アニメオタクの勘違いの恋物語

僕の名前は、音名タクヤ。

(オタクの仲間内では「オトタク」と呼ばれている)

僕的にはオトタクって、有名イケメンと響きが似ていて気に入っているんだけどね。


オトナの100円ショップの常務取締役ってところかな。

(店長=社長は僕のママ)


次期社長というわけだが、

僕はアイドル戦隊が大好きだ。(美少女が戦うアニメ)

夢はアニメグッズを100円で売るという、素敵な野望の持ち主だ。

ゆくゆくはアニメグッズのショップを全国展開して

声優を呼んで、イベントをしたり、サイン会をしたり……

原作者を呼んでのトークショーもいいな。


夢は膨らむばかりの夢男さ。



僕は、現実の女性に興味はない。

アイドル戦隊のアニメキャラにしか興味はないのだ。


戦っているときのスカートの裾がひらりっていうのが

いつも たまらない僕。つまりパンチラだが、ひらりと呼んでいる。

だってパンチラなんて夢ちゃんに失礼だろ?

ひらりって言ったほうが夢ちゃんだって、うれしいはずだ。


目の前で、春風がふいた。

春一番くらいの強い風だ……。



目の前にアイドル戦隊レッドの赤井夢ちゃんがいたんだ。

嘘じゃない。本当さ。


赤井夢ちゃんのスカートの裾が風でひらりと舞ったのさ。

夢ちゃんは二次元から三次元に来たらしい。

僕に会うためにここへやってきたんだ。



夢ちゃんと目が合った。


「はじめまして、オトタクです」


ついあだ名を自己紹介してしまった。

ネーミングセンス、かっこいいだろ?


「こんにちは」


彼女は微笑む。なんと、声も同じだ。


「あら? カレンちゃんじゃない?」


うちのママが夢ちゃんと知り合いだったのか?

カレンとか呼んでいたが……。


「こんにちは音名さん」


彼女は清純で素直で美しい。


「うちの息子のタクヤです。よろしくね」


ママったらきっと僕のお嫁さん候補として

この子を選んでくれたんだな。

見る目あるじゃないか。


「僕はここの社長ジュニアで、ゆくゆくは全国展開考えているんで」


ちょっとかっこいいイケメン風に野望を話す僕。


惚れたんじゃないか? 絶対この子俺のこと好きになったな。


僕は眼鏡の真ん中を押し上げながら

ズボンを腰まできっちり上げてみる。

だって、腰ばきなんて、かっこわるいだろ?

やっぱり、シャツはズボンにきちんと入れないと。

おなかが冷えるしな。




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