第128話部活見学…金髪先輩

恵と凜と三人で一年の教室前に来ていた、恵は妹が教室から出てくると二人で話してたが、妹はこっちを見て近付けると一言言われた。

「変態パンツお兄さん。」

「誰が変態だよ…でも麻莉菜と仲良くしてあげてね。」

「はい、任せてください。」

「名前何て言うの、俺は飯島晴斗、こっちは月城凜だよ。」

「柚です、飯島先輩と月城先輩よろしくお願いします。」

「柚か、よろしくね。」


恵の妹で麻莉菜と同じクラスなら、柚と仲良くしようと握手していた。

「晴兄何しに来たの。」

「この四人で部活見て回るんだ、麻莉菜は呼んでない、話しかけないでね。」

「私も行く。」

「俺に話し掛けない約束したのは麻莉菜だよね。」

「晴兄ごめんなさい、私も行く。」

「なら、麻莉菜は柚と仲良くなってね。」


晴斗は四人の後ろを付いて行っていた、晴斗は何部があるのか知らず、恵が何部があるのか柚と麻莉菜に教えていた。恵が「ボクシング部」と言ったとたんに、晴斗は興味を持っていた。

「ボクシング部って聞こえたんだけど、どこにある。」

「あそこの離れだよ。」

「ちょっとトイレに行ってくる、帰るとき連絡してね。」

「晴くんボクシング見に行くの。」

「…行かないよ‥じゃあね。」


晴斗は上手く騙せたと思い、ボクシング部の窓に肘を付いて見ていた、新一年生も興味があるのか、数人の男子も女子も見ていた。15分程見てると凜も麻莉菜も恵も柚も後ろに立っていた。

「晴くんボクシングに興味あるんだね。」

「無いよ、今来たんだよ。」

「晴くんがずっと校舎から見えてたんだよ。」

「マジ、ずっとボクシング見てた。」


晴斗は直ぐにボクシングに視線を戻していたが、女子も来てるからか、ボクシング部の男達は気合いが入っていた。

「体験出来るんだって、晴兄殴られてきたら。」

「経験者と俺みたいな素人だと、俺が怪我するわ。」

「…晴兄声が大きい…皆見てる。」

「気にすんなよ。」


晴斗はヘッドギアを脱いだ金髪先輩と目が合ってしまった。

…確かあの金髪は、凜のストーカーだった奴だな、ボクシングしてるから強気に出てたのか。


金髪は姿を消すと、直ぐに先生を連れてきていた。

…麻莉菜の担任が顧問なのか。


何故か金髪は晴斗に指を指していた、急に三島先生は近付いて来ると、晴斗の肩を掴み「体験してみないか」と誘われた。

「嫌ですよ、見るのが好きなので。」


晴斗が断ると金髪は「前にかかってこいって言ったよな」と喧嘩腰で言ってきたが無視して三島先生に聞いていた。

「ここの学校の先輩は血の気が多いですね。」

「飯島はボクシングに興味があるんだよな、体格も良い少しやってみろ、毎日先輩に突っ掛かってたよな。」

「違いますよ、突っ掛かって来たのは先輩達ですからね。」

「晴兄殴られるのが怖いんだぁ。」


麻莉菜に言われると、振り向いて聞いていた。

「麻莉菜は俺を煽ればすると思ってんだろ。」

「思ってるよ、晴兄ビビりだから。」

「家に帰ったら説教だからな。」


麻莉菜に冷たい視線を向けてると、脇に手を入れられ、ボクシング部に入れられていた。

「飯島は体験だけしてみろ、大切な人守れるぞ、一年生は体験してくれないんだ。」


金髪は晴斗を殴りたいのか、喧嘩を売ってきてた。

「転校生、かかってこいって言ったよな、リングで戦え。」

「僕が勝つんで止めといた方が良いですよ、後輩に負けますよ。」

「やらなきゃわかんねぇだろ。」

「やりませんよ、帰りますね。」


晴斗は帰ろうとするが、麻莉菜に「晴兄強いなら先輩と戦ってよ、本当に晴兄強いの」と笑われるとイラッとしていた。

「金髪先輩一戦だけですよ。」

「手加減してやる、お前初心者だからな。」


晴斗は制服を脱ぎ、シューズとグローブとヘッドギアを借りて、リングに立っていた、金髪先輩は服を脱いで筋肉を皆に自慢していた。

…全然体が締まってない…体験なのに、試合ってなんだよ。


金髪先輩もリングに上がると、ヘッドギアも付けずに、マウスピースとシューズとグローブだけ着けていた。

「前田は手加減するように。」

「先生言っときますけど、金髪先輩にヘッドギア付けさせてください。」

「飯島ベッドギアって知ってるんだな…前田、ベッドギア付けて。」


先生に言われると金髪先輩もヘッドギアを付けた。レフリー役の三島先生は二人の準備が終わり、リングに立つと…急にファイトと言ってきた。


晴斗は右拳を前に出し、金髪先輩と拳を合わせると、金髪は直ぐに殴ってくるが、晴斗には軽いパンチだった。

…パンチが弱いし遅いし遊びだな。


晴斗は、パンチをほとんど腕でガードして、殴られるとニコッとしていた。

「晴兄殴り返せないの、弱いんだね。」


麻莉菜の声が聞こえるが、晴斗は口を殴られ、舌を切るのを嫌がり、無視していた。

「殴り返せないのか、お前口だけだな。」

…ちょうど、ストレス発散に良いな。


晴斗は飽きてくると、グローブの隙間から顔面に体重を乗せた右ストレートを叩き込んだ。

…さっきからボディーも隙だらけだな。


金髪先輩は鼻血を出すと、晴斗はタイムを出して「もう良いですか、鼻血が出てますよ」と教えたが「まだ終わってねぇ」と言われ、急に殴られそうになるが、先生が止めていた。

「僕の負けで良いですよ、金髪先輩は強い。」

「バカにするな、初心者に負けるはずがない、たまたま顔に当たったんだ。」

「晴兄まぐれで当たったんだよ、本気でやってあげないと先輩に失礼だよ。」


晴斗は麻莉菜を睨み付けて面倒だと思い、もう一戦に付き合うとファイティングポーズをとり、グローブの隙間から、また体重を乗せた右ストレートで殴り、金髪はガードするが自分の拳ごと顔面を殴っていた、ボディーに隙が出るとボディーを殴り、また顔面に隙が出来るとジャブやストレートで何度も殴ると、金髪先輩は晴斗の目の前で両膝を付いていた。

「金髪先輩強かったですけど、僕の勝ちです。」


晴斗は帰ろうとすると三島先生に止められ、金髪先輩はなんとも言えない表情をして苦しがっていた。

「飯島は経験者か。」

「初心者です、ありがとうございました。」

「初心者なわけがない…入部しないか。」

「しません、見るのが好きなんです。」


晴斗はグローブも全部取ると、凜の元に向かったが汗をかき、喉が乾いて疲れていた。

「暑い‥飲みかけでいい‥頂戴。」


凜の持っていたお茶を受け取ると、間接キスなど気にせず飲んでいた。

「麻莉菜は煽る癖直してね、少しイラッっとした。」

「ごめんね、でもカッコ良かったよ。」

「そっか、なら他の部活見に行こっか。」


数人の生徒が見てたが、気にせずボクシング部をあとにした。凜のムッとした表情を見て謝っていた。

「…凜、ごめん。」

「何で怒ってるか分かってるの。」

「相手が可愛そうだったからかな。」

「違う…先輩は経験者で殴られて怪我するかもって‥心配したんだよ。」

「部活だけで、まぁかじった程度の経験者だからね…怪我に慣れてるから、心配するな。」

「そういう問題じゃない。」

「…ごめん。」


晴斗は皆の前で何度も謝って、部活を見て回ると家に帰っていった。








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