第97話 会談後のトラブル

「明日の大会の楽しみが減っちゃうじゃないですか」


「なっ……」


「「「「……」」」」


 出し惜しみするような言葉をカイン殿下へと返すと、彼はそんな言葉が返ってくるとは思っていなかったのか、驚いた表情をゆっくりと険しく顔をかえていく。


「そうか………。では、貴殿は何を問われても話さぬと申すのか……?」


「いえいえ。正直に申せば、この場の皆さんには力を見せても構わないと思ってます。それに……」


 視線をルリ様の方へと向けると、彼女は何かと思い、ほんの少しだけ首を傾げる。


「いえ……。はっきり言って、この部屋は狭く、危険ですので自分の力が見せられないのです。それに、この部屋で自分が見せることができる力と言えば……ん~。そうですね」


 自分はアイテムボックスに手を入れ、1つの角材を取り出す。

 突然取り出された角材に何かと少し警戒しながら訝しげに見てくるカイン殿下とマトラスト様。

 だが、その警戒した顔はみるみると二人の眉を上げ、目を大きく見開かせることになった。


「こんなふうに、物を創るスキルですかね」


 自分の手にあった角材がぐにゃりぐにゃりと形を変えていく。

 それを見たエマンダ様が興味津々に少し身を寄せては覗き込む様に見てくるが、それをコホンと軽い咳払いにて窘めるパメラ様。

 ダニエル様は自身の右手でエマンダ様を引き寄せる。

 ほほほっ、と軽く笑うエマンダ様の姿を見て少し笑ってしまった。

 そして、形を粘土のように変えた角材は、次第と何かの形へとその原型を見せてくる。


「「!?」」


「こ、これは!?」


「素晴らしいですわ!」


「まぁ、ミツ様。もしかしてこれは……」


「はい。ダニエル様、パメラ様、エマンダ様のお子様である、ラルス様とミア様、そしてロキア君ですよ」


 〈物質製造〉スキルで作り出したのはダニエル様のご子息である三人の人形である。

 木彫りの人形とは違い、まるで3Dプリンターで作られた様に、顔の表情から服、更にはその細かい装飾までが再現され作られていた。

 まぁ、この世界の人は、人の姿に見せた木彫りとか作ることは無く、立体的な物と言えば学校によくある二宮金次郎像の様な石像を作ることが主流である。

 他にもあるとしたらハニワ土器の様な馬、もしくは大きな木の板に人の顔を掘る、堀絵式と言われる壁などに飾る絵ではないだろうか。

 

 〈物質製造〉スキルで創り上げた三人の人形は、ロキア君を中心としている。

 ミアが微笑みながら後ろに立ち、ラルスがミアとロキア君の肩に手をおいては凛々しい表情で二人を守るようにしている。ロキア君は弓を持ち、ミアは剣を携え、ラルスの足元や肩のところに火玉をイメージした火のアクセサリーを取り付けている。

 自分がそれを手に取り、歪な所はないかと確認した後、席を立ちダニエル様へと手渡す。


「できるだけ本人に似せて作ってみたのですが、ダニエル様からみて、この人形、ご子息の三人と何か違うところとかありますか?」


「あ、ああ……。いや、とても似て……いや、素晴らしい……。まるで倅達がそのまま人形となってしまったかと思うほどに……」


 ダニエル様は受け取った三人の人形を一人一人と見て驚きに目を見開く。

 それをくるくると上から下から、斜めから見る。両手で受け取った人形の細かい装飾にキラキラと目を輝き始める。

 隣にいる婦人の二人も頬を赤らめる程に、自身の子供がモデルとなった人形に釘付け状態。

 カイン殿下やマトラスト様が唖然と見ていることに、はっと落ち着きを取り戻し、ダニエル様はその人形を他の三人にも見えるようにとテーブルの上へと置く。


「これが……。貴殿の力……」


「はい。他にも見せろと言われるのなら、場所を変えてお見せしますよ?」


 そう答えると、マトラスト様はテーブルに置かれた人形と自分を交互に見る。


「うむ……。貴殿の力、この時点で素晴らしき物ばかり。先程の戦い、他者に見せる人柄、また失われた魔術であるトリップゲート、そして目の前で瞬時に作り上げられたこの人形。いや、物を創り出す力と言ったか……。それよりもだ……。ダニエル殿の失った腕、それを治す貴殿のその治癒の力……」


