第13話死闘、その果てに……
狙撃を仕掛ける男達は、それぞれドラグノフやPSG-1を構えた。
大カーブに入る3台の車。先頭車両カレヴイはカーブの先や、巨大なハンバーガー店の看板を見る。
🔹🔹🔹
「ここはかなり危険だな。だが襲う側もかなりのリスクがある。余程の命知らずでもな....!?」[ボスッ!!]
言いかけた瞬間、カレヴイは自身の乗るイギリス製のRV車の右側の前輪に鈍い音と共に衝撃が走ったのを確認した。
「撃たれた!?くっ、マジか、やはり居やがったか!こちらカレヴィ、襲撃だ!右側前輪を撃たれた!敵はやはりバーガー屋の看板裏に隠れていた。
2時方向から3、いや4台車が突っ込んで、ぐっ!?」[ピシッ!ガンッ!]
カレヴイの乗る車の右側に、更に数発の弾丸が着弾。レナートは間髪入れず指示を出す。
「ルーフからも反撃しつつ、カレヴイは敵先頭車両を撃て!ロドリゴは3時方向から来る車と最後尾を。霧島さんは頭を下げて!」
霧島明は震えながらレナートに尋ねる。
「だ、だだ大丈夫なんですか?カレヴイさんの車撃たれてますよ?」
「ご心配ないく、我々の車は全車タイヤも含めて防弾仕様です。それより万が一に備えてヘルメットと防弾ベストの着用を。霧島さん、我々を信じて身をかがめていてください。」
「は、はい」
カレヴィの車両に続いて、ロドリゴの車も撃たれ始める。それを確認したレナートは、自分達を襲撃して来た集団の戦法に、心当たりがあった。
「前後の車両を攻撃して身動きを封じる、これはロシアのスペッツナズの戦い方だな。とすると、こいつらロシア繋がりか?いゃ、ロシアが俺達を襲う理由は無いはずだが......ジョアン、空港のドミニクに連絡を、俺はセイバーに———」
▫️▫️▫️
レナートが考えている間にも戦闘は続いている。カレヴィの車両のサンルーフから身を乗り出したヴァルハラの隊員が、襲撃側先頭の運転席に向けて、ブッシュマスター社製自動小銃マグプルマサダ構え連射する。
[タン!タタタターン!]
「ごぁっ!?」
吸い込まれるように放たれた銃弾は運転席の男の頭部と胸に命中し、スピードを出していたせいもあって、先頭車両は右に大きく曲がりスピンしてしまった。
更にレナートにロドリゴの車両からもサンルーフから身を乗り出した隊員が銃撃を加える。
◾️◾️◾️
「当たったのか?まだ距離は200メートル以上はあったぞ……どうなっていやがる……こいつらただのボディーガードじゃねえ!!それに、いくら弾が当たってもびくともしねえ。完全防弾じゃねえか、くそったれが!」
ヴァレリーのスマホに次々手下達から悲鳴にも似た連絡が入る。
「こちら狙撃班ギルシュ。ゲンナジーとドーリャが殺られた!リーダー、こいつらただ者じゃないぜ、残っているのは俺とマカールだけだ。他はみんな逃げやがった、どうすりゃ良い?」
「そんな事でいちいち連絡するな!逃げたきゃ勝手に逃げろ!何としても止めるぞ。おいゾフ、バーコフは生きてるか?」
ゾフが応える
「駄目です。バーコフさんは運転主が殺られて車がスピン、なんとか止まりましたが、車から脱出した所を撃たれました。」
「くそが!殺りやがったな!あいつらプロだ、プロの傭兵だ...ちくしょうめ!47だ、銃を47に変えろ!クレムリンの奴ら知っていやがったんだ!知ってて俺達を......こうなったら......」
ヴァレリーの仲間達は装備を旧ソ連、ミハイルカラシニコフによって開発されたAK47に替えた。
▫️▫️▫️
旧式だが5.45ミリのAK74や5.56ミリ口径のスカーより威力はある、7.62ミリだ。
更に2台目に続いたヴァレリーの仲間の車が大破し、乗っていた者達の悲鳴が挙がった。
「ああっ!?マクシムさんの車も殺られた!ヴァレリーもう逃げましょうぜ、こいつは割に合わねえ………」
「ここまでやられて引き下がれるか!俺は逃げねえぞ!RPGをだせ!」
▫️▫️▫️
ゾフは後部座席から、旧ソ連で開発された旧式ロケットランチャー、RPG7を取り出す。古いが射程距離550〜700mはある。
「いくら完全防弾でも、こいつを食らって耐える筈はねえよなぁ...よし、サンルーフを開けろ、俺が殺る!」
ヴァレリー達の襲撃から3分が経過、各車両とも撃たれてはいたが、リーダーのレナートは冷静だった。
🔹🔹🔹
「こいつら銃の腕は良いな。元軍人もいるのか、防弾じゃなければ危なかったな。だが、あまり食らい過ぎるとガラス部分は危ないな。こちらランサーリーダー、敵車両は残り2台、看板下にいる狙撃手の抵抗も止んだ。みな良くやってくれた。
これなら俺達だけで何とか成りそうだ。一気に抜けるぞ!」
「ランサーツー了解。」
「ランサースリー了解。」
[バシュ—————ドガッ!]
