第10話

 回復ポーション

 回復ポーションには等級があり、等級に応じて怪我を癒す度合いが高い。

 又、等級に応じて使う素材も違う場合がある。

 等級は1~10まであり、数字が若い方が質が良い。

 各等級ポーションの作成は別途記載。


 10等級回復ポーション

 擦り傷等の簡単な怪我に使用が主な目的で、その他には小さな傷に対しての止血作用もある。

 必要素材 水・ルミール草の葉


 9等級回復ポーション

 小さな切り傷に対して使用が主な目的で、小さい範囲の止血作用もある。

 10等級ポーションの不純物を取り除いたポーションである。

 必要素材 水・ルミール草の葉


 8等級回復ポーション

 軽度が低い怪我に対して使用されている。

 軽度が低い怪我の止血作用がある。

 最も市場に出ているポーションと言え、一般にはローポーションと呼ばれている。

 9等級回復ポーションを濃縮されたもの。

 必要素材 9等級回復ポーション・ルミール草の葉


 7等級回復ポーション

 怪我に対して使用が可能で、飲めば骨のヒビを修復することが出来る。

 胃までの内臓系の修復まで可能。

 8等級回復ポーションよりも止血効果は優れている。

 一般にはミドルポーションと呼ばれている。

 必要素材 8等級回復ポーション・ルミール草の葉


 6等級回復ポーション

 中範囲の怪我に対して使用可能で、飲めば骨折を治す作用があるが、複数箇所の骨折に対しては更にもう一度服用しなければならない。

 肺や胃までの内臓系回復が可能。

 中度の止血効果がある。

 一般にはハイポーションと呼ばれている。

 必要素材 7等級回復ポーション・ルミール草の葉・ルミール草の根


 5等級回復ポーション

 全身の火傷も綺麗に回復し、切れたばかりの部位を接合出来るほど回復するなど、大きな怪我に対して用いられ、少しの魔力回復が出来る。が、なかなか作り手が少なく、常に品薄となっているポーションで、一般にはグレーターポーションと呼ばれている。