 マトラスト様の言葉で、周囲の視線がまたダニエル様の右腕へと向けられる。


「どうもです。実は人形を造ったのは初めてですけどね」


 子供の頃に粘土で遊んだことはあるが、目の前の人形程に精密な人形を作ったことはない。本当に、シャロット様から頂いたスキルの力様々である。


「……そうか。ダニエル殿、すまぬが私にもそれを見せてくれぬか」


「はっ」


 マトラスト様はダニエル様から人形を受け取り、先程のダニエル様の様に人形の隅々をまるで鑑定士の様に見始めた。

 そしてダニエル様が気づかなかった、人形のギミックに気づいた。


「なっ!? なんと……この少女が携える剣は抜けるのか!?」


「なにっ!?」


 驚きに人形へと視線を向けるカイン殿下。


 人形のミアが腰に携える剣。

 これは普通に抜こうとしても取ることはできない。

 だが、ミアの肩から腕を上げると、ロックが外れ、次に腰の剣が抜け、ミアの手に持つことができるのだ。ちょっとしたお遊び感覚だが、これがまた周囲の注目を集めた。 


「な、なんと……剣の柄までしっかりと見えるとは……」


 人が持てば爪楊枝程の大きさの剣。だが、それをまじまじと見つめる大人達。

 自分が近づき、マトラスト様にミアの腕の部分を指差すと、彼は眉をピクリと動かした後に剣をミアえと持たせる。


「なんと細かい……」


 更に目が爛々と輝きを増す面々。


「実は、もう一つありまして……。ロキア君の背中に背負ってるこの矢筒。これは開ける事ができるんですよ」


 ロキア君の背負った矢筒を外し、ボタンの様にカチッと音を出し矢筒の中を取り出す。


「おお!? ま、まさか、これは矢か!?」


「はい、弓を持つなら矢は必要だと思いまして。まぁ、これは持たせるのは無理ですけどね」


「ふむっ……」


 ロキア君の人形の背中にかけてある矢筒の中には、小さな縫い針程の大きさの矢が数本入っていた。

 カイン殿下も隣でそれを覗き込み、目を大きく見開いては声を出す。


「貴殿に用命を申したい! 是非とも俺にもこれを作ってくれ」


 新しい玩具を見つけた子供のように、突然催促するカイン殿下。


「えっ? 王子様が人形をですか?」


「その通りだ。勿論礼ははずもう」


「殿下……」


「何だマトラスト!? 金はちゃんと俺の懐から出す金だ。別に問題はなかろう」


「いえ。殿下の言葉に少し質問がありまして」


「だから何だ!?」


「殿下はこの人形、つまりはダニエル殿達のご子息の人形がほしいのですか?」


 マトラスト様はコトリと静かに、貴重品を扱うようにテーブルへと人形を置く。

 それを視線で追うカイン殿下は首を横に振る。


「え? いや、そういう意味ではないが?」


「ならば、彼に何を作らせるのですか?」


「無論! 私の愛犬であるトールを造ってもらうつもりだ」


(この王子、動物好きだったのか……。自分も好きだから意外と気が合うかも。でも残念だな。その願いは叶えてあげれない……だってさ……)


 目を子供のように爛々とさせるカイン殿下を見ては、マトラスト様は軽くため息を漏らす。 


「殿下……その用命は不可能では?」


「何故だ!? 人の姿でさえこの様に鮮明に造り出すことができるのだぞ!? まぁ、多少トールは毛が多いが、それでもこれを造ることができるなら不可能ではあるまいて」


「あー。すみませんがカイン殿下。マトラスト様のおっしゃる通りで、自分は殿下の愛犬を造ることはできません」


「「「!?」」」


「なっ! 貴殿、なぜそのような……。いや、そうか……」


 カイン殿下はまさかまた自身の言葉が断られるとは思っていなかったのか、ガクリと肩を落とし目に見えてガッカリとしていた。


 ダニエル様達はまさか王族からの依頼を断るとは思っていなかったのか、パメラ様は思わず口を出してしまいそうな言葉を飲み込み、口に手を当てている。

 だが、エマンダ様は直ぐに理解してくれたのか、軽く閃いたかのようにそのことを二人へと耳打ちをしていた。

 マトラスト様はやはりと思い、ふむと目を閉じては一言ため息にも似た息を漏らす。


「いや、作れと言われたら作っても構いませんよ? ただ……。その、自分はカイン殿下の愛犬を見たことがありません……」


「……あっ、確かに……」


 見たことの無い物を造れとは無茶苦茶な依頼であることを、今気づいたかのように間抜けな言葉を漏らすカイン殿下。

 別に拒絶して断ってるわけでわないと解っていたのか、マトラスト様は先程の自分の言葉の中にある、似せて作ったと言う言葉に気づいていたように、マトラスト様はやはりなとボソリと呟く。

 それなら仕方あるまいと、取り敢えずこの場での依頼は無しとし、話を続けるためにと皆はまた席に座り直す。


 また一つ、目の前の少年が我々の信じられない力を見せた。マトラスト様は平然な顔を保つのもそろそろ限界と、自身の空になったカップの中を見ては考え込むようにと腕組みをしては目を閉じる。

