第75話 シャン街

 どうやらこの街には5日滞在するみたいで、4日後に行われるオークションの後に出発するようだ。

 バーバラは一日休んだら先にガドラス街へ向かうみたいで冒険者ギルドへ護衛依頼をかけにいった。


 「ライガ・エンガは二人で出発の日にちまで好きに過ごしてて」


 「はい。」


 二人と別れてピューネと一緒に拠点に戻り、オークションの日にちまで拠点の手伝いをして過ごした。

 オークションの日、街が騒がしい。少し離れた位置で話を聞いていると、ドラゴンの剥製が出品されるようでかなりの熱気になっている。


 「すいません。遅くなりました。」


 「こんな人混みだ仕方ない。さっそく中に入るぞ。」


 マルチ男爵と一緒にオークション会場に入ると受付の人からマスクを渡された。これは後々、誰が購入したか解らなくするためで、以前に伯爵と争い購入した男爵が被害を受けたため出来た制度みたいだ。


 「今回の出品する品々だ。」


 席に行く前に、マルチ男爵が通路にある賞品一覧と順番を教えてくれた。


 「隣に書いてある数字は何ですか?」


 「これは前回落札された金額だ。目安と思えば良い。」


 「なるほど。」

 

 今回の出品で気になったのは、雷鉄・アブラゼミ・ヒュドラの血肉だ。


雷鉄…鎧や盾なら雷系の魔法を軽減する。杖や剣なら魔力を通せば雷系の魔法を使える。


アブラゼミ…油を作る魔物、弱いために生きたアブラゼミを捕まえるのは難しい。難易度にするとAになる。


ヒュドラの血肉…マジックバックに入っている大量のヒュドラの値段が知りたい。


 「ほう。クーヤンもヒュドラの血肉を求めるか!」


 「いえ、値段が書いてないので気になっただけです。」


 「なるほどの。値段が書いてないのはここのオークションで出品された事がないものだ。」


 「さきほど、(も)って事はマルチ男爵樣は落札予定ですか?」


 「今回の辺境伯爵樣への手土産にな。」


 「そうなんですね。あれ?出品者募集ってありますが、今からでも出来るのですか?」


 「予定の数に足りない場合はまれにあるな。何か出品したいものがあるのかな?」


 拠点で作っている酒がいくらで売れるか気になるため、オークションに出してみたいが、説明するのが難しい。かわりに村近くにいるドラゴンフィッシュを言ってみる。

 

 「ピューネが討伐した、ドラゴンフィッシュを出したいのですが!」

 

 「ドラゴンフィッシュ?聞いたことないの。」


 「南の国の一部にしか生息してない生き物です。ドラゴンまではいきませんが、鱗は籠手や盾に、歯は短剣などに使えます。後は肉が美味しいです。」

 

 「見せて貰えるか!」


 解体済みの鱗と歯をだして見せる。


 「これは素晴らしい。オークションの主催者に口利きするから出してみないか?」


 「お願いします。」


 マルチ男爵とオークション主催者の所に行って出品をして貰う。その時に売上の2%が取られるのと1品につき1金貨支払う事、賞品が売れた場合は返金されるが、売れなかった場合は返金されないとの事などさまざまな注意事項も説明された。鱗が40枚と歯20個を1セットにして1金貨支払う。

 主催者側は最初怪訝な顔をして渋っていたが、試しに鱗や歯に魔法やハンマーなどで叩いて貰い、質の高さを証明させた。オークションでも、実際に試させることも了承した。






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