 必要素材 魔力聖水・マドラ茸・ルミールの葉・ルミール草の根


 4等級回復ポーション

 小さい部位程度の欠損の再生回復が出来るほど回復能力が高いポーションで、中量の魔力回復が望め、毒や麻痺の状態異常回復まで対応したポーション。

 一般には余り出回らないほど貴重なポーションで、作り手が少なく主にダンジョンからのドロップ品の方が数が多い。

 一般にはSポーションと呼ばれている。

 必要素材 5等級回復ポーション・月見草・マドラ茸


 3等級回復ポーション

 小さい部位程度の欠損の再生回復が出来るほど回復能力が高いポーションで、中量の魔力回復が望め、広範囲の状態異常回復まで対応したポーション。

 一般には余り出回らないほど貴重なポーションで、レシピが失伝しダンジョンからのドロップ品のみしか手に入れる方法がない。

 一般にはSRポーションと呼ばれている。

 必要素材 5等級回復ポーション・月見草・マドラ茸・ドクロスライムの体液


 2等級回復ポーション

 中範囲の部分欠損を治す事が出来るが、複数箇所ある場合は複数使わなければならないが、広範囲の状態異常の回復と中範囲の魔力回復が望める。

 レシピが失伝しダンジョンからのドロップ品のみしか手に入れる方法がない。

 一般にはSSRポーションと呼ばれている。

 必要素材 4等級回復ポーション・3等級回復ポーション・魔力聖水・マドラ茸


 1等級回復ポーション

 部分欠損の回復は勿論、状態異常も広範囲で治す事が出来る。

 劣化エリクサと異名がつくほど、色々な回復能力は高い。

 レシピが失伝しダンジョンからのドロップ品のみしか手に入れる方法がない。

 一般にはEXポーションと呼ばれている。

 必要素材 妖精水・ドラゴンエキス・再生花・魔石


 なるほどな……ポーション作成するための素材はしっかりと書いてあるな。

 ……エリクサもだが、3等級回復ポーションからは材料が有ったとしてもポンポン作って良いものではないみたいだな。

 それよりも失伝と言う割には材料まで書いてある神書は流石だな。

 それにしても、1等級回復ポーションは劣化エリクサと言われるだけはあるな。

 材料もほぼエリクサと同じだしな。

 まずは10等級は良いとして、9等級を作らないと次の等級回復ポーションに移れないのか……。

 今ある材料では6等級までは作れそうだな。

 5等級の魔力聖水は持ってないから作ることは出来ないか。


 ではやってみるか。

 えっと、まずはルミール草の葉を少量の水を入れながら磨り潰し、ペースト状になるまで行うっと………………………………………ふむ、これくらいか。

 次は、鍋にペーストを入れ弱火で焦がさないように、かき混ぜ少しずつ水を足す。

 トロミが出始めたら冷やす。


 うん?冷す…時間がかかるな……。

 よし、その間にもう一度最初から別のポーションを作り始めるか。


 その後結局一回目のポーションが冷えたのは三回目を作り終えた時だった。


 冷えた薬液をポーション瓶に半分づつ入れ、残り半分に水を入れるっと。

 で、液状化するまで振り続けるのか……何気に大変だな……。


 この錬金道具では一度に五本分は作れたか……二回目の分も作り始めないとな……。


 晩御飯を挟み、出来上がったポーションは全部で15本だ。

 これが、9等級回復ポーションか……案外作るのに手間がかかるんだな。

 よし、確認のためちゃんと鑑定はしなくちゃな。


 10等級回復ポーション

 擦り傷等の簡単な怪我に使用が主な目的で、その他には小さな傷に対しての止血作用もある。

 必要素材 水・ルミール草の葉


 ぐはっ!9等級回復ポーションを作成するつもりが、10等級回復ポーションを作ってしまった!

 なに?何処を間違えたんだ?神書に記載されている作り方と照らし合わせて、実際に作るとこを思い出してみよう……。



 あっ……。

 ルミール草の残骸が……見える……。

 結局、不純物を濾すのを忘れてたのか……。

 空瓶にトロミがかった薬液を移す際に、濾し布を使って入れるのを忘れてたのか……。

 ルミール草も無くなったし、今日はこの辺で終わろう。

 明日は朝から洞窟前に飛んで、薬草採取だな。


 ◇◇◇


「で、今日の1日はどうであった?」


 アルトが寝静まった頃、カインドの自室でカインドは椅子に座り、向かいに立っている男性にそうなげかけた。


「はっ、王城をでて直ぐに見失うことはありましたが、一刻過ぎた頃に同じ場所でアルト王子を発見し」

「まて、見失っただと?」


 カインドは驚きの余り前のめりになる。


 見失う?有り得るのか?アルトを尾行したのは、この目の前に居るゼロスだぞ?


「はい……」

「お前ほどの男がか?」

「申し訳御座いません。建物の物陰に行かれたと思い、しばらく様子を見ていましたら気配自体が消失し、慌て確認しに行ったら既に姿はなく……」

「一刻したら戻ってきたと? 何か変わった様子はあったか?」

「いえ、様子はかわらずでした。その後ですが、町をうろうろし薬屋に何件も行ってはすぐ出てきてを繰り返し、商業地区外れの薬屋に行かれました」


 ふうむ……突然消えるか…うむ、さっぱり分からん。

 それにしても、薬屋には何か用があったのか?


 そう思い椅子に座り直し、顎に手をやる。


「店に入ったのは薬屋だけか?」

「最後に行かれた商業ギルド以外では薬屋だけです」

「うむ、薬屋には何しに行ったのだ?」

「……薬草や錬金素材の買い取りでした……」

「なに?どういう事だ?」


 何処で手に入れたと言うのだ?

 まさか王城の管理物に手を出していまいな?


「……念のため、王城の備蓄状況と錬金術部に聞き込みをした結果何も出ては来ませんでした」


 ……出してはいないようだな。

 なら、何処で?


「……まぁ、備蓄に何もないとは安心したが、アルトは何処で手に入れたのだ?先に行った薬屋で素材を購入してたのか?」

「いえ、前に行かれた店では適度にあしらわれ追い出されたみたいです。子供が故にですね」


 違ったか……にしても薬屋で門前払いか、俺の息子をか?ふうん……まっ、アルトには良い勉強になっただろうから、良しにしといてやるか。


「……で、商業ギルドで錬金道具を購入したと聞いているが?」

「はい、その後は早速ポーションを作られていたみたいです。だだ、アルト王子は町に出て、王都のゴミに大分複雑な感情がおありの様子でした。放置すれば病気になるとか……」

「ふむ、ゴミと病気?それが、何か関係があるのか?」

「すみません、私も詳しくは分かりません。……最後にですが……」

「どうした?神妙な雰囲気で」

「尾行に気付かれておりました……」


 いやいやいや!それは有り得ないだろ!