その直後ランサーツー、カレヴィの車のボンネットRPG7の弾頭が直撃、スピードを出していた事もあり、カレヴィの車の前半分は吹き飛ぶ。
「なっ!?」
レナートがカレヴィの車両を見ると、カレヴィ達の乗った車は左にスピンしながら雑木林に突っ込み、車体からは火が吹き出していた。右側面から大きな衝撃を受けた事が解る。
「カレヴィ!なんてこった、RPGか?奴等ロケットランチャーまで持ってやがるのか。
危険だ!スピードを出せ!俺が直接今撃って来た奴を仕留める。ジョアン、俺のSRを。」
「了解。」
▫️▫️▫️
助手席に座るジョアンからナイツアーマメント社製の半自動狙撃銃SR25を受取り、レナートはサンルーフから身を乗り出してヴァレリーの乗る車に持っているSR25のスコープ越しに狙いを付けた。
頭を下げうずくまっていた霧島明は、カレヴィの車が吹き飛ぶ音に、思わず頭を上げ、あまりの光景に絶句する。
「ああ......」
ジョアンが明を注意する。
「霧島さん頭を下げてください!まだ危険です!」
「わ、分かりました。」
その間、ヴァレリーは興奮していた。
◾️◾️◾️
「はっはー!ざまぁ見やがれ!吹き飛びやがったぜ!面倒だ、次はターゲットの乗る車だ!ん?俺と殺り合おうってのか?
面白れぇ、受けて立ってやるよ!ぶち殺してやる!お、奴等スピードを上げたな、こっちも上げろ!」
レナートとヴァレリーの乗る車は、スピードを上げつつ銃撃をかわす。
ロドリゴの車もスピードを上げ、レナートを援護した。助手席に座るロドリゴは、怒りに燃えていた。
🔹🔹🔹
「よくもカレヴィをやってくれたな!」
「ロドリゴ分隊長、3台目が突っ込んで来ます!」
「マティアス、タイヤを狙え!近づかせるな!」
「了解!任せてくださいよ。」
マティアスはサンルーフから3台目の車のタイヤに向かって銃撃を加える。
車は制御を失い左にスピン。車から脱出した男達は、仲間がやられたのを見たせいか、抵抗する事なく逃げ出した。
◾️◾️◾️
「くそ、また仲間が!ただじゃすまさ——!?」
ヴァレリーが呟いた瞬間、ヴァレリーの右のほおを銃弾がかすめる。[ピシッ!]
「へっ、へへ。良い腕してるな。だがな、ここまでやられて逃げられるかよ!もっとスピードを上げろ!こいつをお見舞いしてやる。」
1度レナート達を通り過ぎた後、反転しレナートの車を追ってスピードを上げるヴァレリー。
🔹🔹🔹
「こいつ、死ぬ気か?ロドリゴ聞こえるか?サンルーフからロケットランチャーを出している奴を狙ってくれ!」
「解った!任せろ!」
◾️◾️◾️
「邪魔するんじゃねえ!」
撃って来たロドリゴの車に、ヴァレリーはRPG7を放つ。[バシュ———]瞬間、ロドリゴの車は後ろからロケット弾の直撃を受け、車は前のめりに1回転する。
🔹🔹🔹
「ロドリゴ!こいつ、100キロ以上スピードを出しているのに当てるのか?距離だって離れていたぞ……」
◾️◾️◾️
「はっ、見たか!次はお前だっ!」
レナートはそれでも冷静にヴァレリーに狙いを定めた。
両者の攻撃は、ほぼ同時に放たれた。
🔹◾️
「!!」
「?!」
ヴァレリーのロケット弾は、レナートと霧島明の乗る車の右後部に命中、衝撃で車両は右横にスピン。
ヴァレリーは———
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