両思い 不器用な恋の行方

「ごめん。こいつストーカー体質あるし、山田君に迷惑かけるからこの前の返事お断りするわ。ごめんね」


え……? 山田もフラれるの……? どっちも負けということなのか?


「リクト、一緒に帰るよ」


りかは俺の腕をつかんで帰路につく。俺らの家は近い。ご近所だ。


「あんたついてきたでしょ。面白いものみたさでついてくるのわかるけど相手に迷惑がかかるから、そーいうことやめてよね。しかも、恋路までじゃまするなんて……最低」


たしかに、俺は最低男だよ。色んな彼女とエッチなことをしてたし……。

ストーカーのように、りかの邪魔ばかりしていたし。


「でも、何? さっきのセリフ、笑える。俺に惚れているとか意味が分からないし」


りかが笑った。笑うところじゃないぞ。そんなに俺のことが嫌いか。

俺はバツの悪そうな顔をしていた。


「浮気しないならつきあってあげてもいいよ」


「え……?」


りかが意外な提案をした。さすがに気づいたのか? 俺の気持ちに。


「買い物につきあってもいいって言ってるんだけど」


「あ、買い物ね」


やっぱり鈍感な女だ。


「やばい、財布忘れた」


「ほんとにドジね。本当は買い物にいく予定なんてなかったんでしょ?」


「え……?」


「私のこと、好きなら好きって言えばいいのに」


「なんで、俺がおまえなんかを」


「だって、私はリクトのことずっと好きだったんだよ。でも、リクトには彼女いたりして……友達ポジションでいただけ」


「あ、やっぱりな。俺に惚れてるとわかってたけどな」


俺は心から、りかの気持ちがうれしくて、うまく表現できなかった。


「私のこと好きなの嫌いなの? 昨日からあんた様子おかしかったから」


気づかれていたか……。


「す……き……なんだと思う」


なんだこのぎこちない告白は。

でも、俺の精一杯の告白であって――。


「手をだして」りかは俺の手を握った。

それは、はじめての手つなぎであった。


多分、この瞬間はどんな行為より俺は緊張していて、恥ずかしいけれど、手のひらはあせだくになっていた。






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