「はっ?そんなまさか……有り得ないだろ?」

「部屋を出る際に、王都散策時に心配で付いてきてくれて有り難うと言われました……」

「おい、腕でも落ちたんじゃなかろうな」

「まさか、今でも日々精進し全盛期よりも能力全般向上しておりますよ?」


 うむ……ゼロスの全盛期を知っているが、嘘はないようだな……それにしても。


「……それはそれで末恐ろしいな。暗部師団団長の尾行に気付くか。我が息子か……アルトは確実に」

「「能力を隠している」」

「だな」

「間違いなく」

「やましい事を考えなければ、様子を見、出来ることなら手助けもせねばな……神の使徒ならな」

「ええ」


 ……アルトよどうか誠実に育ってくれ。

 まさか、我が子にこうも悩まされるとは思わなかったぞ……。



 ◇◇◇


 んーーっ!良く寝たな!

 昨日は王都へ行ってまさか、ゼロスが着いてくるとは思わなかったな……。

 早目に寝た甲斐があって、かなり早く起きれたし速攻ウィード達の所に行こう。

 スパロー達は……起きているみたいだな。

 そうとなれば、速攻で準備しなくちゃな。



 っと、着いた洞窟前だが何やら様子がおかしい……ウィード達よ何か変わったことはなかったか?

 ……うむ、言葉は話せないから感情で伝わって来たが……魔物か?……そうか、近くに魔物が居るのか。


 ふむ、警戒し出会ったら討伐してみるか。

 どんな魔物だったんだ?えっ?毛が沢山ある魔物?……うむ、分からん。


 そう会話をしショートソードを握りしめる。


 よし、スパロー達偵察に行ってくれ。

 ウィードに魔力を流したら採取始めるから、周りの警戒は頼むぞ?


「「「「「~~~♪」」」」」


 それにしても、ウィード達よ初めより大分魔力循環が上手くなったじゃないか!

 嬉しいそうにして、まぁ、俺も嬉しいさ。

 さてと薬草の採取に取り掛かるか!

 ……洞窟前はやはり取り尽くしているな、少し先に進まないとな。


「「「「「~~~~!」」」」」


 ん?この反応は……魔物か!


 アルトは手に付けている指輪からの反応を感じとる。

 スパロー達、有り難う!こっちも確認した!


 反応がある方に武器を構え、少しずつ近付いていく。


「「「「「~~~!」」」」」


 スパロー達により攻撃魔法が魔物の反応する方へ降り注ぐ。


「ギャン!」「ギャウン!」


 魔法が当たった魔物の声だろう、その魔物の悲鳴が聞こえてくる。


 ……泣き方は犬種の魔物か?

 こいつらは……


 茂みを掻き分け、アルトが見た魔物は二足歩行の犬の魔物だった。


 ファンタジーで定番の魔物コボルトか?

 鑑定っと。


 名 コボルト

 世界各地に生息し、コボルトと言っても様々な種類が多い。

 魔物として力は余り強くはいないが、持久力あり高い臭覚能力がある。

 群で行動していることが多く、戦うなら1対1ならともかく多数だと厄介な魔物だ。


 名前 無し レベル 1

 年齢 1 種族 コボルト

 職業 無し

 犯罪履歴 無し

 スキル 無し

 体力G 魔力G スタミナF 力G

 防御力G 器用F 素早さ G

 運G 精神力G 魅力G


 やはりコボルトか、そこまで能力も高くないし大丈夫か。

 魔法攻撃に弱いのか、6匹のうち4匹は瀕死だな。

 あっ…スパローのとどめの魔法が入った。


「ガ、ガウ!」


 ほう?この戦力さで逃げないとは中々だな。


 そう思うアルトだったが、急にスパローからの攻撃を受けたコボルトの残りの2体は、何処から攻撃されたか分からず、辺りを警戒し現れたのが子供のアルトだったため、ただ逆上し襲い掛かってきただけであった。