 お茶を配膳するパメラ様とエマンダ様。

 二人がまた新しいお茶をカップへと注ぐ音だけが部屋に響く。


「それで、どうしますか?」


 カップをテーブルに置き、カイン殿下へと言葉を尋ねる。それに対して、カイン殿下とマトラスト様が合わせるようにこちらへと視線を向ける。


「……何がだ」


「ですから、力が見たいんですよね?」


 カイン殿下は自身の肘をテーブルにつけたまま項垂れる様に頭を下げ、ぐっと身体を起こしては、マトラスト様と二人は顔を見合わせる。

 マトラスト様が首を横に振り、それを見た殿下は軽く息を漏らす。


「……ふっ。いや、貴殿の申した通り、明日の楽しみと力はまた後日、ゆっくりと拝見させてもらおう。確かめたいことは既に確認も取れた。いや……それ以上に見せられた……。正直、これ以上は俺の頭が追いつかぬ……。勝手に呼び出しをし、勝手に話を切り上げてすまぬが話はここまでとしよう……。良いなマトラスト? 巫女姫?」


 二人へと言葉を飛ばす殿下に、コクリと頷き返す。


「はっ。私も明日の貴殿の戦い、楽しみとしよう。だが、貴殿の明日の対戦相手はローガディア王国〈獅子の牙〉団長のバーバリ殿。貴殿に勝算はおありか?」


「そうですか……。明日の対戦相手って、バーバリさんなんですね……。(ライムさん負けちゃったのか……大丈夫かな……)」


 自分はバーバリとライムの二人の試合が始まる前と、両方のステータスをお茶を飲みながらも鑑定で確認していた。二人のステータスを見比べて思ったのだが、やはり分はバーバリの方がステータス的に上であったことを思い出すと、結果はやはりそうなったかと内心予想通りと見ていた。

 言葉が詰まったことに、少しだけ空気がまた重くなった気がする。


「やはり不安であろう。貴殿の力、言っては何だが、失う訳にはいかぬほど。もし不安であるなら、ダニエル殿に手を回してもらい、貴殿は明日の試合は棄権と言う事も考えぬことではないが?」


「……いえ。お心遣い、ありがとうございます。戦うことは問題はありませんよ。どうぞ、明日の試合、自分の力をご覧ください」


 別に不安だから言葉に詰まった訳ではなく、自分でも、明日の試合がどうなるのか予想ができないのだ。

 その言葉を最後と自分はエマンダ様と共に部屋を退出する。 


「はぁ……。おい、ダニエル」


 部屋に残った人々の空気は重かった。

 ピリッとした空気の中、カイン殿下は瞳を厳しくしたままにダニエル様を睨む様に呼びかける。


「はっ!」


「あの者の力、お前達以外に他に誰が知る?」


「私が知る限りでは、我々家族と執事のゼクス、それと客人のセルフィ様。後は彼の冒険者仲間の数名かと……」


「そうか……」


「殿下……。先程の少年、このまま野放しにはできませぬ。あの力を手元に置けるとしたら、国は安定するのは予想できましょう……。しかし、取扱を誤ってしまうと、王国にとっては逆に害ある存在となるのも確か……」


 厳しい瞳のまま、ミツの存在を懸念しながらも今後どう扱うべきかと言葉を入れるマトラスト様。

 カイン殿下はその言葉にコクリと頷き、直ぐに視線をダニエル様の方へと戻す。


「解っておる。ダニエルよ、心して聞け! 本日、この場の会談での内容を他貴族に口外することを禁止とする。これは俺の王族としての命である。それと、あの者を自身の家臣に入れること、力を手の内とすることも禁止とする。良いな!?」


 カイン殿下はガタッと席から立ち上がり、その場にいる者、一人一人に言い聞かせるように言葉を飛ばす。

 ミツを見た後のカイン殿下からの王命。

 ダニエル様、パメラ様は共に席から離れては、膝をついて深々と頭を垂れる。


「!? はっ! 我がダニエル・フロールス。カイン王子の王命、謹んで拝命致します!」


「うむ。もう一つ。そなたのその腕だが。その腕の治癒は回復薬にて戻ったことにする」


「しかり……。下手に人が治したと情報が漏れるなら、彼を取り入れようとする者は必ず現れましょう……」


「うむ……。治癒だけならば神殿からの勧誘だけで済むかもしれん……。しかし、あの者の治癒は普通ではない。神殿以外からも必ず来るだろう……」


「殿下。でしたら、私がダニエル殿へと回復薬を譲ったことにしましょう。さすれば周囲の注目の矛先は私に向けられます。私でしたら、あるツテにて回復薬を手に入れたと方便も使えましょうし。ダニエル殿の今までの功績、後のことを期待してと理由付ければ納得する者もおりましょうぞ」


「ふむ……辺境伯に質問できるのは王族と公爵ぐらいか……。よかろう。ダニエルよ、聞いた通り、貴殿の腕はこのマトラスト辺境伯の力にてその腕を戻したこととする! あの者には後に貴殿から話を通すがよい」


「はっ! 必ずや」


 一見するとマトラスト様がいいとこ取りした様にも聞こえるかもしれない。だが、ダニエル様、パメラ様共にマトラスト様の提案には賛成することができた。

 それは遠回しであるが、ミツが辺境伯様に守られていると理解できたからである。


 二人が承諾する言葉を告げた後、殿下は座るマトラスト様に視線を向けると、彼は思い詰めたようにまた口に手を当てては考える素振りを見せる。


「よし……。んっ? 何だ、マトラスト……。まだ言いたいことがあるのか? 思うことがあるなら申せ」


「いえ……。あの少年との会談にて、確かにいくつか思うところがありまして……。ですが、それよりも彼から感じた何か……。それが何か引っかかるのです」


「ああ、お前もか。実はそれは俺も感じていた。しかし、俺にはそれが何なのかはっきりと解らぬ……。お前は解ったのか?」


「……。巫女姫。お主から見てどうであった……」


 軽く首を振り、自身の隣に座る巫女姫であるルリ様に問をかけると、彼女はスッと立ち上がりボソリとつぶやき始める。パメラ様が近づき、彼女のか細い言葉を代弁をし始める。


「はい……。まず皆様にお伝えすること。それはあの方の魔力は人から溢れる通常の色とは異なります」


「色とは……?」


「殿下、魔力には人それぞれ、似て異なる色があると言われております。殿下は剣術しか扱うことしか無いので耳慣れぬことでしょう」


「なるほど……」


「私には皆様からも流れる魔力の色がこの目で見ることができます。マトラスト様からは赤色の魔力、カイン様からは黄色。ダニエル様は紫色。婦人のパメラ様は緑色……。この様に一人一人と、一色を見ることができます」


「ほう……。それで……あの少年の魔力の色とは……」


 一度目を伏せた後、ルリ様は口を開きその言葉を述べる。聞き取ったパメラ様は少しだけ驚いてはいたが、慎みを保ちながらもルリ様の言葉をその場に居る者に聞こえる様にと伝える。


「輝く様な極彩色……」



「「「!?」」」


「正に、雨上がりに空に瞬く虹の如く。あの方に従える妖精の数は計り知れません……。攻撃的な赤の魔力を好む妖精、守りを示す青の魔力を好む妖精、傷を癒やす緑の妖精、悪しき影の黒の妖精、仲間を守る紫の妖精、力の象徴の黄色の妖精。そして……不明の白の妖精……」


「!? 巫女姫、それは誠か……」


 冷静を保ちながらも、再度言葉を確かめるように言葉をかけるマトラスト様。


「間違いなく……。それと、マトラスト様があの方へと質問をいくつも問われておりましたが、私のまなこでも嘘偽りを確認することはできませんでした」


「すると何だ。あの者の申すことは全て本心と申すか」


「はい……」


 ルリ様の返答に、また沈黙がその場を包み込む。


「ふむっ……。巫女姫の心眼のスキルに偽装は不可……。それは殿下も知っておられるでしょう」


「ああ……。罪人の処罰の場も何度も見ておる……」


 ルリ様の〈真実の瞳〉のスキルは罪人を処罰される際必ず使用されている。王宮神殿である巫女になる際、式典の際にスキルをまるで神から授かるように使用できるようになるのだ。

 この〈真実の瞳〉の前に立たされた罪人はたとえそのことを知っていたとしても対策は不可。

 今までこのスキルで何人もの罪人を見つけてきた。

 例えば領主の地位欲しさと、実の父を事故死に見せかけた息子。

 浮気をして、相手の子供を身ごもった女。実の旦那の子供でないと解るやいなや、流産したと理由をつけては、森などに産み落とした子供を捨てたのだ。

 余罪などは口では誤魔化せることも、巫女姫の前では嘘偽りは不可能と言われている。

 カイン殿下は王族としてルリ様のスキルの力は勿論知っている。

 だが、その場の皆が知らない事があった。

 それはミツには創造神の化身であるユイシス、女神の加護がミツに与えられていた事だろう。


 カイン殿下は先程の戦いも忘れる程に、ミツとの会談で自身でも知らず知らずと驚き続きで疲労していた。それはマトラスト様やルリ様も同様に……。

 部屋に残された5人の間で、ミツが退席した後も後の対策などを話し合う話し場が続いていた

 ダニエル様の右腕は、大会が終わるまでは服の下等に隠し、閉会式の後に、先程の内容通りと告知することとなった。


 選手用の部屋の前に戻る際のこと。

 カイン殿下、マトラスト様、巫女姫のルリ様との会談を終えた後、部屋を出てからエマンダ様の様子がおかしい。彼女は部屋を出てから直ぐに何かを言おうとしていたが、周りに部屋を守る護衛の兵士が数人いたことに、一言も喋ることもなく口を閉ざしていた。

