第17話 君のお父さんに挨拶します!

裁縫道具、あるあるある!

小学校の時家庭科で購入したやつ!

中学で少し使ったきりしまいこんであるヤツ!


全然縫えなくて家庭科の野田一(先生)に居残りさせられた…って事は置いといて。


俺は部屋に入ると学校用品を収めたとこはどこだっけと見回した。

この前確認した時に絵の具とか習字道具を見た覚えがある。


そうそう、机のサイドの大きい引き出しだ。ここ何年か入れっぱなしだ。


「あった!」


デカイ弁当箱くらいの大きさで、スポーツメーカーのロゴが入っている。開けると、多少散らかってはいるが、全部そろっていそうだ。


糸と針、裁ちバサミ。チャコペン?と糸通し、指ぬき?ヤバイ使い方わからん。


ま、カリンがなんとかするだろう。


糸も色が何種類か入っている。足りなければ増やせる。


この裁縫道具一式をカリンに渡すと、彼女はすごく喜んだ。針と糸はこちらでもあるらしい。ハサミは村に1つあるらしい。


まだ作業台も何もないので作業はできないが、カリンはどんなものを作ろうかと今から考えているようだ。


楽しそうだな。


こちらも頰がゆるむ。


他に布がないかな?後で見てみよう。


「ヒロキ」


ぼんやりしていたので呼ばれて驚く。


「何?」


よく考えたら、下の名前で気軽に呼ばれるなんてなかなか無いよな。


「ヒロキ、この針はすごく良いものです。まっすぐで布にも通しやすい」


「お、おう」


「これも売れるのではないでしょうか?」


「あっ!」


聞いた事がある。針を売って歩いた武将の話。軽くてかさばらないとか…。


ハサミは持ち手がプラスチックだからこの世界に広めるのは抵抗があるが、針ならハードルが低い。


よし、一緒に持って行ってみよう。ついでに縫い糸も。


そうしているうちに丘に初めての来客が来た。


「お父さま!」


「カーテローゼ!」


カリンの父親(俺たちが行った時に村の門番をしていた人)だ。2人はぎゅっと抱き合うと、お互いの無事を喜んでる。


「救世主様、この丘に来て頂き感謝致します」


そ、その呼び方はちょっと…。

俺は名前で呼んで欲しいと頼んだ。


「では、ヒロキ様。娘の命を取らずにいて下さり、感謝します」


と深々と頭を下げた。


「命を取る?」


「これまで丘に捧げた作物や家畜は天に召し上げられたと聞いております。この娘もそうなるとばかり…」


と、言う事は女神・フォリアが供物を受け取っていたということだな。


でも皆の信仰心を高めよ、と言うからには…。


「気にしないで下さい。これも女神の思し召しです」


ちょっと芝居ががっているかな。

けれど父親は感激したようだ。

ひとしきり感謝を述べた後、


「村では一軒の家を解体し始めました。私はここの建設場所の下見に来たのです」


と言う。


「丘の麓に建てようかと思います」


「えっ!?」


俺は慌てた。この丘になくては狼が出た時困る。っていうか危険だ。


大きい家ではなくて、俺の部屋と変わらないくらいの小屋でいいからこの丘の上に立ててくれと頼む。


カリンの父親は聖域の話を聞いて納得した。丘の傾斜を確かめてから、出来るだろうと言ってくれた。


それから俺とカリンは村長に話があるからと、3人で一緒に村へ向う事にした。


人手があるうちに菓子パンとポテチを運ぶのも効率的だ。

少し水も持って行こう。


つづく

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