第26話 昔、(マツリサイド)

 おなかへったなぁ……。


 れいぞうこあけた。


 なんやようわからんサプリメントがでてきた。


 1っこだけかじってみた。


 まずい。あじがのうてこなっぽい。


 ババアはねてる。


 あ、うしろにババアのカレシがおる。


 バシッ……!! ガンッ!!


 たたかれて、れいぞうこにうった。


 こういうとき、カレシのめはみたアカン。


 またなぐるから……。


 きょうは、だんじりひいてる。


 おとはようきくけど、みたことない。


 よる。


 ババアとカレシに、くるまほうりこまれた。


 また、あたまうった。いたい。


 なきたい。なみだでぇへん。


 くるま、ながいことのって、やまンなかきた。


 カレシにひきずりだされる。


 たかい。


 したみえへん。


 おとされるんや。ころされるんや。


 こわい。


 そしたら、こえがきこえた。


「神域で何しとんねん迷惑な人間やなぁ。」



 うえみた。ネコがおる。


 おつきさんでようみえる。しっぽみっつや。


「ネコさんしゃべったぁ。」


 と、いってしまった。


 カレシキレる。


 あ、これ、おとされんでも、ころされる。


 でも、なぐられんかった。


 クルマより大きなくろいトラみたいなのが、カレシくわえてた。


 ババアはなんかさけんで、クルマでにげた。


 トラはカレシそのへんほって、しゅんってちっさなって、さっきのネコさんになった。


 ネコさん言った。


「物部のモン以来じゃの。喋れるんは。えぇ拾いもんしたわ。アテがあんたを拾ったろう。」


「ひろう?」


「育てたる。面倒見る。解るか?」


「じゃぁ、オカンやな!」


「あぁ?」


「テレビでいうてた! そだてたヒトはオカンやって!」


「あぁ。なるほどな。オカンやな。」


 5年後――――。


「オカン! 枕返しが泣いとった。アパート、取り壊しやて!」


「ほっとけ! ウジウジメソメソと!」


「えぇ! でもウチおっちゃんにはせわになったで?」


「はぁ……。しゃぁないな。ほな、子供……多いとこ……。ここや! 屋移りさせたえぇ。」


「なー。なんて読むん?」


「児童育児相談所。」


「ふーん。」

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