美少女の初デート

あれ以来、先生は口をきいてくれないし目も合わせない。

リクト君と何もなかったとしても一緒に一晩いたという事実が嫌だったのかもしれない。

本当に眠っていただけで何もないのだが……。

ああ見えて先生は子供っぽいところがあり、やきもち焼きだ。

私にあまり好きだと言わない割には私が他の男の人と仲良くするとあからさまに不機嫌になる。


先生もおじさんもおばさんも仕事だ。

私とリクトは、夏休み。


「映画でも見に行かない?」

リクトは、自然に誘った。

「実はさ、観たい映画があるんだけどさー」


本当に映画が見たいのだろう。

そして、何となく誘ったという

気楽さがリクトからは感じられる。

この人は重くない。

恋愛とか関係なく友達を誘う姿勢が気に入った。


「いいよ、映画私も観たい」


実は、彼氏がいたことのない私はデートは人生初だ。

デートではなく、映画を観に行くだけなのだが――

映画を男性と観ること自体人生初なのだ。


リクトは先生に似ている。顔立ちとか背格好とか。

だから高校時代の先生と一緒に歩いているような気持になるのだ。


私はきっと錯覚していたのだ。

先生は普段ストレートに愛情を表現しないけれど、

リクトは「好きだ」とか「かわいい」と簡単に口に出す。

先生が言ってくれているような気がしていた。

何もない事実に対して執拗に無視する先生の態度も少しむかつく……

もう少し理解してくれればいいのに……。


リクトは明るく面白い。一緒に居ると楽しい。

さりげない気くばりは、高校生なのに自然にできる男だ。


たとえば、私が車道を歩いているとさりげなく車道側を歩いてくれている。

重いものや荷物は率先して持ってくれる。

先生にはない女性に対しての器用さを感じる男だ。

しかも、リクトの愛情表現はストレートで心地いい。


「おまえみたいな変態……」

とか間違っても先生のようなツンデレモードは見せない。

たとえ変態少女に対してもそのような言動はしないと思えるのだ。


「こんなにかわいい女の子とデートできるなんて、幸せ者だな」


このようなセリフを恥ずかしげもなく出し惜しみすることもなく、リクトは私に投げかける。

先生だったら、そんなセリフは死んでも言わないだろう。

先生の場合、口に出して言うわけないだろ! 表情から想像しろ! 

という俺様的なところがある。


Mなところを持ち合わせている私にとっては、そのような態度も萌え要素なのだが。











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