 四足歩行のダッシュで突進してくるコボルトに対し、前の1匹にスパロー達の魔法が身体に直撃する。


「ギャウン!」


 そのままコボルトは失速し、その場に倒れた。

 残りの1匹は目の前で仲間が更に倒され、驚き足を止めてしまう。


「それは悪手だろ?」


 頭を切るつもりでショートソードを振りかぶり、そのままコボルトを二枚におろし、地面に深い切り後を残した。


「威力高すぎだろ!……この剣は対人に対して使用不可だな……流石強い剣でお願いし出てきただけはあるな。……だがこれは持っている武器の強さを一本ずつ試さないと危ないな……」


「~~♪」


 ん?どうした?あぁ、生き残りが居るのか。

 ふーん、スパローの魔法を受け生き残っているのは一匹か、運が良いのかコイツだけ他より強かったのかは分からないが、これはあれだな。


「契約!」


 アルトは従魔契約の魔法を使いコボルトは無事に従魔となった。


 名前 無し レベル 1

 年齢 1 種族 コボルト

 職業 無し

 犯罪履歴 無し

 スキル 無し

 体力 G 魔力G スタミナF 力G

 防御力G 器用F 素早さ G

 運G 精神力G 魅力G

 称号

 従魔契約

(アルト・ディオング・ミルフェルト)


 んーっ、特別に強いって訳じゃないな。

 偶々だったのか?まぁ、仕方ないか。

 さて、このコボルト……怪我をしてるな。

 まぁ、俺達のせいだがな。

 取り敢えず


「シックスヒール」


 アルトから飛び出した色とりどりの各属性の回復魔法が、コボルトを優しく包む。

 少し達コボルトは起き上がる事が出来た。


「クゥ~ン」


 よし、無事に回復したようだ。


「俺はアルトだ、よろしくな。上のは仲間のスパローだ、仲良くしろよ?」

「バァウ!」


 うっし、薬草採取の続きだな。


 アルトは倒したコボルトをアイテムボックスに収納し、薬草の採取に取りかかる。

 しばらくすると意外な事に、コボルトが器用で、短時間で何時もよりも沢山集めれていた。


 そろそろ王城に戻らないとな。


 その後洞窟前に戻って来て、コボルトにウィードを紹介し、ウィード達の護衛をお願いをし、武器防具等を与えアルトは王都に戻ってきた。



 先に風呂に入り、朝食だな。

 あっ、コボルトに職業決めるの忘れていた……まぁ、明日でいいか。


 そして、風呂に入り朝食の場へと移動する。

 食卓の間には既に他の兄弟達が座っており、後来てないのは父上と母上のみみたいだ。


「おはようございます」


 俺達親子はよっぽどの事がない限り、毎朝と毎晩こうして皆で食事をする。

 唯一居ないのは、産まれたばかりの第8王女マリアだけだ。


「ん?アルトか、今日は珍しく遅かったな」


 何時もは早目に来て皆を待っていた俺だったが、採取していたおかげで遅れて到着したので、オーウェン第1王子が声をかけてくる。


「兄様、申し訳ありません。寝付くのが遅かったみたいで」

「分かるぞ!俺も同じだったからな」

「オーウェン兄様もですか?」


 オーウェンとの会話にシャルラ第1王女が加わる。


「そうね私もそうでしたわ」

「シャルラ姉様もですか?」


 そうか、兄様と姉様も俺と同じだったんだな……。

 なら、更に気合いを入れて取り掛からなければいけないな。


 王族の朝食を後ろで見守っている、担当の執事の中にいるゼロスは表情こそ変えていないが内心は


 陛下!陛下~!何故に今日は来られるのが遅いんですか!アルト王子が!アルト王子が絶対勘違いを起こしましたぞぉ!


