第139話合コンと…面接

今日初めて知り合った祐介とその友達四人、晴斗を入れて合計6人で駅に向かって歩いた。

「何で俺が呼ばれたんだ。」

「晴呼んでって電話越しに聞こえてだぞ。」

「誰だろうな。」

…晴って呼ぶのは友達なんだよなぁ。


4人で駅前に居ると、女子五人が歩いてきたが、晴斗は目を閉じて壁に凭れ掛かっていた。

「身長高い女子だな、でも可愛いな。」


可愛い、綺麗と聞こえたが晴斗は反応しなかった。

「晴、昔と変わらないね。」

「晴斗の知り合いですか。」

「そうだよ、私だよ‥陽菜だよ。」


祐介の声が聞こえて陽菜と聞いてパッと目を開けると、目の前で陽菜という女子を見つめていた。

「陽菜じゃないな。」

「本当に私が陽菜だから、ほらこれ。」


晴斗はブレスレットを見せられ「マジで陽菜か、綺麗になったな」と答えて、雪に居場所教えられて「学校が近かった」と教えられた。

…俺があげたブレスレットですな。

「…晴、三年ぶりぐらいだね。」

「あぁそうだな、よく面出せたな。」


陽菜は凜より少し髪が長くて金髪で170㎝近くはあったが、出てる所は出てスタイルが良かった。

「会いに行くって約束したよね、親の都合で転校しただけで‥私も晴と離れたくなかった…晴に彼女がいるのにごめんね。」

「昔の事はどうでもいい、彼女も行ってきてって言ったからな。」

「皆に付き合ってること内緒にしてるんだよね?」

「そうだよ、よく知ってるな。」

「雪から聞いてる…凜ちゃんだよね。」

…あいつ何処まで口が軽いんだよ。


皆が歩き出すと、皆と距離とって元カノの陽菜と並んで話ながら歩いていた。

「晴斗はその子と知り合いだったか。」

「知り合いだったぞ。」


祐介が振り向いて聞いてきたが、普通に返事をしていた。

「晴の友達なんだね。」

「陽菜が俺を呼ぶから、今日友達になったよ。」


二人は昔のように話ながら笑っていると、カラオケに来ていた、入ると陽菜は晴斗の横に座った。

「陽菜の知り合いって、身長が高くてかっこいいね、後で紹介してよ。」

「ダ、ダメ。」


陽菜の友達は陽菜の横に座って小声で聞いてたが、晴斗に聞こえると、陽菜に子声で言った。

「言っとくけど、妹なのに彼女の凜が居るからな、陽菜とは友達以上の関係にならないからな。」

「知ってる、晴は家族思いだから嫌われることしない。」

「一度裏切ったけどな、ありがと。」


皆、歌ったり話したり、周りはラインを交換して楽しそうにしていたが、晴斗から話し掛けたりしなかった。


一時間カラオケに居ると、陽菜は用事があると言って帰ろうとしていた。

「俺も帰るよ、陽菜が呼んだってわかったし、皆は楽しんでね。」

「晴斗くんライン教えてよ。」

「スマホの充電が切れてるから無理なんだ、ごめんね。」


晴斗はスマホの電源を落として、相手に見せていた。

「俺も帰るからまた学校で‥な。」

「またな。」

「晴斗くんまた遊ぼうね。」

「気が向いたらな。」


陽菜とカラオケボックスから先に出ると、陽菜に言われた。

「ブラックリストに入れてるよね、解いてよ。」

「何で。」

「また遊ぼ。」

「めんどい。」


陽菜にしつこく言われて晴斗はブラックリストを解いて見せた。

「これで良いか。」

「ねぇ、この子が凜ちゃんだよね。」


陽菜のスマホには、凜が雪に送ったと思われる写真を持っていた。

「えっ…何枚持ってんの、また雪の仕業だな。」

「雪と電話してたら写真あるよって聞いて…送って貰った。」

「雪らしいな…まぁ陽菜またな。」


晴斗が帰ろうとすると、待ってと言われて立ち止まった。

「私の仕事先に来ない。」

「行かない、またな。」

「バイトさせて貰えるかもよ、晴はバイトしたいんだよね。」

…俺の事何処まで知ってるんだよ、怖。

「何で知ってんの。」

「凜ちゃんが雪に相談して…。」

「また雪かよ、陽菜のバイトって何関係。」

「えっ、雪に聞いてないの…モデルなんだよ。」

「マジだったのかよ。」


晴斗が笑うと、陽菜は怒っていた。

「モデルして頑張ってるのに…おかしいの。」

「俺が見せられた雑誌の陽菜は髪が長くて、化粧も濃くてギャルだったけどな、今はナチュラルで綺麗だぞ。」

