リクト 本命への告白

手を握ってみるか?

さりげなくりかの手に触れる。

俺の得意分野ではないか。


「手あれひどいのよね。家事全般私が担っているから」


そういう意味ではない……。


電車が揺れる瞬間に肩に手をまわそう。

よし、今だ。

りかが見上げた。よし、俺のこと意識したよな? 絶対したよな?


「今日のリクト変だよ。たしかに肩は凝っているけど」


こいつは、胸キュンしてないし、ときめいてもいない……。


「今日、肩もんでやるから、俺の部屋来るか?」


「何それ、珍しいなぁ」


そうやって、部屋で俺の得意分野の床ドンをしなければ。


「今日、これから家の用事があって無理だよ」


「じゃあ明日は?」


「明日、山田君と会うからダメ」


なんだよ、もうデートかよ?

今日、ちゃんと想いを伝えないと彼氏作っちまう。

想いを伝えてもフラれる可能性が高いかもしれない……。


百戦練磨のリクトもりかの心はつかめそうもなかった。

しかし、デートをストーカーするわけにもいかないしな。


恥ずかしくて面と向かって好きなんて言えないし。

あんなに他の人には好きって言っていたのに……こいつにだけは言えない、ちくしょお……。


駅について、電車を降りるとあとは家に帰るだけじゃないか。

時間がなさすぎる。


「山田じゃなくて、俺と付き合う気はないか?」


さりげなく言えたぞ。やった。


「ないよ」


なんだよ そのあっさり却下は。


「本気でもないくせにからかわないでよ」


からかってないんだけど、超本気だったのに……。


「俺、おまえみたいな彼女も面白いかな、とか」


「ちょうど彼女がいないからって、私への同情は結構です」


「同情じゃなくて……本気ですけど」


やばい、心の声がつい出てしまった。


「いつも美人としか付き合わないあなたが、私と付き合うなんて変よ」


「おまえ、結構美人だと思うけど」


本心を言ってしまった、やばいな。これで、落ちるよな絶対。


「いっつもブスって言ってたじゃない? 信じられない。今まで彼女何人もいたのに、なんで急に?」


「それは女好きが高じた結果……本命は決まっていたというか……」


じっと俺をみつめた答えは―――


「やっぱり山田君と付き合う」


なんでそうなる? 













  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます