第34話恋話

「この仕事してたら、出会いなんて同じ職場以外であんまり期待出来ません!ほっといてよ!」


「あらあら、怒らせちゃったか。ゴメンゴメン。あ、ボタン押すね。」


「はいはい。ふ~、出会いか。確かにあのぶつかった人カッコ良かったな。でもさ、偶然ぶつかった人とまた偶然に会うなんて、願ってもなかなかないと思うよ。」


そこにウェイトレスが。


「ご注文はお決まりになりましたか?」


「はい。この抹茶ラテMサイズと、後この苺パフェをお願いします。」


会話に割り込むウル。


「あ、あとアイスティーを、サイズはMで。」


「抹茶ラテMに苺パフェにアイスティーのMですね。以上でよろしいですか?」


「はい。お願いします。」


「承りました~。少々お待ち下さい。」


ウェイトレスは手持ちのタブレットPCに注文を入力した後、一礼して離れた。


「でさ、さっきの続きだけど。」


「まだ続くの?」


「勿論~。あ、あからさまに嫌そうな顔禁止~。」


「あのさぁ、ウル。あんた面倒臭いやつって言われて事ない?」


「面倒臭い?あー、あるかも。彩には良く言われてな~。はぁ、今どうしてるんだろ?色々思い出しちゃったよ。」


「アイルランドに居た頃の仲間だっけ?」


「うん。他にも沢山いたよ。会いたいな~。」


「そう言えば、前に会った時は初めて入社した頃の仲間の話しって、ロウさんやミハイルさんは聞いたけど、日本人同僚の話しは聞けなかったね。どんな人達だったの?」


「そうだね~。有香は怒るとメッサ怖かったけど、普段は優しくて頼りなる人だったよ。ゲンさんは頼りなるけど、ギャンブル癖があったな~。でも、基地...」


「基地?」


「あ、いや、几帳面な所もあって、日本人メンバーの中では1番面白かったな。うんうん。」


「へー、なんだか楽しそうね。」


「うん!彩は歳が近かったから、しょっちゅう話してたな。ファッションやメイクや、好きなボカロやアーティスト。日本のアニメは私は好きだったけど、彩はあんまり見てなかったと思う。後は~。」


「終わり?」


「ううん。(首を横に振りながら)後は零士。1番会いたいけど、日本に任務、あ。」


「任務?」



「あ、ゴメンゴメン。日本語難しいな~。

任務じゃなくて仕事ね、仕事。

 仕事で日本に行くってなってから、四人とも行方不明になっちゃって。暫くしてからゲンさんからヴァ…会社を辞めるって。」


「そうなんだ。」


「うん。だからまた会いたいよ。零士には私からちょくちょくチョッカイ出してたけど、いつも面倒くさそうにしててさ~。


こんな可愛い子から声かけられてるってのに、完全に子供扱いだよ子供扱い。頭に来るよねー。」


「あはは。ウルは楽しそうに話すよね。あ、ウェイトレスさん来たよ。」


「早いわね。」


「抹茶ラテMと苺パフェにアイスティーのMお待たせいたしました~。」


「はーい。」


「さてさて、まだまだ話しは続きそうね。」


「ふふ~ん。まぁね。」


同時に笑顔になる二人。


「はい、じゃあ次は梨沙ね。」


抹茶ラテを飲む梨沙。一口飲んだ後、溜息混じりに呟く。

「恋なんて大学以来してないよ。結局最低な浮気男で、手を繋いだだけだった。小学生みたいでしょ?」


「あはは、あったあった。梨沙大人しそうだったから、彼氏が出来たって聞いた時は私も嬉しかったから覚えてるよ。何股だったかな?三?」


「四股。あれから恋なんてしてない。あ、ウルはあれから何もないの?人に聞くだけじゃなくて、ウルも話してよ。」


「え~。」目をそらしながら上を見るウル。


「あんたね~。」


気にせず苺パフェを食べるウルだが、梨沙に向き直った時、見覚えがある男がカフェテラスに近いて来る事に気付いた。


「ん~?あっ、嘘!?」

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