娘になった彼女

勝利だギューちゃん

第1話

高校時代に、ある女の子がいた。

明るく前向きで、誰とでも仲良くなれる子だった。

ただ、「八方美人」と、悪く言う人も、少なくなかった。


でも、そんな事には、耳を傾けない、強さを持っていた。


しかし、体は弱く、よく学校を休んでいた。

でも、「一病息災」の言葉のように、意外と長生きすると、思っていた。


しかし、その願い虚しく、彼女は高校卒業と同時に、世を去った・・・


彼女の名前は、河原真奈・・・


彼女の通夜や葬儀には、大勢の人が参列した。

生前の、彼女の親交の広さが、うかがわれた。


しかし、僕は参列しなかった・・・


去る者は日々に疎し


いつまでも、故人の事にこだわっていては、先に進めない。

いつしか、彼女の事は、心の奥底に閉まってしまった・・・


僕だけでなく、全ての人から・・・


それから、数年後・・・


僕は、アパートで独り暮らしをしていたが、現れてしまった。



「やあ、元気?相変わらず冴えないね」

「河原さん?どうして?死んだはずでは?」

「死んだよ。だから、こんな格好なんじゃない」

白いワンピースに、天使の輪が乗っている。

あからさまだな・・・


「そうそう、君は私の通夜にも葬儀にも来なかったでしょ!」

「それは・・・」

「冷たいな・・・」

「わるかったな」

「冗談よ」


河原さんは、笑う。

死んでも変わってない。


「で、何の用?僕を迎えに来たの?」

「まさか・・・君はまだ死なないよ」

「じゃあ、何のよう?」

河原さんは、即答した。


「私を君の娘にした」

「ワンスモア」

「君の娘にして」

意味がわからない。


「私ね、もうすぐ転生するんだ」

「それで」

「でね、神様が、転生の希望を叶えてくれるんだ」

「だから」

「だから、私は君の娘になりたい」

何を考えているんだ・・・


「相手がいない」

「彼女なら、もうすぐ見つかるよ」

「相手は?」

「それは、言えないけど、すぐに気にいるよ」

「で、なんで僕の娘に?」

「君の事が好きだったから」

ウソだな。


「本当だよ」

仕方ない。

OKしておこう。


「わかったよ。生まれておいで。

真奈と付けるから・・・」

「ありがとう。決まりね、パパ」

消えた・・・

夢だったのか・・・


ピンポーン


ドアのベルが鳴った。

「はーい」

僕はドアの開けた。


そこには、1人の女性が立っていた。

「はじめまして。私、今日隣に引っ越してきました、山村です。お世話になります。」

「国里です。こちらこそ、よろしくお願いします。

わからにことがあったら、言って下さい」


数年後


いつの間にか、恋に落ちた僕たちは、結婚することとなる。

そして、娘が生まれた。


とても、元気だ。


「あなた、名前考えてくれた?」

僕は頷いて、赤ちゃんに声をかけた。


【おかえり、真奈】

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娘になった彼女 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu

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