第17話 女神が拓海君に好きと告白する

 ルナの仕草と少し赤い顔……これはトイレに行きたいのだな。間違いない。一目瞭然だ。


 俺の事を好き。はないな。おしゃべりしたいと言われた時も俺の勘違いだったしな。


 そんな事を考えていると、ルナが両手を俺の方へ伸ばした。


 ん? 俺に手を引っ張って立たせて欲しいのか?


「拓海君、引っ張って」

 

 そう言われたのでルナの手を握った。


 やっ、柔らい。女の子の手を握ったのは小学生の遠足以来だな。


 そして俺はルナの手を引き立ち上がらせた。


「あっ……」


 ルナを立ち上げる時、ルナが俺の方に倒れそうになった。


「危なっ」


 俺はルナを受け止めて抱きしめるような形になった。自分の鼓動が速くなっていくのが分かる。


 うぉぉ! 女の子を抱きしめた! やっ、柔らかい! 良い匂いがする!


でも倒れそうになる程、ルナを強く引っ張ったつもりは無かったけど?


 それにしてもルナは軽いな。女神はこんなに軽いんだな。


 そして俺はこっそりルナの背中の翼をさわる。


「きゃ!」


 ルナは俺が翼をさわった瞬間に奇声を上げ、俺から少しだけ離れた。何故か顔も赤くなっている。


「いっ、今、私の翼をさわったよね?」


「ごめん、とても綺麗だったからつい」


「たっ、拓海君ならさわっても良いけど、普通はさわったら凄く怒られるからね」


「どうして?」


「とてもデリケートな部分だからだよ」


 女の子の胸みたいなものか? 今度からは気をつけよう。


「ところでルナ、 俺はここに来てから喉が乾かないんだが、食事はしなくても大丈夫と言ったけど、水分も取らなくて大丈夫なのか?」


「水分も取らなくて大丈夫」


「ルナ達もか?」


「私達も取る必要がないの」


「トイレに行くとかはないのか?」


「トイレ? う、うん。私達にはそういう機能はないの」


 食事も水分も取らなくて良いのは便利だな。トイレにも行く必要が無いとはなんて便利なんだ。


 ルナがここで我慢出来ずに放出する心配は無くなったので良かった。

 

 もしルナにも排出機能があって、ルナが我慢出来ずにここで放出する事態が起きた時、その時は俺がトイレになって飲ん…………ちっ、ちがーう!


 何を考えているのだ俺は! そういった趣味を持っている人はいると聞いた事はあるが、俺にはそう言った趣味はない。断じて無い!


 たとえルナに頼まれたとしても……こっ、断る。絶対に断る! ルッ、ルナを抱きしめたから俺はおかしくなったんだ!


「拓海君……」


「なっ、何?」


「好き……」


「はい?」


「私は拓海君が好き……」


 俺が変態的な事を考えていたらルナが好きと告白してきた。


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