花火大会 二人で抜け出して何してる?

オトタクは、相変わらず自信満々でアニメ談義をはじめた。


オトタク妹のオトキョンは、恭介先生に夢中。


しかし、さわやかイケメンの沢屋くんがオトキョンに話しかける。


人数も多い花火大会に大人数で来ていると、だんだん迷子状態に陥る。

いつのまにやらあいつ、どこへいった状態だったり。

祭りの騒がしさと人数の多さが、夕方の涼しさをかき消す。


恭介の視線の先はカレンだった。

そんなことおかまいなしのオトキョンだったが。


カレンの浴衣姿はとても色っぽい。

いつもと違う、美しさがあった。


カレンの様子が、ちょっとおかしいと俺は気づいた。

モジモジそわそわ、しているのだ。

もしかしてあいつ、我慢してるのか……?

オトタクに話しかけられマシンガントークの中、トイレに行くきっかけがつかめないようだった。


しかもここは、普段は人も少ない場所なので

トイレ自体、ない。


俺はカレンの元へ走った。


腕をつかみ、走った。


結婚式当日に連れ去られる花嫁みたいな状況。


驚いたカレンの顔。


「おまえ、我慢してるだろ?」


「え……?」


「トイレ、行きたいんじゃないか?」


「あ、うん。でも、人多いし、トイレないし」


「今、探すから一緒に走れ。俺の前以外で漏らすんじゃねーぞ」


「あ……うん」


私のこと、気にしてくれていたのかな。ちょっとうれしい。


だいぶ走ったが、トイレは見つからない。

仮設トイレは数個しかなく長蛇の列だった。


「我慢できるか?」


「あの列だと漏れちゃうかも……」


顔を赤らめて下から見上げる美少女は、かわいい……。


「こっちこい」


誰もいない林の中へ、先生と手をつないで入ってみる。


「ここならだれもいないから、ここでしろ」


腕組みしながら恥ずかしそうに、先生は命令する。


「音は花火がうるさくて聞こえないから、安心しろ。人が来ないように見張ってるから」


「音、聞いてくれたほうがうれしいけど……」


顔を赤らめるカレン。

かわいいけど、変態だ。


俺は彼女と背中合わせになり、距離を置いて見張る。


誰も来ない。


花火の音がうるさいけれど、ちょっと音は聞こえていて……それは、俺の中にしまっておいたのだが。


彼女が幸せそうに我慢していた水分を出す。

勢いがすごい。大量だ。

我慢していりゃ、誰だってそうだろう。


「今まで生きてきた中で一番幸せな瞬間だった」

と幸せな笑みを見せる彼女を見て……。


俺は、ひどく愛しく思ったんだ。


「いつかちゃんと見てほしいかも」

彼女は、俺を見上げながら懇願する。


「何をだよ!! 変態!!」


愛しいという言葉は思ってもなかなか言えない。

素直じゃないなぁ、俺は。




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