第82話 贅沢な悩み
レイナさんは俺に抱きついている。いい匂いがする。それに体が柔らかい。頭がクラクラする。
「リンちゃん離して」
俺の目の前で羽交い締めされていたルナがリンちゃんに解放を求めた。リンちゃんは羽交い締めをヤメた。
「えっと、ちょっと落ち着いて話をしない? 僕は話をしたいなー」
金髪の美少女は冷静だ。彼女の一言で場は落ち着いた。
俺を含めて全員フローリングの床に座った。
「うーん。何から話をしようか?」
金髪の美少女が話の進行をしている。しっかり者っぽい。
「はい!」
ルナが手を挙げた。何か発言したいようだ。
「ルナちゃんどうぞ」
「まずは自己紹介からだと思います!」
ルナはまともだった。俺はおかしな事を言うと思っていた。
「そうだな。俺はみんなの事を知らない。みんなは俺の事を知っているの」
「「「「もちろん! 知ってる!」」」」
おっふ。みんなは何故俺の事を知っているんだ? 隣に引っ越して来たからか? 事前に調べたのか?
「ルナ、何故に俺の事を知っているんだ? しかも全員」
「えっとねー。ここに引っ越してくるから事前に調べているんだよね。ほら、お隣さんが恐い人だったら嫌でしょ?」
「なるほど、なら、えっと……」
俺は金髪の美少女を見た。名前はまだ知らないので呼びかけ方に戸惑った。
「ん? 僕? 僕はルナちゃんから聞いたんだよ。キミの名前は知らなかったけどね」
「ふむふむ」
「私もルナと一緒に隣を調べてもらっていた。昔、姉上のスマホの写真で見た顔が拓海だったのは驚いたがな」
「ほうほう」
「私は拓ちゃんとは三年前に会っているよねー」
「ですねー」
それぞれの話に何か違和感を感じるけど……気のせいか? うーむ……ま、いっか。
「じゃあ、自己紹介からかな? 話はそれからだな。まずは俺からだな。獅子王拓海。十六歳です」
「私はルナ・シャーロット。十六歳です」
ルナは茶髪のツインテールで可愛いな。
「僕はソラ・ルイーズ。十六歳です。ソラって呼んでね」
「分かった」
金髪の美少女の名前はソラ。小さくて可愛い。
「私はリン・ヴァレンティーノ。十七歳だ」
「リンさんは一個上?」
「私も拓海と同じ学年だ。だからリンと呼んで構わない。敬語もいらない」
「了解」
リンは男勝りな感じだ。そしてルナやソラに負けず劣らずの美少女だ。女の子にもモテそう……一瞬だったけどキスしたんだよな……
「拓ちゃんは私の事知っているから自己紹介は要らないよね」
「はい。レイナさんの事はよく知っているから大丈夫です」
レイナさんはルナより明るい茶髪のショートヘア。美人だけど可愛くて素敵な年上のお姉さん。年齢は二十三歳。
「次は俺とレイナさんが恋人になる件だけど——」
ルナが大きく手を挙げた。
「はいはーい。私も拓海君の彼女になりたいでーす」
ルナがそう言った直後にリンが顔の高さに手を挙げた。
「私も拓海の彼女になりたいのだが」
そしてソラも申し訳なさそうに低く手を挙げた。
「ぼ、僕も拓海君の彼女になりたいです」
へ? こっ、これは夢か? 美少女三人と美女一人が俺の彼女になりたいって? ど、どっ、どうするっ? 可能なら四人全員を彼女にしたい!
でもそんな贅沢な事は無理だよな?
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