ひと夏の想い出 海

リクトは私が先生を好きなことを知っていて、ひと夏の想い出を作りたいらしい。


先生はやきもち焼きだ。しかも愛情表現がとっても下手だ。


相変わらず帰宅後も、すごくむかついてますオーラ全開だ。


私もやましいことはないのだが……声をかけても無視されるから


放っておこうと思った。


相変わらずリクトは、甘えた声で話しかけてくる。


「好きな人いないの?」リクトに聞いてみた。


「どうかな?」うまくはぐらかされたような気がする。


映画館の映画が面白かったとか無難な話を振ってくる。


普通の同世代の男の子とデートしたことはないから新鮮だった。


次の日は、海に行った。


電車に乗って――車ではないあたりが高校生らしい。


私も、楽しい夏休みを過ごしたいと思っていた。

先生と行くことはできないから。

先生は仕事も忙しいし……。


砂浜を素足で歩く。砂浜は太陽の熱で熱かった。


「水着持ってこなかったの?」


「うん……学校の水着しかもっていないから」


「カレンちゃんのスクール水着見てみたかったあ」


あいかわらずストレートな明るい男子だ。


手を引かれて岩場に座りながら海水に足を入れた。

リクトが肩をよせた。慣れている。

そのままキスされた……。


「……え……?」不意打ちだ。

スピードが速すぎて拒否するチャンスもない。


白いワンピースが青空の下 風になびく。

海の解放感が リクトにこんなことをさせたのだろうか?

私の先生への気持ちを知っているのに?


「私……先生のこと好きなんだ」


ちゃんとリクトに伝えた。


「わかってるって。じゃあ俺のこと、恭介だと思ってよ。似てるでしょ?」


たしかに似ている。

高校時代の先生と一緒にいるかのようなタイムスリップしたような気持になって舞い上がっていたのは事実だ。

優しいツンデレのデレだけの先生がいる。

同じ歳ならいいなとずっと思っていた。

ある意味願いがかなった。



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