第13話 もう寝ますね!

「わぁ!」


カリンが驚きの声を上げる。

俺も電気がつくとは思わなかった。白い光の電灯は煌々と照っている。

眩しさに外の世界とのギャップを感じる。


電気が付くならスマホの充電も大丈夫だな。


ん?


俺が出入りするごとにスマホが増えるわけじゃない。それは俺が着ている服もそうだ。


外にスマホを置いたままなら、もう一度外に出た時にスマホは増えている。


データってどうなるんだろう?


俺は外で、ドアからの灯りに浮かぶカリンの姿を撮ることにした。


不思議そうな彼女にスマホのレンズの場所を見る様に言う。

(フラッシュはやめとこう。絶対驚く)


「はい、こっち見てー」

(ハイ、チーズって俺は気恥ずかしくて言えない)


シャッター音にカリンはびくっとしたが、直ぐに寄ってきた。

彼女はこの『石版』の表面に色々な絵が浮かぶことは知っている。


俺は撮ったばかりの写真を見せる。


「まぁ…!」


ふふふ。

驚いてる。


「これは私ですか?一瞬でこの様な絵が描けるとは…」


「これは写真っていうんだ。風景をそのまま映し取る技術だよ」


俺はそのスマホを持って部屋に戻る。


あの見えない壁を通り抜けると、カリンの写真は消えた。


よく見ると充電の残量も元に戻っている。やはり部屋に戻ると持ち出す前の物に変わる様だ。


外の世界で写真を撮っても消えるのはつまらないな。このスマホは外に出しっぱなしにしておきたい。


と、なると充電方法を考えればいい。

例えば延長コードがあるからそれを使ってなんとか…。


考えていると、カリンが外から声をかけてきた。

もう休むという。

(早いなぁ)


ここらではロウソクや明かり取りの油は高価なので、日の出と共に起き、日の入りとともに休むのが普通らしい。


俺は自分の布団を一式増やして渡すことにした。地面に直に置いたって、部屋に戻せば消えるし、また増やせるしいいだろう。


ただ、なんか照れ臭い。

俺の布団にカリンが寝るのはなんかへんな感じがする。


部屋の壁に沿う様に設置してやると、彼女は布団に驚いていた。


「この様な立派な美しい布地…それにこの柔らかい肌触り…よ、よろしいのですか?」


「カリンもわかっていると思うけど、どうやらこの部屋の中の物は持ち出すと増える様なんだ。だから気にしないで使ってくれ」


また狼が来ると怖いだろうと俺も外で寝る事にする。俺はドアの前陣取り、部屋の角を曲がるとカリンがいるという配置だ。


少し冷たい夜風を額に感じながら、横になる。風邪をひかないようにしなくては。

見上げた夜空に浮かぶ三日月を見て、月はあっちと同じなんだなと思っているうちに、俺は眠りに落ちた。


つづく

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