「あーんして」ふぅふぅ幼児プレイかよ

「おかゆ作ってみたよ」


カレンは意外と料理上手だ。

いいお嫁さんになれるだろう。


そのおかゆは、つやつやしていて、弱った胃にやさしそうな味付けがされていた。

彼女の優しさが伝わってきた。あつあつだった。


「あーん」

カレンが俺に向かってスプーンを差し出す。


ふぅふぅ、して息をかけて、覚ましてくれる。


あーん、行為自体はじめてで……戸惑った。

幼児期以来、このようなプレイはしたことない。


あーん――にしても――ふぅふぅにしても

なんだか とても気恥ずかしくなった。


「自分で食べるから」

俺はわざときつめに言って、断ろうと思った。


思春期の男子のようだ。

反抗期の息子のようだ。


でも、彼女はやめない。


「あの美人とどういう関係?」

 

カレンは少し怒っていた。

気にしていたのだろうか?

俺なんかのこと……。


自己肯定感の低い俺は、正直彼女の行為に戸惑う。


好かれることに慣れていないのだ。


写真の美人に対しても、片思いで終わったままだった。


「大学の同じゼミの……友達」


友達を強調してみる。


「ほんとうに?」


疑わしそうに カレンの大きな瞳が俺を見つめる。


「ほんとうだよ」


俺は悔しいけど、写真の美人に愛してもらうことはなかったのだから。




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