 そして、エマンダ様は自分が部屋に入る前と、深々と頭を下げてはお礼と詫びの言葉を告げてきた。

 お礼の言葉は夫であるダニエル様の腕を治してくれたこと、そして子供たちに似せた人形を送った事。

 反対にお詫びの内容としては突然王族に合わせたこと、そして、許可も得ずにトリップゲートなどの自分のスキルの力を勝手に彼等に告げたこと。


「エマンダ様、いいんですよ。先程も言いましたけど、ダニエル様の言葉がきっかけで自分は強くなれたのは間違いないんです。それに洞窟に行って様々な経験ができたことも嘘ではありません。人形は王子様達に見せるためでもありましたからね、アレに関しては本当に気にしないでください」


「左様でございますか……。ですが、貴方様のお力を告げたのは私達の勝手な判断。二度と私達は貴方様の不興を買うような愚かな真似をしないと誓いますので、どうか我々をお見捨てなきよう……」


「見捨てるって、そんな大げさな」


 謝罪の言葉を告げた後、エマンダ様は深く頭を下げてくる。

 周囲に今は誰も居ないとはいえ、領主の婦人が頭を下げる姿を誰かに見られては外聞も悪いだろう。

 それでもエマンダ様はその場の恥よりも、後に引きずることの無いようにと、今は素直に頭を垂れていた。


「いえ。貴方様のお力があれば、直ぐにでも我々の手の届かぬ場所へと行くことも不可能ではありません。最低限貴方様には許可を得た後に先程の会談の場へとご案内すべきでしたと、今更ながらわたくし、深く反省しております」


「まあまあ。お偉いさんの命令じゃ仕方ないですよ。本当にもう気にもしてませんから。それより……今更ですけどあの人形はちょっと不味かったかもしれませんね」


「それは……?」


 先程造った人形を思いだすと、やはり別の物にしとけばと後々になって考える素振りを見せる自分を見て、エマンダ様は何かと少しだけ不安そうな表情を見せる。


「いや、あれを見てダニエル様達のあの反応……。後にセルフィ様が見たらと思うと……。ははっ」


「……ふふっ。彼女のことですから、貴方様には直ぐに私の分も作ってと言葉が飛んできますね。本当に簡単にその様な場面が思い浮かぶのも彼女らしいと言えばらしいですが」


 人形を見た瞬間、セルフィ様がどの様なリアクションを取るのか思い浮かべては互いに笑い合う。

 彼女にとって、ロキア君が一番で国が二の次。

 誰でも自身の好きな物を目の前に出されて、黙ったままな訳がない。


「なので、先手を取られる前にセルフィ様の分も造っときましょう」


「!? よろしいのですか!?」


「ええ、明日も明日で、連日に呼び出しを喰らいたくもないですからね」


「まあ……ふふっ。ミツさんは先を見る計画性がございますね」


「あっ、やっと様付けの敬称が抜けましたね」


「あら、わたくしとしたことが。ほほほっ」


「じゃ、直ぐに作りますね」


「ミツさん、良ければ人形を創るところを拝見してもよろしいですか?」


 部屋に入ろうとした時、エマンダ様は、スキルの物質製造に興味があるのか、呼び止めては自身も創るところを見学したいと申してきた。


「そうですね……。解りました。実はまだセルフィ様の顔を上手く表現できるか解らないので、誰かの意見が欲しいと思ってまして」


「まぁ。それではわたくしの言葉が素晴らしい作品として残るのですね。さっ、早速取り掛かりましょう。必要なものはありますか? どれ程の大きさを造られますか?」


「は、はい……」


 どうぞとエマンダ様を部屋へと招き入れ、早速アイテムボックスから木材を取り出しては人形制作に取り掛かる。

 先ずはセルフィ様の顔だけの人形を造っては、エマンダ様に細かいところを指摘してもらい、それを見本と次にロキア君の人形を造る。いくつかのパターンを造り、その中からエマンダ様が選び、更にセルフィ様が喜びそうな人形へと作りかえていく。

 折角なので、これも何かギミックをと考えてはエマンダ様とあれこれとアイディアを出しては人形を完成させた。

 だが、エマンダ様が自分の部屋に入った時だった。

 自分が与えられた部屋は、ホテルで言うスイートルームレベルの結構いい部屋を与えられている。その分、高級な部屋の周囲には人の行き来は少なく、ここまで来る際も人影はなかったのだ。しかし、それはゼロと言うわけではない……。


