はーい。」


晴斗は先に降りると、凜に軽くステップに立たせてお姫様抱っこで下ろした。

「ありがと。」

「言葉はいらない…キスして。」

「…バカ。」

…可愛い。


こっちを食い入るように見ていた男子は、眉間にしわをよせて落胆していた。

…バカめ、凜の見せるわけなかろうが、てかフードを被らないとな。


人気が無くなると、晴斗はヘルメットを脱いでフードを被って教室に入ったが、晴斗は男子に睨まれ、女子が近づいてきた。











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