「だから、友達にバレないように…カツラ被ってやってる、昔髪が長くて勝手に切ったら怒られてね。」

「どうでもいい、俺帰るから。」


また背を向けて帰ろうとしたが腕を引っ張られた。

「バイト出来るかも来ないの、嫌なら断れば良い、近くだから。」

…バイトと聞くとなぁ。

「行こうではないか。」

「やっぱり食い付いたね。」


晴斗は電車に乗って一時間、ホームを降りて少し歩いて、ビルに足を踏入れた。

「おい、アホほど遠いわ。」

「ごめんね、近いって言ったら来ると思って。」


陽菜が嬉しそうに笑うと、晴斗は溜め息をついた、陽菜に付いていくとドアの前でノックしていた、中から返事があると二人は挨拶をして部屋に足を踏み入れると、中年の女性が座っていた。

…おばちゃん綺麗だけどジロジロ見て…なんだよ。

「陽菜が言ってた晴斗くんだね、写真と変わらない、身長も高くて良いよ、合格。」

…何の合格だよ、陽菜も笑ってるし。


晴斗は意味が分からず「…え、えっ」っと奇妙な声をあげた。

「今日は陽菜の見学してね、書類にサインと履歴書も書いて持ってきて…水曜日に陽菜と来て、あと髪も少し切って。」

「あっ、はい。」

…だから、何のバイトなの。


 先に陽菜が部屋を出ると、晴斗は30分程面接と身長などを計っていたが、話が頭に入ってこなかった、終わると部屋を出て陽菜の待つ撮影場所に向かってたが、目の前を通りすぎる人は、中学生から大人も男性もいた、晴斗は思わず二十歳程の女性が前を通ると「綺麗だ」と言ってしまい、女性も「ありがとう」と手を降られ、振り替えしていた。


迷子になったと思ったのか、陽菜が迎えに来ていた。

「はぁ、たらしが…ついて来なさい。」

「たらしじゃない、てか陽菜は金髪ギャルだな。」

「うるさい、来て。」


陽菜について行くと、メイク室、次に機材など置かれた場所に立っていた。

…本当にモデルしてんだな。


晴斗は色んな大人と挨拶をして陽菜を見ていた。

…綺麗な人ばっかりだなぁ。


二時間ほど、椅子に座って待っていた。

「晴、帰るよ。」

「あぁわかった。」

…広すぎて迷子になりそうだな。


陽菜の着替えが終わるとビルをあとにした、電車に乗ると聞いていた。

「俺って何のバイトすんの。」

「はぁ、書類見てないの、私の紹介で特別に面接だけで済んだんだよ…モデルしかないよね。」


晴斗は首を傾げながら、書類に目を通した。

「…本当だ。」

「ごめんね、私が写メ見せたりしてたら一度連れてきなさいって言われて…晴なら受かると思ってた。」

「受かるって急だったけどな、陽菜はスカウトされたのか。」

「そうだよ、スカウト。」

「皆身長高かったね、俺より低いけど。」


陽菜は笑って「一緒に仕事できるね」と言われた。

「1ヶ月だけなんだけどな。」


晴斗は書類に目を通して1ヶ月と書いた書類を見せて教えた。

「それより、履歴書の写真撮って帰ったら、凜ちゃんに何て言うの。」

「一緒のバイトしよって約束してたから怒ると思う…まぁ内緒だな。」

「雑誌に載る名前決めないと。」

「親に貰った大切な名前だからね…晴斗で良いよ。」

「本名の人中々居ないからね…晴だけにしときなよ。」

「あぁ、そうしとく。」

「書類に晴って書いて、家で書けないでしょ。」

…あぁ家で書けないんだった…凜に電話して遅くなるって言わないとな。


一時間程電車に乗ってる間、書類にサインして、駅を出ていた。

「履歴書持ってるの、家に来たらあげるけど。」

「持ってるけど、凜と従妹にバレそうだな。」

「駅の近くだから、写真撮って書いたら私が書類預かっとくよ、鞄に入らないでしょ、水曜日に印鑑押したらいい。」

「確かに…家まで行くよ。」


陽菜の家まで行くと、20時を過ぎていた、久しぶりに会った陽菜の両親に挨拶をして、陽菜の部屋で履歴書を書いていた。

「晴、明日の放課後髪切って写真撮ろうね。」

「分かった。」


両親に晩御飯を誘われたが断って、晴斗は走った。

…もう21時だからな、さすがに連絡したけど…怒られる。


晴斗は20分程休まずに全力で走り、家にこっそり入った。

…土下座の準備だな。



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