先生 手をつないでもいいですか?

恭介は教師であり担任で


カレンは17歳の女子高校生


二人には大きな壁があり――


どんなに好きだとしても近くにいても、一線を引いている。


好きだけでは――動けないことがたくさんある。


デートを堂々とすることはできないし


未成年に手を出すことはできない。


人目を気にした生活をしている。


付き合ってはいないけれど……でも、好きという気持ちは二人にはあって……


もどかしい距離が、二人には存在する。


手をつないだりもしていない。


カレンは同居しているので、先生の両親がいないときにだけ会いに行く。

ただ、話すだけ。



先生は意外と真面目で手を握ろうともしない。


時々、不安になるのだ。


そこらへんの高校生よりもずっと不自由な恋愛かもしれない。


カレンは思い切って聞いてみる。


「先生、手をつないでもいい?」


「え? なんで? 急に?」


ストレートな 申し出に 先生は照れる。素直じゃないから


「やだ」


少し顔を赤らめて言うのだ。

ちょっとかわいい。


たまにうしろから抱きしめるのも私からであって……

先生はそういうことは家でもしないのだ。


寂しいような、物足りないような……


本当に私のこと、好きなのかな?


「私のこと好き……? だよね?」


先生はちょっと驚いた顔して……。


「そんなこと……なんで今、言わなきゃいけないんだよ。おまえみたいな……ど変態は、俺くらいしか受け止められるわけがないけどな」



「それって、好きってこと?」


「…………」



先生はああ見えて日本男児らしく、好きという言葉を口にしない。


「手ぇだせ」


「え?」


ぎゅっと手をつないだ。握手だ。


これが恭介先生の愛情表現。


好きとは言わないけれど……ぶっきらぼうだけど――そこが好きだな。


「腕相撲でもするか?」

ちょっと握手する時間が長くなる。

超健全な、交際。(笑)


私はその日、先生とつないだ手を洗えないでいた。


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