第135話晴斗の誕生日③
二人が家に入ると、麻莉菜はリビングから顔を除かせて怒っていた。
「遅い、先にごはん食べたんだよ…本当は二人で遊んでたんでしょ。」
「凜の友達と遊んでたぞ、カラオケに行ってモールで遊んだ、一番人気のシュークリーム買って帰ったら遅くなった。」
シュークリームと聞くと、麻莉菜の口が笑っていた。
「シュ、シュークリームなんか、子供じゃないんだから喜ぶわけないでしょ。」
「要らないんだな、俺の誕生日だから二つ食べるからな。」
「晴くん三人で食べないとダメだよ、麻莉菜は一人で寂しかったんだよね。」
麻莉菜は凜に抱き付くとコクコク頷いていた。二人は着替えてリビングに向かうと、麻莉菜は晴斗のご飯だけテーブルに置かなかった。
「凜、麻莉菜が俺のご飯だけ準備してくれない。」
椅子に座る凜の膝に軽く座って、抱き締めていた。
「晴兄何で抱き付いてるの、止めたら晩御飯出すよ。」
「俺を言うこと聞くペットとして見てたら怒るぞ。」
「…凜姉ちゃん好きなの分かるけど…あんまり見たくない。」
「ごめんね。」
…麻莉菜には、刺激が強いのか。
普通に座り直すと晩御飯が出てきて食べ終わると、シュークリームを食べていた、麻莉菜は食べ終わると「お風呂」と言ってリビングを出ていった。
…まだ入浴してなかったのか。
「…寝室でケーキ食べよ。」
「ソファーでいい。」
「ダメです、来てください。」
ケーキを片手に持って寝室に入ると、晴斗は膝に頭を置いていた。
「寝てるとあげないよ。」
「誕生日なんだ、今日だけお願い。」
「…本当に今日だけだからね。」
口を開けて待っているとあーんと何度も言われ、交互に一つのショートケーキを食べていた。
「最後の一口だよ、口開けて。」
「凜の番だから食べて。」
「ありがと。」
凜が食べ終わると立ち上がり、お姫様抱っこして見つめていた。
「…晴くんどうしたの。」
「可愛いから見てるんだ。」
「下ろして。」
ベッドに寝かせると、股がっていた。
「今日誕生日なんだ…何したいか分かるか。」
「…イ、イタズラ‥ダメだよ。」
「イタズラじゃないかもなぁ。」
急にキスすると「晴くんのしたいことして‥良いよ」と言われると同時にドアをノックされ「お風呂空いたよ」と声をかけられ、凜のビックリした姿を見て楽しそうに笑っていた。
「…わ、笑わないで、先に入るね。」
凜が逃げるようにお風呂に向かうと、直ぐに晴斗はリビングに姿を出して、台所でお茶を飲みながら麻莉菜の横顔を見ていた。
…テレビに夢中だな。
5分程横顔を見て、凜の居るお風呂に服を脱いで入っていった。
「一緒に入ろ。」
直ぐに凜は体を丸くして、顔も隠して「ダメ」言ってきた。
「静かに…バレるよ、さっきしたいことして良いって言ったよね。」
「…うん…今日だけにしてね。」
「約束は出来ないなぁ…ジロジロ見ないからゆっくり洗っていいからな。」
凜は静かになったが体を洗い終わるまで、晴斗は髪を洗って浴槽を見ると、真っ白に濁っていた。
…また麻莉菜が入浴剤入れすぎたんだな。
「晴くん……背中洗ってあげる。」
恥ずかしがる凜に背中だけ洗ってもらうと、凜は浴槽に浸かっていた、晴斗は体を洗い終わり視線が合うと、凜は体を横に向け、そっぽを向いて「晴くんがもたれ掛かってよ」と言われた。
「遠慮なくもたれ掛かるぞ。」
足の間に座ってもたれ掛かったが、背中に柔らかい感触があたり、手のやり場に困っていた。
「タオル巻いてないんだな。」
「…う、うん…言わないで。」
「脚曲げて、腕置かして。」
「は、恥ずかしい。」
「俺だから恥ずかしがるな…少しでも慣れて。」
「は、はい。」
「ふぅ」とため息をついて凜の曲げた膝に腕を置くと、急に扉の外から声を掛けられ、凜に浴槽の中に押し込まれると同時に麻莉菜が扉を開けて聞いてきた。
「晴兄知らない。」
「さ、散歩に行ってるのかな、寝てるのかもよ。」
…クッ、苦しい‥何処にそんな力があるんだよ。
直ぐに麻莉菜が扉を閉めると、晴斗は顔を出すと息切れしていた。
「ア、アホか、マジで死ぬかと思ったぞ。」
「静かにして…もう、二人暮らしじゃないんだよ。」
「…あぁ、ごめん。」
背後から震える手で抱き締められると、背中にアレが当たっていたが、気にせず浸かっていた。
…あぁ、やっぱり気になるなぁ。
「胸が当たってるんだけど。」
「…な、慣れようとしてるんだよ。」
「分かった。」
「ねぇ…晴くんも大きい胸が好きなの、帰り道に無視されたから‥気になって。」
「好きになった人の一部なんだ、大きさは関係ない…前にも言ったけど、一緒に居て落ち着く人が好きなんだ。」
凜の肩に頭を置くと「私に直してほしい所あるの」と囁かれた。
「寝てるときにマーク付けたり、噛み癖も直してほしいんだ。」
「愛情表現なんだから無理だよ、浮気防止なんだからね。」
「…そう言われると‥言い返せないな。」
「そもそも、晴くんは私のなんだからね。」
「一つ言っとくぞ…体育で着替えがあるの忘れんな。」
「誤魔化してね。」
晴斗は深い溜め息をついて、横目で目が合うと聞いた。
「バイトしたい。」
「…ダメ。」
「なんでぇ。」
「ずっと晴くんと一緒に居たい…バイトするなら一緒の場所で働こ。」
「凜接客出来ないだろ。」
「で、出来るもん。」
「まぁバイトの場所決まったら教える。」
肩の上で頷くと、急に首を吸われて静かにお風呂から出ようとしていた。
「…晴くんごめんなさい‥久しぶりなんだよ、一緒に浸かってよ。」
凜の背後に浸かり直して抱き締めていた。
「…ごめんなさい。」
頭を擦りながら「怒ってないよ。」と言うと言われた。
「……私は‥晴くんのだからね。」
晴斗は胸を両手で揉むと「きゃ」と言われ、頭に拳が飛んでくると手を離した。
「急に触らないでよ。」
「だって俺のなんだよね、嘘だったんだな。」
「…ビックリしただけ、晴くんならいいよ。」
首にキスすると怒られたが、二人は小声で話すと何十分浸かっていたのか、お風呂から出て寝る支度をして、麻莉菜にバレないように寝室で横になると抱き締めていた。
「…もう23時だよ。」
「眠たいか。」
「晴くんも眠たいでしょ。」
「まあな、このまま抱き締めて寝ていい。」
「良いけど離さないでよ…晴くんおやすみなさい。」
「凜おやすみ。」
…髪留めはいつか渡そう。
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