第37話 家庭科の魔術書!

中学校の家庭科の本を探し出すと、俺は外に出てカリンにそれが載っているページを見せた。


そうそう、糸通しだ。


俺は使い方が載っているのを示しながら説明文を読んでやる。


カリンは糸通しの性能もさながら、図解付きの教科書に興味を持ったらしい。


「これはどう言う意味でしょうか?」


「これは…布の縫い方を説明してるんだ。糸と針で縫っているのがわかるだろ。あとは縫い目がこう…何種類か載ってる。こっち?こっちはバッグの縫い方だな。これはクッション。これはミシンっていう、布を縫う機械だ。これ?これは料理の作り方だ」


カリンは感心したようにやや頰を紅潮させて、


「ヒロキ、私はこの本を読めませんが、この本にはたくさんの秘密が記されているのではありませんか?」


そうかな?

確かに家庭科については書いてあるだろうけど。


カリンには色付きで図解されている教科書は面白いものなんだろう。


「ヒロキはこの様な世界からいらしたのですね」


家庭科の教科書には写真入りで暮らしの様子とか料理の作り方が載っている。掃除機の写真なんて何しているかわからないだろう。


持ってていいよ、と言うと彼女は恐縮したように教科書を胸に抱いた。


そういや本自体が珍しいかもしれない。(紙が高価そうだしな)


マンガでも売ろうか?

いや、こちらの行政機関とかに目を付けられでもしたらめんどくさい。

それは最終手段だ。


そこへ町の方から水撒き部隊が帰って来た。


「カール!お疲れ様!」


「ヒロキ様!」


元気よくカールが返事をする。

どうやら水が尽きたので、帰って来たらしい。


「でもこれで町まで安全に行けますね」


そういえばあれ以来黒い雲も狼も見ていない。フォリアの力が増しているのだろう。


それからの1週間、俺達は市場へ持っていく商品を用意した。


つづく

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