 通路の曲がり角、そこには二人の人物がいたのだ。


「ヒョッヒョッヒョッ。ティッシュよ、見たか?」


「ふふふっ。ええ、あなた。しかと見ましたわよ……。第二夫人であるエマンダ様が、まさか男の部屋に入れ込むとは」


「ヒョッヒョッヒョッ。王族も来ていると言う大事なイベントにまさかの婦人が男遊び。これはフロールス家の足元を崩すのに丁度よいネタとなろう」


 カバー伯爵家のベンザとティッシュ。

 二人はダニエル様からミツの情報を得ることはできなかったが、出場選手の宿泊場の情報は直ぐに得ることができていた。

 出場選手には自身の駒にすれば箔を上げることができると、試合終了後に伯爵直々、しかも夫婦揃って来訪したと理由をつけては、相手選手の印象を良くして取り入れるつもりであった。

 偶然ミツの当てられた部屋の近くへとたどり着けば、ダニエル様の第二婦人であるエマンダ様の話し声に、二人は足を止めては盗み聞きをしていたようだ。



「あなた。わたくしが不埒者が出てきたところを話を切り出します。理由は何でも構いませんので、あなたは他にもこの場面を見せるためにも人を呼んで来てください」


「ヒョッヒョッヒョッ。うむ、その案はとても素晴らしいぞティッシュ。では直ぐにでも呼んでこようではないか」


「ふふふっ。多くの者に見られては言い訳もできませんでしょうし。上手く行けば第二婦人は離縁にてフロールス家から消すこともできますわ」


「ヒョッヒョッヒョッ。さすれば経済力の力を半分を失うのは確か。ティッシュ、ここは任せたぞ!」


「ええ、あなたもお急ぎ下さいな」


 ベンザ達同様に、出場選手へと勧誘を目的とした貴族は珍しくはなく、ベンザがそのたるみきった腹を揺らしてはホテルなど宿泊場をまわって探しに行けば、数名の貴族や使いの者は直ぐに見つかる。

 ティッシュはその場から離れることもなくエマンダ様が入った部屋を監視。その後、数名を連れた旦那のベンザが戻ってきては、その場で他貴族に連れ出した理由を話すと、他貴族は驚きに真実を確かめる為にと、共に部屋へと押しかけることにしたようだ。

 事が事だけに、これが真実ならベンザの考え通り、エマンダ様は離縁にてフロールス家から離れるかもしれない。ニヤニヤと下卑た笑みを浮かべては、大人数とミツの部屋のドアをドンドンと強くノックをする。


「エマンダ婦人! 中にいることは解っているのです! このような時期に貴女というお立場の方が男の部屋へと入り込むとは!? さっ! 逃げることなどできませんぞ!? 観念して出てきなさい!」


「そうですわ。エマンダ様! まさか貴女様がこの様な汚らわしいことを行うとは! 理由はともあれ、そのお姿をお見せなさい!」


 ベンザとティッシュ。二人の言葉に集められた周囲の貴族や管領の者は、これが真実ならば大問題だと、険しい表情を浮かべては扉が開くのを待っていた。

 だが、一向に部屋の扉が開くことはなく、部屋の中からも人の声や物音がしないことに、如何したのかと周囲の貴族がざわざわと声を出し始めた。


「ぐぬぬ……。ティッシュ、間違いなく部屋の中に婦人はおるのだな! ワシが離れた間に部屋から出たということはないのだな!?」


「ええ。あなた、私は一瞬たりともこの扉からは目を放しておりません。恐らくバレては不味いと、居留守を使っているのですわ」


「なるほど……。おい、そこの者、この扉を破れ!」


「えっ……」


 ベンザが声をかけたのは、自身より地位の低い身分の男爵家の男だった。彼は無理矢理とベンザにこの場に連れて来られた一人である。


「え、ではない。ワシがやれと言ったのだ。二度も同じことを言わせるのではない! それとも何か!? 貴様は伯爵のワシの言うことは聞けぬと申すか!?」


「いえ、その様な。ですが、ここはフロールス家の管理する宿泊場。この場での破壊行動はフロールス家様に剣を向けたと思われませぬか!? 私のような低き者がことを起こせば……」


「ええい! ゴチャゴチャと。ダニエル殿と同じ伯爵の地位のワシがやれと言っておるのだ! 事が真実ならば、ドア一枚の弁償も貴殿に課せられることではない。さっ! 破れ!」


「は、はい……」


 渋々と思いつつ、男爵家の男は一度外に出た後、薪割り用の斧を持っては扉に当てる。

 それを確認したベンザはまた扉へと向かって声を張り上げだす。


「エマンダ婦人! 我々は今からこの扉を破る! その際、貴女がこの部屋にいたとしたら、その理由をダニエル殿と王族の前で真実を告げてもらおう!」


 最後通告と言葉を告げた後、返事が帰ってこないことに鼻を鳴らしたベンザ伯爵は、男爵の男へと指示を出す。


「ふんっ……破れ」


「くっ!」


 男爵の男が持つ斧が、ガンッと強く音を出しては扉へと突き刺さる。

 ドアノブを壊すためと、ガンガンと続けて斧は振り下ろされ続け、その音に気づいたかのように宿泊場の管理者が何事かと駆け寄ってくる。


「ちょっと! 貴方方は何をなされてるのですか!? ここが何処だかご理解のうえで……」


「うるさい! 黙れ!」


 管理者の止める声の途中、ベンザは相手が女性と言うのも構わずに、相手の顔面に躊躇いもなく自身の拳をぶつける。

 突然のことに自身の顔を抑え激痛に悶え、声を出しながら床に倒れる女性。

 それを見ていた周囲の者は流石にやり過ぎだと思ってしまったが、この場にベンザに対してそんな言葉を告げることができる者もおらず、皆は黙ったままだった。

 女性は鼻の骨を強く殴られたせいか、涙と鼻から血を出していた。

 流石にそのままでは邪魔だとティッシュが払う素振りを見せると、他貴族の者が女性を介抱するように下の階へと連れて行く。

 その間も男爵の男は斧を振り続け、そして、バキッと強い音を最後にゆっくりとその扉は開かれる。

 

「ヒョッヒョッヒョッ。エマンダ婦人! さっ、出てきなさい! ……?」


 男爵の男を押しのけ、扉を開けて声を張り上げ中に入るベンザ。

 だが、部屋の中で居留守を使っていたと思われるエマンダ婦人の姿がない。それどころかこの部屋の主である男(ミツ)の姿すら見当たらない。

 部屋のどこかに隠れているのだとベンザが告げると、周囲の貴族の視線は先程までとは違い、ベンザへと訝しげな視線を送るものが出てきた。

 ベンザが部屋の中を探し始め、婦人のティッシュも布団をめくり、窓を開けては外に隠れていないかとベランダを探す。

 ベンザがテーブルをひっくり返し、クローゼットの中身を外へと出し、しまいにはベットをひっくり返しては、もう部屋の中はしっちゃかめっちゃかである。


 そんな時、階段を多くの者が駆け上がってくる音が聞こえてきた。


「動くな! この場にいる者、全て捕縛する!」


 それは街を守る衛兵部隊だった。

 領主様の管理する宿泊場に賊が入り混んだと連絡を受け、大人数でお仕掛けてきたのだ。


「なっ! 何を言い出す! ワシを誰だと知っての狼藉か!? それにワシが何をしたと言うのだ!?」


「阿呆か! 何を言ってるのはお前の方だ! 領主様の管理されるこの場にて管理者への暴力行為! 更には無理矢理と思える扉の破壊! そして大会出場選手の部屋への押し掛け、更に付け加えると部屋を荒らす行為! 十分すぎるわ! 逆にここまでして、何も思っておらぬ貴様が怖いわ!」


「なっ……!? 違う! ワシは真実を突き止めるためと!」


「話は別の場所で聞く! さっ、大人しくして縛に就け!」


「何故じゃ! 何故ワシが!?」


「離しなさい!? そのような汚らわしい手にて私に触るではない!」


 突然押し掛けてきた衛兵に、ベンザとティッシュ、そして命令されたとはいえ、扉を破壊した男爵の男は抵抗を見せるが、そのまま捕縛され連れて行かれることになった。

 他の貴族も三人の行動を止めることもなく見ていたということで同罪、話だけでもと言うことで連れて行かれることに。


 相手が一応貴族と言うこともあって、周囲から顔など見られないようにと衛兵が気遣い、馬車タイプの連送車を用意してはそれで運ぶことに。

 それでも最後までギャーギャーと騒ぐベンザの声に、周囲は何だ何だと野次馬が馬車を見ていたそうな。


 連行されていくベンザが乗った馬車を見送り、衛兵長は深くため息を漏らす。


「全く……。おい、領主様への連絡、先程の部屋を使っている出場選手への連絡、それと怪我を負った者への治療を急げ。後、他の宿泊場にも注意勧告の連絡もな」


「はっ、了解しました! ……隊長、折角早く帰れると思ったのに残念ですね」


「ああ、嫁さんにまた嫌な顔されそうだぜ……」


「隊長の奥さん、そんなに怖いんですか……?」


「莫迦、別にナシルは怖くねえよ。ただ機嫌が悪いとな……」


「どうしたんですか?」


「晩飯のおかずと酒が減る……」


「うわ……」


 衛兵長をやっているベルガー。

 今日は息子のリック達を伴って街のお祭りに足を伸ばし、家族で飯をする予定であった。

 だが、それもベンザの迷惑な行動でお流れ。

 ベルガーの言ったとおり、彼が職務を終わらせ、自宅へと帰ったときは嫁のナシルは不機嫌だったそうな。


 ちなみに部屋に入ったエマンダ様とミツだが、彼らはセルフィ様から催促されると思われる人形を完成させた後、婦人をトリップゲートで屋敷まで送り、人形をセルフィ様へと直ぐに渡せるようにと談話室へと持ち込んでいた。

