少しの光

勝利だギューちゃん

第1話

目が覚めた。

いや、そんな感覚がした。

でも、真暗闇だ、


「ここは、あなたの心の中よ」

「心の中?」

「そう、あなたの心の中の闇」


どこからか、聞えてくる声。

若い女性のようだ・・・


「君は、だれだ?」

「私はあなた、あなたは私」

「どういうことだ?」

「光と闇は表裏一体」

「何が言いたい?」


女性の声のトーンは、低くなった。


「人は、誰もが心に闇を持っている」

「だろうな」

「一度闇に落ちてしまえば、なかなか抜け出せない。

人でいうほど、簡単ではない」

「君は、どこにいる?」

「わからない」

「あなたの、後よ」

その声に、降る向く。


でも、いない・・・


「見えなくて当然よ、私たちは磁石のように、ひっついている」

「どうすれば、見える」

「自力では無理ね」

「どういうことだ?」


人というのは、摩訶不思議

考え次第で、どちらにも転ぶ。


しかし、築き上げるのは大変だが、崩れるのは一瞬・・・


「今、私はあなたの中の、光にいる」

「つまり、君がそこにいる限り、俺は闇から抜け出せないのか」

「半分正解で、半分外れ」

「外れと言うのは?」

「あなたが、諦めてしまえば、無理」


どういうことだ?


「今のあなたは、完全に闇に染まっている。

それでは、光は差し込まない」

「どうすればいい」

「それは、あなたが見つける事。でも、手助けならできるわ」


後ろから何かを手わてれる。


「これは・・・針?」

「そう、どこでもいいから差してみて」


言われるままに差す。


すると、わずかだが光が差し込んだ。


「よかったね」

「えっ?」

「あなたはまだ、完全にあきらめていない。

これなら、いつでも光あふれる世界に戻れる」

「でも、そうなったら、君は?」

「私は平気・・・だって、私は・・・あなただから・・・」


チュンチュン


小鳥のさえずりに目が覚めた。


長いような短いような、不思議な夢を見ていた。


「さてと、もうひとふんばり、してみるか・・・」

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少しの光 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu

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