「それよりも、アルトあなた錬金に興味があるのかしら?」


 アルトが錬金道具を購入したことは、既に兄弟達に広まっていた。

 その話の中、マリベル第5王女はアルトに話をかける。


「そうです、マリベル姉様。早速10等級回復ポーションを昨日作ってました」

「まじか!さっそく出来たのか!」

「はい、ケビン兄様。本当は9等級を作ろうとしたのですが……」


 ケビン第2王子はもう回復ポーションを作れたことに驚いている。


「気にするな、初めて作って成功させただけでも凄いのだ」

「有り難うございます、アルベルト兄様」

「もし、9等級が作れたら私に数本貰えないかしら?」


 カエラ第2王女はアルトが作るであろうポーションを欲しがっていた。


「カエラ姉様宜しいですよ。出来たらお持ち致します」

「カエラお姉さま何に使われますの?」

「私の所のメイド少しドジなのよね……すぐ転んで怪我をしてしまいますの……シルクの所は良いわよね……メイド達キビキビしてて羨ましいわ」

「そんな事ないですわ……見えないところでは私語くらいは許してますし」

「厳しくないか?」

「あら、タルス兄様そんな事ないですわよ?」


 シルク第3王女は曲がったことが好きではなく、日頃から自分にも厳しい王女で有名だ。

 そんなタルス第6王子がシルクにつっこむ。


「そうだ、アルト。俺のところにも数本お願い出来ないか?」

「トト兄様もですね?分かりました」

「トト兄は何に使……訓練の怪我だな……」


 トト第4王子は双子の弟であるサフト第5王子に比べ……いや、他の王子達に比べ余り体を動かすのは苦手である。


「サフトと違い剣術苦手なんだよ俺は……」

「そういえば、このまえのアルトすごかったな……」


 ミネルバ第4王女は外出試験を思いだし、アルトの戦いに興味を持っているようだ。


「ミネルバ……あれは凄いってものではないぞ?」

「オーウェンあにさま、そうなのですか?」

「騎士団相手に勝つなんて、俺でも難しいぞ?というか無理だ。…全くアルトがあんなに強いなんて知らなかったな……」

「あっ、いや、兄様姉様方……あれはまぐれですよ」

「「「「「それはない!」」」」」


 俺が誤魔化そうとしたが、全員に否定されてしまった。


「はっはっは!皆朝から元気だな!」

「廊下まで聞こえてましたよ?」


 ここで、父上のカインド王と母上のローザ王妃が到着した。

ローザはしばらくマリア出産のため、安静の日々で自室に籠っていたが、無事に出産し久しぶりに皆と食事をする。


「父上!母上!」

「「「「「おはようございます!」」」」」

「うむ、おはよう」

「おはよう」

「では、食事にするか」


 カインドの声で、執事達は一斉に動きだし朝食を並べていく。


「で、ウェットよ体調は良くなったか?」

「はい。父上、ご心配かけました。」


 ウェット第7王子はここ何日間か風邪をこじらせ久し振りにここに来る。


「アルトはどうだったのだ?昨日初めて外出してみて」


 カインドはアルトに話をふる。


「かなりドキドキしました。町には王城以上にも沢山の種族の方達も居るんだなぁ……って、思いました」


 そう、町には獣人やらドワーフやら沢山いたのだ。

 見た目可愛らしい、男の獣人も居たが本当に楽しかった。


「そ、そうか。楽しかったか……何か困った事は無かったか?」

「困った事はありませんでしたが、思った所はありました」

「ほう。それはどんな所なのだ?」


 アルトには城下町でのゴミの問題について陛下である、カインド王に話す。

 また、ゴミを拾っている者のやり方等も、このままでは不味いんじゃ無いかと思い、進言するがカインド王や兄弟達からは良い反応は貰えなかった。


 まだ、この世界ではウィルスや細菌等の発見も研究もされていないので、皆からしたらアルトは何言っているんだ?となる。

 だが、国や人々の事を考えるならこのままでは不味い……。

 そこで、アルトは鍛冶部屋とは別に研究室は最低限いると考え部屋に鍛冶部屋の使用許可をカインド王に訪ねるが、研究室となる部屋は貸してもらえるみたいだが、今アルトに鍛治部屋を貸せる事は出来ずに断られることになった。


 その理由として、まず鍛治部屋だが国の製作で、騎士団や魔術師団それに一般兵や、各大臣を含める全役職つまり、城に居る者、勤務する者の装備や城の改修素材作成に追われ、空いている事が少ないとか……そう言われたら無理に言えないが、こっちも急いで行った方がいい案件なので、アルトは一人考える。

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