ケタケタ

 あれは中学生くらいの頃。

 夜、私は家にいて、自室に行くため階段をのぼっていた。

 実家は田舎町にある二階建ての一軒家で、階段をあがったすぐ左手前に自室があり、右手側の上にはブラインド付きの窓があった。

 一階では家族がテレビを見たり、夕飯の後片付けをしていた。特に変わったことはない、いつもどおりの夜だったと思う。


 私は階段をのぼりきり、自室の戸を開けようとした。


 その時。


「ケタケタケタッ!!」


 背後から、けたたましい音が鳴り響いた。


「っ!?」


 私は文字どおり跳び上がって、自室を素通りして、廊下の奥にある親の部屋に逃げ込んだ。

 後ろから本気で驚かされたようだった。心臓がバクバク鳴っていた。なにが起きたのか、すぐには把握できなかった。


(なに、今の? なんか、窓のほうから変な音が聞こえたんだけど……)


 私は怯えながら、そっと戸を開けて、廊下をのぞいた。

 明かりのついた一直線の廊下。その突き当たりに階段があって、上に窓がある。

 ブラインドの開いた窓には、ただただ、暗い夜の闇が広がっているだけ。しばらく耳を澄ませても、なんの音も聞こえない。

 

 恐る恐る廊下に出て、窓まで近づいてみる。窓は私の頭よりも高い位置にあり、背伸びをしても顔を出すことはできない。じっとガラスの先を見てみるも、静かな暗闇があるだけだった。


 結局、あの音の正体がなんだったのかは、今もわからないままだ。


 虫か鳥かカエルか、なにか生き物の鳴き声だったのかもしれない。窓の近くにいて、私が階段をのぼりきったタイミングで鳴きだしたのだろうか。

 

 しかし、それ以降はまったく音が聞こえなかった。鳴き声であれば、何度か鳴いてもいいと思うのだが。あの時と同じ鳴き声も、今のところ聞いたことがない。

 あと、私が階段をのぼりきった途端に、まるで私を驚かすように出された音。あれは偶然だったのだろうか。


 謎は暗闇のなか。私は今も、あの音を「ケタケタ」と呼んで恐れている。


 また背後から、大きな音で驚かされないように。あれ以来、私は実家の階段をのぼると、必ず一度、首をひねって窓を確認している。


 まぁ、窓を見たところで、もしも「ケタケタ」の姿が映ってしまったらと思うと、余計恐ろしいのだけれども……。


 ほんとに、あの音は、なんだったんだろう……?






p.s.後ろから驚かすのはやめてー……(>_<)

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ホラー嫌いなオカルト好き 宮草はつか @miyakusa

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