第97話 サプレ

 お店に戻りサプライズプレゼント、略してサプレを考えている。やはり、商人だから当店オリジナル商品をプレゼントするのが良いとは思うが、当店の石鹸やハーブティではインパクトが弱い気がする。

 確か辺境伯爵様の息子は剣に腕のある方だったはずだからドラゴンフィッシュの歯で作った短剣で妻になる三大歌姫の一人戦歌姫にはドラゴンフィッシュの鱗で作った髪止めにしよう。


※因みに三大歌姫は戦歌姫(センカヒメ)・守歌姫(シュカヒメ)・魔歌姫(マカヒメ)の三人である。戦の後衛から歌を歌って戦歌姫なら攻撃力や素早さを上げ、守歌姫なら防御力や自分の近くに物理障壁、魔歌姫なら魔力や近くに魔法障壁。半径百メートルなら2倍近くの能力を兵士が受け取れる。離れれば離れるほど効果は薄くなる。二人以上で歌うことで相乗効果もある。


 「ドラドラ、ドラゴンフィッシュの素材で短剣と鞘を作ってくれ。ドラコは髪止めを頼む。」


  イーリュウに戻り、二人に依頼をすると、ドラコは髪止めの事を知らなかったため、こういったものを作ってくれと地面に書いて説明する。その後、ピューネを拠点に戻してから街へと向かい宿に泊まる。

 翌日、雑貨屋などを回るがカンザシはみあらなかったため商業ギルドへ登録を行った。今回作って貰う髪止めはカンザシ型だけど、鞘つきであんきにも使える。その後、デスロードに行って、カカオやココナッツを大量に集めてイーリュウに行くと、人が殺到していた。


 「クーヤン様助けてください。」


 「何があった。」


 話を聞くと、街のポーションよりも効き目がよく値段が安いため殺到したようだ。


 「すいませんが並んで下さい。並ばない方には売りません。」


 「おいおい、ガキが調子に乗ってんじゃねーぞ。」


 「ガキですが一応ここのトップですから権限はありますよ。」


 「なら話ははえー。早く売れや。」


 「並ばない方には売りません。」


 「Cランク冒険者シギサに向かって舐めた口を、」


 乱雑に並んでいる?人達に向かって大きい声で並ぶよーに言うと、サギシじゃなくシギサが剣を抜いたため、フェンリルが両腕を切断した。一瞬何が起きた解らなかったシギサは、自分の腕が無いことに気づき痛みでたおれこんだ、


 「他の方もこうなりたいなら向かって来てください。それと並んで下さいと頼んでますので、聞こえないようなら両耳がこうなると思って下さい。」


 倒れているシギサに止血をするためポーションをかけながら、再度並ぶよーにお願いするとすぐに並び始めた。


 「それから申し訳ございませんが、お一人様各種ポーション類を五本づつまでとさせて貰います。アグーとスナイダこれ以上並ばないように後ろで見ていて。」


 お店の中に入りお客を捌いた後、閉店した。店の前には明日からの販売価格と何本までの購入出来るかをスナイダに書いて貰う。


 「クーヤン様助かりました。ありがとうございます。」


 ダーランが頭を下げてお礼をしてきた。


 「それにしても思った以上にお客が多くなったな。購入しやすいように、購入後は裏口からでて貰うようにしよう。」


 「解りました。」


 「手裏剣の在庫がなくなっているね。」


 「はい。予備の武器に買う方が多いです。次に山へ依頼を受けた方がテッコウカギを購入されてますね。」


 ダーランと話をしていると、スナイダがサラマリを連れてお店に入ってきた。


 「クーヤン様、サラマリがご用があるそうで連れてきました。」


 「突然の来訪申し訳ございません。」


 「いえ、何か急用でもありましたか?」


 「先日頂いたハーブティをガドラス様に伝えたとこ、是非飲んでみたいとおっしゃりましたので、購入しに来たのです。」


 「すいませんが、閉店してますので明日に開店時に購入して下さい。」


 まさか今売ってくれない事に目を見開き驚いたサラマリに、


 「貴族だからと言って、特別扱いはしませんよ。ましてやここの領主なら尚更です。民の税で過ごしてるわけですから、そんなことしてはしめしがつかないでしょ。」


 「確かにそうですが」


 「僕も少し用がありますのでガドラス様に今から会えないか聞いて貰えませんか?」


 買えずに戻ればメイドのサラマリも何かと困るだろうと考え、直接お土産として持っていく事にした。

 





  

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