体育教師の失恋

 カレンから体育教師のリョウちゃん先生に電話をかけてみた。

 もちろん、プロポーズを断るためだ。


「先生、今まで相談に乗っていただきありがとうございました」


「先生はこれからだって君の相談に乗るぞ」


「大変申し訳ないのですが、卒業後は好きな人と交際することが決まっていて……プロポーズお断りします」


 リョウタ先生の頭の中は、絶対OKだろう。

 カモン! カレン! 状態だったので……あまりにも突然のショックだった。


 リョウタ先生は人気があるし、さわやかイケメンで、むしろ恭介先生なんかよりも、女子ウケがいい。

 本人も自覚していた。カレンが好意を寄せてくれているとどこかで期待していた。


「そうか。その相手は変態行為でも受け入れてくれるのか?」


「それが……なかなか難しいかもしれません」


「僕ならどんな行為でも君のためにできるのに……それでもその人がいいのか?」


「はい」


「陰ながら応援している。これまで通り、教師と生徒としてよろしくな」


 実に模範的な引き際だった。

 リョウタ先生に危ない趣味を開花させたカレンは悪女なのかもしれない。


 ××××

「リョウタ先生、顔色悪いですね。大丈夫ですか?」


「林堂先生……失恋しました」


「そうだったんですか。先生モテるから大丈夫ですよ」


「その女性には好きな人がいるらしいのですが、どんな奴なんでしょう? 相当なイケメンなんですかね?」


「さあ、俺には見当もつきませんが……」


 カレンの奴リョウタ先生をフッたのか……。

 相当なイケメンかどうかは俺の顔を見てくれ。


「なんだか、普通の女性では物足りない自分がいるんですよね」


 あーなんかわかるかも。あいつと接すると何が普通かわからなくなるよな。

 とうとうリョウタ先生を危ない趣味に走らせてしまったらしい。

 同僚として、彼が心配だ。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます