第180話 惚れちまったぜ!
村の皆んなにもボロとダズンから黒い霧が抜けたと知らせる。(広めるのはたいていカールの仕事だ)
ユリウスが警戒を
「
「ああ、実はかなり安全だと思ったんだ」
「?」
「ダズンが倒れていたのは、この丘の結界の中だろ?もしもグロスデンゲイルが残っていても、結界の中ならすぐに異常が分かる。ボロを結界内に入れた時身体が
「そうではないから、黒い霧の影響下に無いと判断した訳か。種明かしされればなんということはないな」
ユリウスはさも当たり前のように、うんうんとうなずく。
知ったかぶりしやがったな。
「たぶん、フォリアの雷撃が黒い霧を
「やはりな」
……コイツ、人の言う事なぞってるだけだな。
そう思った時、不意に目の前が暗くなる。ボロとダズンが目の前に立ち塞がったのだ。
思わず身構えると、彼らはガバリと俺の足元にひれ伏した。
「ヒロキの旦那ァ!」
「うわっ⁈」
「助けてくれて、感謝の言葉もねぇッ!」
わ、わかったからやめてくれ。こういうのは……嬉しいけど。
2人は顔を上げると、更に言葉を継いだ。
「俺達を使ってくれ!何でもするぜ!」
おお、これはありがたい。
ニヤついていると、ユリウスが「お前に似合いの部下だな」と言う。まったく嫌味なヤツだ。
「いいだろ。人手が足りないんだから助かるじゃないか」
「好きにしろ」
そう言い放って背を向ける。
その背にボロが礼を言った。
「ユリウスの兄貴ィ、アンタにも感謝しているぜ!アンタのおかげで俺は正気に戻れたんだ」
そういやユリウスがかっさらって行ったんだった。
「あの力強い腕、惚れちまうぜ!」
ぶふー!
ユリウスの全身にゾワゾワと悪寒が走るのが見えた。
俺は思いっきり笑った。
「さて、ボロ達には聞きたいことがある」
ひとしきりお祭りみたいに騒いだ後に、俺とカリン、そしてボロとダズンが丘に残り、作業用のテーブルに着席してから俺はそうきり出した。
「なんでも聞いてくれ、ヒロキの旦那」
その呼び方!
思わず笑いたくなる。
「まずは何があったか知りたいんだ。ボロ達3人が町を追われてからの事を聞かせて欲しい」
ボロはうなずきながら、
つづく
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