第3話 狼が襲ってきました!

村に行く途中麦畑を通ったが、どれも穂をつけてないようである。つけていても指で触れてみると手応えなく潰れた。


小さな村だが周りは土塁で囲まれている。場所によっては壁とも言える高さだ。入り口には数人の男たちが警備を固めてる。


カリンは走ってその男達に俺の事を知らせに行った。

胡散臭げに見られるのは仕方ない。服装からして妙に見えるんだろうな。


カリンが息を弾ませて戻って来る。

「ヒロキ、村長が参りますので少しお待ちください」

「お、おう」


ところが俺が返事を返した途端、急に空が暗くなった。見上げるとあれほど晴れていた空が灰色の雲に覆われている。見る間に暗さが増し、ぬるい風が吹いてくる。


俺の後ろを見たカリンが声を上げる。

つられて振り向くと麦畑の中を黒い影がいくつか進んできていた。


「狼?」

「ヒロキ、こちらへ!」


俺の袖を引くカリンの手をそっと外すと、俺はカリンに村へ戻るよう言った。


「俺に任せろ」


俺にどんなスキルがあるのか分からないが、この村の危機を救うためにここに来たに違いない。ならばこの狼達を倒すためのスキルがあるはずだ。


村人達はカリンを収容すると、門を閉じた。カリンは門の上の物見台に上がってきて俺を見守る。


「気をつけてください!」


俺はカッコつけて、振り向きもせず手を振った。

(1度やってみたかった…!)


狼の群れはおよそ10頭というところだ。まだ隠れているかもしれない。

俺を見つけると歩みを止め、グルグルと俺の周りを囲み始める。


やっぱり少し怖い。


獣の臭いが鼻をつく。

グルルル…という唸りが俺の耳に届いてくる。


「さて…俺に宿る力よ、目覚めよ!」


足を震えさせながら俺は右手を上げて狼達に向けて構えた。

それを合図にしたように三頭のデカイやつが同時に飛びかかってきた!


行け!俺の力よ!


あれ?


ちょ、ちょっとまっ?


狼たちに襲いかかられて、俺の意識は途切れた。


つづく

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