 その後、部屋へと戻ったミツは散らかされた部屋を見ては唖然としていた。


「なっ……なんじゃこりゃぁあー! いや、マジでなにこれ! えっ、部屋を間違えた!? 嫌、ここだ……。って、扉のドアノブが無い! なんでー!? さっきまで綺麗な部屋だったじゃん!? 何で? 何で!? まじで何で!? 教えて、ユイシス!」


《ミツ、落ち着いてください。その部屋を荒らした人物はカバー伯爵家のベンザとティッシュ、扉を破壊したのは男爵家の貴族の男です》


「はっ? カバー伯爵? ベンザ? ティッシュ? 誰だよ!」


《ミツ、ご主人様から頂いた〖森羅の鏡〗を出してください》


「えっ? ユイシス、何を……。鏡ってこれ?」


 ユイシスに言われ、何かと思いながらもアイテムボックスへと手を入れ、以前シャロット様からご褒美として貰った〖森羅の鏡〗を取り出す。

 相変わらず外装は銀色に輝き、銀色の花が美しくも飾られた形を見せていた。


「出したよ? でも何で鏡を……」


《そちらの鏡に魔力を込めながら、観たい場面を思い浮かべてください。解りやすく思い浮かべるのでしたら、ミツがゲートでこの部屋を出た後ですね》


「はぁ……。魔力をこめながら部屋を思い浮かべる……。んっ!?」


 森羅の鏡へと魔力を流し込んだ瞬間、虹色の靄がジワジワと鏡から溢れてくる。

 何かと思い、咄嗟にひっくり返ったテーブルを起こしては鏡をその上にと置くと、靄は更に鏡から出てきては大きな球体を作り上げた。


「なっ……何これ……。あっ、何か観えてきた……あっ、この部屋、これって自分とエマンダ様じゃ? ユイシス、まさかこれって……」


《はい、森羅の鏡はイメージすれば、その場のシーンを映し出すことができます》


「おお、こりゃ便利じゃん! つまりは監視カメラね。 よし! これでこの部屋を荒らした奴の顔が解る」


 森羅の鏡から出てきた虹色の靄。それが球体となり、まるでテレビのようにカラー表示と部屋から荒らされる前の姿を映し出していた。

 映し出された映像にはトリップゲートを出す自分と、それに入るエマンダ様の姿が写っていた。

 ゲートが消えた後も、暫くは何事もない部屋の映像が流れ続けている。


「この後、何が……」


 そんな言葉を呟いた瞬間だった。


「エマンダ婦人! 中にいることは解っているのです! このような時期に貴女というお立場の方が男の部屋へと入り込むとは!? さっ! 逃げることなどできませんぞ!? 観念して出てきなさい!」


 突然虹の球体から聞こえてくる野太い男の声、後に聞こえてくる耳に響く女性の声。


「わっ!? 音まで聞こえてくるの!? ちょっ、ユイシス、音量調節ってどうやってするの!?」


《鏡に触れ、音の質量を変更してください。変更はイメージでできます》


「はいはい、便利なことで」


「……りともこの扉からは目を放しておりません。恐らくバレては不味いと……」


「うん、こんなもんかな……」


 耳が痛くなる様な甲高い声のボリュームが下がっていくことに、少しホッとしては続きを観る。


「!? まじか……扉を壊し始めた……。うわ、こいつがカバー伯爵か……メタボだな……顔は忘れんぞ! おいおい、勝手に入り混んで……。あーあ、女の人もヤリたい放題だな……。あっ、衛兵が来た……。ザマァ! 捕まったんだ!」


 暴れるベンザを無理矢理と連れて行く衛兵の姿を見て、スッと気分が良くなっていく。

 そのまま映像を見続けていると衛兵が部屋を見渡した後、壊された扉を締める。

 そして、数分見続けていると自分が戻ってきた。


《この様に、既に部屋を荒らしたものは衛兵が連れて行っております》


「そっか。戻ってくるタイミングがもう少し早かったら、衛兵さんと鉢合わせしてたのか……。ふむ、これって多分荒らした後とか現場検証とかするよね……。となると、勝手に片付けるのも後で何か言われそうだな……。はぁ、仕方ない……。教会に帰ろう……」


 結局、自分は豪華な宿泊場を楽しむこともなく教会の部屋へと戻ることにした。

 一応書き置きを残して帰ったので問題はないだろう。


「はぁ~あ……」


 ため息だけを残して、自分はトリップゲートを出しては部屋を後にした。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る