友達以上恋人未満の夜

俺は珍しく興奮していた。

俺らしくないかもしれない。

でも、こんなに近くに美少女がいる。

俺に好意を抱いている。

うれしいにもほどがある。


ドキドキで心臓が高鳴る。

相手に聞こえないか、気になるくらいだった。


美少女が積極的に俺にキスって……普通ないだろ、こんなおいしい場面。

でも、その興奮を悟られないように必死で隠した。


「明日、おじさんたちが帰ってくる前に部屋に戻らなきゃね。おやすみ」


彼女は多くは求めていないらしい。

ファーストキスという一大行事が終わったのだから、女子高生は満足なのだろう。


いや――大人の俺はどうにも興奮がさめず、しばらくベッドの中で悶絶していた。


彼女の体温が感じられるとなかなか俺の興奮は冷めなかったのだが……。


彼女が俺の手を握った。つながっている感じがして安心感がある。


はじめて手を握った。別に付き合っているわけでもなんでもないのだが……。


友達以上恋人未満というのは、このようなことかもしれない。


「おやすみ」



月の光が 優しい夜だった。



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